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ZOIDS 紅の獅子

作者:大牟
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第1話 ゾイド乗りの少年

延々と続く砂漠を走るライガーゼロ

コクピットの中でアオイはイライラを募らせていた。

「あ~もうホントにいつになったら町が見えてくるのよ~!!」

彼女はコクピットの中で子供の様に手足をバタつかせる。

「スリーパーゾイドに襲われるわ、再三盗賊に襲われるわ、何なのこれ嫌がらせ?
あ、もしかして私の美貌のせい?ホント私って罪作りなオ・ン・ナ」

調子のいい事を口走るアオイに、ゼロは冷や汗をかく。

「な~んて冗談はさておき・・・ここって共和国軍の勢力圏内よね・・・。
私はともかく、ゼロを見られると厄介ね・・・」

そう呟き入り組んだ岩場が並ぶ地域に辿り着いた。

その彼女の目の前に

「ん?あれって・・・シールドライガー?」

青いシールドライガーと、傍の岩場に座っている少年と小型ゾイドの姿があった。

「何で共和国最速のシールドライガーをあんな子供が・・・それに近くにいる小さいゾイドは何?」

気になるところが山ほどあったが、とりあえず話をしてみようとシールドライガーの前でゼロを止めた。

「な、何だこの紅いライガー!?」

「ウオ?」

少年は驚き、小型ゾイドは不思議そうに首をかしげていた。

コクピットハッチを開き、アオイは彼らに接触する。

「あなた達、ここで何をしてるの?」

「お、女の人?」

「ここは共和国軍の勢力圏内よ。何処で手に入れたか知らないけどシールドライガーに乗ってたら盗賊と疑われるわよ?」

「そうだ!俺の仲間が共和国軍に捕まったんだ!」

「え!?」

「幸いジークが助けてくれて俺は逃げ出せたんだけど・・・」

「ジークって、この銀色の小さいゾイドのことね。」

アオイは銀色の小型ゾイドであるジークへ目線を移す

(ジークって名前のゾイド・・・共和国軍にいた様な記憶があるわね・・・それに、あのゾイド、話に聞いたオーガノイドかも・・・)

そう思考を巡らせていると

「おーい、どうした!?」

「え?あ、ごめんなんでもない。」

少年にそう尋ねられると思考をとりあえずやめた。

「早くしないとフィーネとムンベイが危ないんだ!」

「フィーネ・・・ムンベイ・・・名前からして女の子ってとこね。」

アオイは、少年の願いを聞き入れることにした。

「わかったわ、協力してあげる。」

「ホントか!?どっかの誰かさんと違って話が分かる!」

「誰の事かしら・・・私はアオイ・リュウガ、あなた名前は?」

「バン、バン・フライハイト」

「え!?」

アオイは、バンの名前を聞いて驚いていた。

(この子って、もしかして・・・!)

事情は後で聞くことにして

バンとジークの後ろからついてくる形で共和国軍の基地へ向かう。

(ここって、レッドリバーの近くよね・・・てことは、下手したら帝国軍とも・・・)

「や、やべ!?」

バンの悲鳴にアオイはゼロの足を止めた。

「どうしたの?」

「あれ」

バンの指を指す方を見ると

『この近くにいるはずだ。』

『全く面倒をかける』

共和国軍のゾイドが辺りをうろついていた。

「これ、きっとあなたを捜索するために派遣されたのね。」

「くそっ、ここを通らなきゃ基地に辿り着けないってのに・・・!」

悔しそうに顔をしかめるバン

アオイは一つの提案を出した。

「私がこのゾイド部隊を引き付けるわ。その隙にレッドリバー基地へ向かって。」

「それじゃあアオイは!?」

「大丈夫、ガイザックやゴドスに遅れをとる私じゃないわ。けど・・・」

アオイは、捜索している一体のゾイドを見た。

他のゾイドと形が違う 白い恐竜型ゾイドだ。

「共和国軍の新型かしら・・・強いて言うならゴドスの系統?」

「何だよあれ・・・さっきまであんなのいなかったのに・・・」

「考えてる暇はないわ。バンとジークは早く基地へ!」

アオイはゼロを走らせ、捜索部隊の前に躍り出た。

『な、何だ!?』

「お勤めご苦労様です。共和国軍の皆さん?」

『何だこの紅いライガーは!?』

『まさか帝国がもう攻め込んできたのか!?』

共和国軍が慌てている隙に

「行くぞジーク!アオイが作ってくれた隙を無駄にするわけにはいかない!」

「グオォォォ!!」

バンはジークの背にまたがり基地へ走っていった

(そう・・・行きなさい。手遅れにならない内に)

アオイは目線だけでバンを見送った後、共和国軍と戦闘準備をする。

「さあ一戦付き合ってもらえないかしら?三下盗賊の相手ばっかりしてたから腕が鈍りそうで困ってたところなの。」

「ただのゾイド乗りが何であんなものを・・・!?」

「どうしますか、ライト・フリューゲル少尉!?」

部下の問いかけに答えたのは、白い恐竜型の新型ゾイドのパイロットだ。

「うろたえるな!どの様なゾイドでもたかが1体、数で押し切る!」

ガイザックがゼロを取り囲み、尻尾のビーム砲を向けた。

「包囲殲滅・・・まぁ初歩的な戦法よね。でも、それが通じるのはレッドホーン位ね。」

「逃げ場がないのに随分と余裕だな。」

「そりゃあ伊達に場数は踏んでないからね。」

「(ライガータイプなら飛んで避けられるが、予備動作を考えれば・・・)攻撃開始!!」

ライトが命令を下した後、ガイザックが一斉に砲撃を仕掛けた。

「来た、予測どおり!」

ゼロはガイザックの砲撃を飛んで避けた。

「何!?」

ライトがうろたえてる間に互いの流れ弾でガイザックが被弾し戦闘不能になる。

「何処だ!?何処に行った!?」

「ベタだけど・・・上よ!」

慌てふためいているゴドスのパイロットめがけて突っ込み、機体を吹き飛ばす。

「うわあぁぁぁ!!」

「怯むな!攻撃しろ!」

ライトの命令で残ったゴドスがゼロに向け砲撃を仕掛ける。

さすがに訓練された兵士だけに、狙いが正確で足止めを食らう。

「さすがにただで勝てると思ってないけど・・・!」

しかし、すぐにゴドスの前へ走り

「私とゼロを舐めないことね!!」

前足でゴドスを横に弾き飛ばす。

次々と戦闘不能になる共和国のゾイド達

残ったのは、新型のゾイドだけだ。

「さあ、残ったのはあなただけみたいだけど?ライト・フリューゲル少尉?」

余裕な態度を見せたアオイだが、ライトも怯まずゼロへ立ち向かう。

「俺だって新型ゾイド、アロザウラーを任された身だ!ここで退くわけにはいかない!」

ライトはアロザウラーでゼロに格闘戦を挑むべく駆け出した。

「なかなかの機動力ね、さすが新型。でも、私とライガーゼロ相手じゃまだまだね!」

ゼロは咆哮し、アロザウラー向けて駆け出す。

「行けアロザウラー!!」

「さあ、とどめといくよ!ストライク」

『両者、そこまでだ!!』

2機の間の地面に砲撃が着弾し、2機は停止した。

『フリューゲル少尉、そのゾイド乗りへの攻撃は中止だ。』

二人の前に、ゴルドスが割って入ってきた。

その声を聞いてライトは声を荒げる

「ハ、ハーマン大尉!?」

「すまないことをしたな。彼らの知り合いだったとは」

「は?知り合いって、何のことよ?」

突然のことに、アオイは疑問に思うばかりだ。

「バンと言う少年とフィーネ、ムンベイは傭兵として我々共和国軍が雇った。」

「はぁ!?」

「そこで、お前にも協力してもらう。」

「ふざけないでよ!何で私が共和国に協力しなきゃいけないのよ!」

ハーマンは、咳払いをして話を続ける。

「君のおかげで、ただでさえ少ない我々の戦力が減ってしまったのでな。」

「あ・・・・・・・」

それにアオイは言い返せず口を紡いだ。

バンを捜索していたゾイドも、レッドリバーの数少ない戦力

それを全て戦闘不能にしてしまい、しばらく動かせなくしたのは事実だ。

「報酬は支払われるし、補給も受けられる。悪い話じゃないと思うが?」

ハーマンの提案に、アオイはため息をついた。

「はぁ・・・わかったわ。少ない戦力を使い物にならなくしたのは事実だし・・・」

「頼んだぞ。ライト少尉、彼女のエスコートを。」

「りょ、了解です!」

ハーマンは要件を伝え終わるとゴルドスを基地へ走らせた。

「では、こちらへ。」

「どうも。」

ライトはアオイをレッドリバー基地へゾイドを走らせる。

先ほどまでいがみ合っていたせいか、かなりギスギスな空気を漂わせていた。

(はあ・・・何でこんなことになったのかな・・・あのバンって子、あんまり関わり合いにならない方が良かったかも・・・)

そう心の中でバンに協力した自分を後悔していた。

しかし、これよりもっと面倒なことになることを

今のアオイに知る由はなかった。
 
 

 
後書き
次回予告

アオイ・リュウガよ。まったく面倒な事してくれたわねあの子・・・まさか私が共和国に協力するなんて・・・まあ、戦力潰しちゃったの私なのは事実だし・・・
レッドリバーで帝国軍の大部隊が待ち構えていた。
え・・・あのダークホーンに乗っているのって・・・!!
たとえあの人が相手でも手加減はしない!!

次回、ZOIDS 第2話「レッドリバー攻防戦」

今度もめちゃくちゃ、動きまくってやるわ!! 
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