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アラガミになった訳だが……どうしよう

作者:アルビス
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派遣社員になった訳だが……どうしよう
  10話

住み慣れた教会のある街の部屋を拠点に、フェンリルとサカキの依頼を受けながら様々なアラガミを喰らい続け、その道中グボログボロやサリエルを喰って陸海空の移動手段を手に入れたことで世界中を移動できるようになって三年………正直やりすぎた。
初めて出来た神機はピストル型ではなく普通に第一世代の神機ができてしまったのだ、これはかなりのストーリー進行の痛手ではあるが第二世代はまだ構想すら出来ていないようなので、原作への影響は多少マシではないだろうか?それに適合者の数、ゴッドイーターとしての戦術などは今のところ貧弱で俺への依頼の量は変わっていないし、アラガミの攻撃能力の進化もまだまだだ。相変わらずアラガミの再生能力は非常に鬱陶しいのだが、こちらの火力の増強はそれらを上回ったようで初めて戦ったヴァジュラのような苦戦は特にあれ以来ない。
まぁ、神機技術の進歩の速さ以外は特に問題はない。新しくなった無線機、改めて携帯端末で知ったのだが、カナメ達も特に不自由無く暮らしているようで、最近二人目の娘ができたらしく近々産まれるらしい。何か祝いの品でも贈ろうと思ったのだが生憎と金がないので、フェンリルにコアを多めに送り、それを換金してベビー用品を買って贈ることになった。流石にオラクル細胞で作った宝石など贈る訳にもいかんだろうしな。
最近になって判明したのだが、肌の色は弄れなかったが髪の色は弄れることが分かったので、服装は少々怪しいが人間の振りをしてアナグラの中に入っても意外とバレないのだ。おかげでようやくマトモな服を買えるようになったのだが、腕やら足やらを結構な頻度で変化させるので基本的に半袖やら半ズボンが基本的な服装になり、北の方の地域に行く場合妙な視線を向けられるハメになる。それと色々な国をまわった感想はどこもそれなりには生き残っており商売もやっていたのだが、俺が海外の言語など喋れる筈もなく、拙い英語でなんとか意思疎通するしかないという状態で二度とあんな不毛なコミュニケーションはやりたくないということだ。
で、そんな俺が今どこにいるかという話だが………サカキの研究室の中だ。

どうしてこんな所にいるかという話だが、サカキが言うには無線での連絡では少々危険な話らしく会いに来て欲しいと連絡があり、わざわざ海を越えてフェンリル本部近くのサカキの研究室に来たという訳だ。道中ヴァジュラの群れとコンゴウの群れに一回ずつ遭遇したり、猛烈な吹雪にあって軽く遭難したりと散々な目にあったせいで年を越えてしまったがな。
「で、要件は何だ?こっちは海越え、山越えと散々な目にあいながら来たぞ……それ以前にお前こんな所から俺のいるところの無線機を探り当てたのか?」
「いや、すまないね。あの時はたまたま私も極東支部にいたからだよ、流石にここからは調べられないよ」
そう言いながら、サカキは俺をジロジロと見てくる。狐のような糸目せいでイマイチ視線は分かりにくいが、確実に俺を見ていることだけは分かる。
「それにしても驚いたよ、マキナ君が意思疎通の可能なアラガミだとは分かっていたが………人型のアラガミだとは、実に興味深い」
「はぁ…それに関してはまた今度だ。早く要件を言え、俺の正体がフェンリルの奴らに気付かれると色々困るんだ」
「ああ、そうだったね。では、ここに呼び出した理由だけど、これを見れくれ」
サカキに手渡された一冊のファイルを開くと、中には軍がロシアで大規模なアラガミの討伐作戦を行うという事が書かれており、大まかな作戦の内容とフェンリルがゴッドイーターを援軍として何名か派遣するという補足説明もあった。
これは………アニメPVの内容だな。今は2056、いや途中で年が変わったから2057年だからあと10年と少しか……俺がこの世界に来て大分経ったな。
「で、これがどうしたんだ?」
「しばらくロシアで暮らして貰えないかな?」
What?
「軍からフェンリルにロシアがこの作戦に適しているかを調査するよう命令がきたんだけれど、マキナ君も知っているようにゴッドイーターの育成はまだまだ黎明期で、ロシアのような広大な地域を調査するには少々不安があるんだ」
「つまり、ゴッドイーターがマトモに使えるようになるまでその調査を俺がやれってことか?」
「そうだね。恐らく、5年ほどになると思うよ。ロシアの偽装戸籍と仮の家も用意してあるから住居の面では心配しなくても大丈夫だ。それに近々フェンリルからも同じような依頼が来るはずだ、休暇を取ると思って調査を引き受けて貰えないかな?」
確かに前にロシアの辺りを通った時はロクなアラガミもいなかったし、アナグラに真っ当な家もある分生活の質も悪くはないだろう。だが、5年は長すぎる 。
「流石5年は長すぎる、せめてその半分にしろ。何が悲しくて5年も雪ばかりの白い国にいなきゃならんのだ。それに普段の依頼をこなすために一々近くの支部に置いておくのも、ここに来るまで散々な目にあった吹雪を毎度毎度通らなきゃならん。それを休暇としてやるには御免被るな」
「それは困ったな…仕方ない、ゴッドイーターの年齢を下げて数を増やすしかないか……未来ある若者がが散っていくのは心苦しいが仕方ないね。ああ、マキナ君、こんな所までわざわざ済まなかったね」
OK、こいつは外道だというのが今分かった。
「………やればいいんだろ、やれば」
「おお、やってくれるのかい!?ありがとう、助かるよ」
「ただし、5年が限度で、調査もアラガミを喰うついでだ。それと報酬の半分は現金でカナメのところの送っておけ」
「分かった。それにしても君はつくづくカナメ君が気に入っているようだね、何か理由でも?」
「俺がこれだけ自由に動き回れるのも、カナメがフェンリル相手に俺の自由を認めさせたからだ。この位するのは当然だ、理由なんてそんなもんだ」
加えて、可能な限り俺の関わった奴には幸せになって貰いたいからな。偽善かもしれんが、俺はやりたいようにやるだけだ。強いて言うなら趣味や道楽の類だ、誰かに文句を言われようが特にやめるつもりはないし、感謝してもらういわれもない。


その後、ロシアで一時的に住む為の住民票やら土地の権利書、身分証明書やらをサカキから受け取り、再び来た道を戻り不本意極まりないが吹雪の中を歩く羽目になった。寒さは感じないのだが、吹雪で視界が遮られ氷の混じった雪が体にへばり付き動きを妨げられるのはアラガミの体でも厄介で、方向感覚すら狂わされるのは我慢ならん。
サカキによって端末に記録された道筋通りに歩いているのだが、時々崖やら川にぶつかり転がり落ちたり、凍った川に知らずに乗りそのまま川の中に落ちたりした。記録をとってから時間が経ち、アラガミによって出来た崖や川だと信じたいが、サカキの事だ俺がアラガミの体ということで問題ないと考えてこのルートにしたという可能性も捨てきれない。
まぁ、とりあえず目的の街に辿り着けたから構わないんだが……川の中に落ちた時、何匹か凍って動けないオウガテイルが川の底にいたのを見て、この辺の気候に対応したアラガミを喰っておいて良かったと心の底から思った。できれば用意された家でシャワーでも浴びて凍ったヴァジュラのマントと髪をどうにかしたい、マントやらは芯まで凍っているわけではないが川に落ちた時に水を表面が吸って凍っているのだ。動きに支障はないが、流石に鬱陶しいので早いところ溶かそう。
さて、地図によるとこの辺りなのだが……おうふっ!?
な、なんだ後ろから膝に衝撃を受けたぞ、!?
こんなところにもアラガミがいるのか、いやアラガミが膝カックンとはどういうことだ?などと考えて倒れかけた体勢を立て直し後ろを振り返ると、見知らぬロシア人らしき家族がいた。どうやら子供が俺にぶつかったらしく、両親だろう二人が何か言いながら謝っているのだが………ロシア語など分かるわけないだろう。
とりあえず通じるかどうか分からんが、二度と使いたいくないと考えていた拙い英語でロシア語は理解できないと伝えると、驚いたような表情をされた。どうやら髪の色を弄るのを忘れていたらしく、白い髪と白い肌がロシア人の家族と同じような色だったので俺を同じロシア人だと考えたらしいが………顔付きが違うだろう?
それ以前にようやく歩けるようになった赤ん坊を街で歩かせるなと心の中で愚痴りながら、ロシア人の家族と別れ恐らく俺の家であろう家に入る。いや、久しぶりの天井や壁のある住処だ………家具やらはとりあえず一式揃っている、衣服もそれなりに揃っているな。よし、シャワーを浴びよう、いい加減髪鬱陶しいんだ。服を脱ぎ、備え付けてあった洗濯機に放り込むと俺はシャワーの蛇口を捻って………氷水を浴びる羽目になった。
………ロシアに着いて一時間と立っていないが、既に帰りたくなってきたぞ。こんなんで五年間やっていけるのだろうか?







 
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