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オズのモジャボロ

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第八幕その七

「この人達もカドリングなんだね」
「そうだね、この国の人達なんだね」
「今ではね」
 ジョージと神宝がカルロスのその言葉に応えます。
「そうなったんだね」
「オズの国に入って」
「いや、本当にオズの国は色によって分かれているんだね」
 しみじみとして言ったカルロスでした。
「それぞれの色に」
「どの色が一番いいとかはないけれど」
 それでもだと言ったのは恵梨香でした。
「本当にそれぞれの国の色に分かれているわね」
「ただ、色が面白いよね」
 神宝がここで言うことはといいますと。
「紫、青、赤、黄色、緑ってね」
「その色が面白いの?」
「中国じゃ五色は黒、青、赤、白、黄色なんだ」
「それ何の色なの?」
 恵梨香は首を傾げさせて神宝に中国の色について尋ねました。
「一体」
「五行っていう考えからくるものなんだ」
「五行?」
「そう、北が黒、東が青、南が赤、西が白、真ん中が黄色なんだ」
「東と南はオズの国と一緒だね」
 ジョージは神宝の説明を聞いてこう言いました。
「後は違うけれど」
「うん、黒と白はないね」
「その代わりに紫と緑があるね」
「そこが違うね、方角の色も」
「そうだね」
 こうお話するのでした。
「国によってそういうの違うんだね」
「中国は中国で」
「オズの国はオズの国で」
「そうだね」
「そうね、私も今気付いたわ」 
 ドロシーもでした、五人に応えて言います。
「中国の方角のそれぞれの色のことははじめて聞いたけれど」
「違うことにですけ」
「ええ、国によってそれぞれ方角の色とかが違うのね」
「そうですね」
「本当にね、このことも面白いわね」
 ドロシーは神宝とお話しながらしみじみと思ったのでした。
「オズの国はオズの国ね」
「中国は中国ですね」
「それぞれの違いね」
「ええ、そこは」
「文化の違いだね」
 それは何かということをです、モジャボロが言いました。
「それは」
「文化の違いなのね」
「これこそがね。それぞれの国に文化があってそれぞれ違うんだ」
「そうなんですね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「どの文化にも違いがあるだけでどの文化が一番いいとかはね」
 そうしたことはというのです。
「ないんだよ」
「オズの五つの国に優劣がないことと一緒ね」
「そうだよ、カドリングとマンチキンどっちが立派かな」
「どっちも立派な国よ」
 ドロシーはモジャボロにすぐにこう答えました。
「優劣なんかないわ」
「そうだね、だからね」
「それぞれの国の文化もなのね」
「優劣はないんだよ」
「どの国が優れているとかは」
「うん、ないんだ」 
 そうだというのです。
「そういうことはね」
「それで狐の国も驢馬の国もなのね」
「そう、優劣はね」
 それはというのです。
「ないよ」
「そうなのね」
「だってドロシーはどっちの国も好きだね」
「どちらの国の人達も私の大切なお友達よ」
「そういうことだよ。文化もまたそうだから」
「そういうことね」
 ドロシーも納得しました、そうしてでした。
 皆で驢馬の国に入ります、そしてこの国でもでした。 
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