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万華鏡

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第八十一話 寮生活その十一

「私達もよくお酒飲みますから」
「余計に」
「私も思うのよ」
 先輩はここでも自分のことを踏まえて五人に話した。
「お酒を飲んでも女の子はね」
「乱れない、ですね」
「その方がいいですね」
「人を噛んでも駄目よ」
 今度はいささか非常識なことだった。
「絶対にね」
「まさか先輩」
「酔って」
「いやあ、クラスメイトの手が胸に伸びるって思ってね」
 それでだったというのだ。
「がぶっとやったのよ」
「がぶっ、ですか」
「そうしちゃったんですか」
「相手の子びっくりしてたわ」
「それはまあ当然ですね」
「普通そうなりますよ」
 五人はその過去を笑って話す先輩に呆れている顔で話した。
「そりゃ彼氏いなくても」
「仕方ないですよ」
「潤ちゃんも似た様なことがあってね」
 こちらの先輩もだというのだ。
「やっぱり噛んじゃったのよ」
「噛み癖は駄目ですよ」
「それもうブラッシーじゃないですか」
「それかブランカかザンギエフか」
「どっちにしても問題外ですよ」
「ええ、やっぱりよくないわね」 
 笑いながらも後悔している言葉だった、反省しているらしいことはこの言葉に出てはいた。
「噛むことは」
「ですよ、気をつけて下さい」
「流石にまずいですから」
 同じ口からするものでもキスと噛みつきは違う、それこそ天国と地獄程だ。どちらが天国でどちらが地獄かは言うまでもないだろう。
「気をつけて下さいよ、心配になってきました」
「宇野先輩も高見先輩もお顔はいいんですから」
「スタイルもいいですし性格も悪くないし」
「普通にやってればもてるんですから」
「そこは」
「そうよね、そういえばうちの部活彼氏持ち殆どいないけれど」
 自分も含めての言葉である、これもまた。
「やっぱり皆が皆酒癖悪いからね」
「ですね、お酒ですね」
「何といっても」
「ええ、そこは何とかしないとね」
 しみじみとして言う先輩だった、そして。
 六人で風呂を出た、五人はここであらためて先輩のスタイルを見た。小柄だが色が白くしかも胸が確かに大きい。
 それでだ、五人はまた言うのだった。
「やっぱり先輩もてますから」
「お顔もいいですし」
「普通にされて下さいよ」
「そうしたら彼氏なんてそれこそ」
「向こうから寄ってきますよ」
「そうよね、やっぱり酒癖は注意しないとね」
 先輩自身も言う、下着を着けて服を着てだ。
「心から思うわ」
「ですよ、じゃあ」
「私達はここで」
 服を着て風呂場を出れば、というのだ。脱衣場もかなり広い。
「お風呂有り難うございました」
「また明日ですね」
「ええ、またね」
 明日だとだ、先輩も五人に答えた。
「また頑張ろうね」
「ですね、また明日」
「これで」
 笑顔で話してだ、そしてだった。
 五人は服を着ると実際にだった、先輩に別れの言葉を告げて寮を後にした。だが風呂にゆっくり入ってもだった。 
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