| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

万華鏡

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十二話 近付く卒業その四

「そんなこと自分で言う人なんて」
「とても」
「そうでしょ、そんなことは言わないことよ」
 五人にだ、そうした輩は戒めにもしろと言うのだった。
「まあ恥を知ってたら言わない言葉よ」
「ですね、恥ずかしくてとても」
「言えない言葉ですね」
「私逆にそうしたこと言う人はね」
 部長はこうも言った。
「尊敬どころか軽蔑するから」
「逆にそうなりますよ」
「そんな恥ずかしいこと言う人なんて」
「学校の勉強が出来ないとかいう馬鹿じゃないですよね」
「人間として馬鹿ですよね」
「そう、人間としてね」
 まさにだというのだ。
「馬鹿だから」
「むしろそうした人になりたくないっていうか」
「そう思いますね」
「いや、普通に」
「反面教師ですね」
「要するに馬鹿でないといいのよ」
 部長は五人にこうも言った。
「結局は」
「普通であればいいんですね」
「自然体で」
「人間として馬鹿でないとね」 
 部長はさらに話した。
「いいから、わかったわね」
「はい、わかりました」
「それで」
「まあはっきり言って肩肘張ってもね」
 そうしたことをしてもとだ、部長は笑顔のままで語った。
「疲れるだけでね」
「何もないんですか」
「得るものも」
「はっきり言ってないわよ」
 全く、という口調での言葉だった。
「ストレスで太るか髪の毛抜けるだけよ」
「それちょっと」
「どっちも嫌ですね」
「特に髪の毛は」
「それは」
「イギリスの王子様みたいにね」
 具体的な例も出て来た。
「あの人はストレスじゃなくて遺伝みたいだけれどね」
「あの人お父さんもあれですね」
「お祖父さんもですしね」
「だから遺伝ですか」
「そっちでああなったんですね」
「そう、三十前でね」
 かなり若い、減る年齢としては。
「もうきてそれでなのよ」
「今はですか」
「あの状況ですか」
「多分だけれど弟さんも来るわよ」
 来て欲しくはないものが来るというのだ。
「そんな感じよ」
「ううん、折角お顔はいいのに」
「髪の毛だけはなんですね」
「お兄さんもお父さんも」
「どちらも」
「そうよ、とにかくストレスがかかるとね」
 下手に肩肘張ってだ、それを溜めるとというのだ。
「女の子でもくるから」
「王子様みたいになるんですね」
「イギリスの」
「だから飾らないの」
 最初からだ、そうしろというのだ。
「それでありのまま、基本はこれでいいから」
「はい、わかりました」
「そうしていきます」
 五人も部長の言葉に頷いた、そしてだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧