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髑髏の山

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第四章

「寺の方に行って来る」
「あの、じゃあ俺達も」
「俺達も一緒に行っていいですか?」
 ナム達は老人が僧侶の服を来て仏具も持っていることに驚きを出しながらも老人に対してこう頼んだ。
「もう三人帰って来ないんです」
「それで心配で」
「若し心当たりがあるなら」
「そこに案内してくれますか?」
「心当たりはある」
 老人は深刻な顔のまま一同に答えた。
「なら一緒に来てくれるか」
「はい、是非」
「三人共どうなったのか不安で」
「誘拐とかされてないですよね」
「夜は危ないですからね」
「誘拐はないが急がねば危うい」
 こう答えた老人だった。
「すぐに行こう」
「はい、じゃあとにかく」
「案内して下さい」
 ナム達は事情がわからないままだった、そのうえで。
 とにかく今は老人についていくことにした、それでだった。
 老人も加えた一行は彼について行った、夜道まだ灯りの少ないそこを通ったうえで辿り着いた場所はというと。
 寺だった、そこに来てナムが老人に言った。
「あの、ここは」
「肝試しの目的地だったな」
「はい、そうでした」
「だから言ったのだ」
 苦々しい言葉をだ、老人はまた出した。
「ここだけはとな」
「あの、噂話は」
「現実は時として噂以上に恐ろしい」
「といいますと」
「すぐに墓場に行く」
 寺の中にあるそこにだというのだ。
「そのうえで何とかする」
「何とかって」
「それは」
 ナム達は老人の言葉に首を傾げさせた、だが。
 その彼にだ、こう言ったのだった。
「あの、よかったら」
「ここはですが」
「俺達も一緒に行っていいですか?」
「墓場まで」
「手伝ってくれるならいいが」
 それでもだとだ、老人は彼等に顔を向けて真剣な面持ちで語った。
「くれぐれもだ」
「注意しろ、ですか」
「そうしろっていうんですね」
「わしの後ろにいてくれ」
 そしてそこからだというのだ。
「変に動かないでくれ」
「わかりました、それじゃあ」
「そうさせてもらいます」
 ナム達も応えた、そのうえで。
 老人と共に墓場まで行った、老人は塩も仏具も全て持って行った。そのうえで寺の裏の墓場まで行くとだった。
 先に言った三人が今にもだった、何かに何時の間にか掘られていたらしい深い穴の中に引きずり込まれていた。最初に行った男はもう頭以外全て引き込まれている。
 そしてだ、三人を穴の中に引き込もうとするものを見ると。
 大きさは大きな岩程だ、そして丸く白い。穴が幾つかある。それはというと。
「おい、あれ」
「ああ、そうだな」
「骸骨だよな」
「髑髏だよ」
 夜目に慣れていたからわかった、それは。
 髑髏だった、無数の髑髏が三人を穴の中に引きずり込んでいたのだ。ナム達はそれを見て瞬時に蒼白になった。 
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