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オズのモジャボロ

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第八幕その六

「お野菜をたっぷり入れると美味しいしね」
「余計にだね」
「そう、いいからね」
 だからだというのです。
「食べるといいよ、ジョージもね」
「そういうことだね」
「うん、それで今度の驢馬さん達の国では」
「そのお野菜をだね」
「たっぷり食べることになるかもね」
「何かご馳走ばかりになって悪いね」
「全くだね」 
 あまりにもそうしてもらってばかりで申し訳なくも思う五人でした、ジョージと神宝だけでなく。ですがその五人にです。 
 ドロシーがです、笑顔でこう言ってきました。
「いいのよ、貴方達だってエメラルドの都ではお料理を作るわよね」
「はい、それぞれの」
「そうさせてもらいます」
「貴方達は今はご馳走になっているけれどね」
 エメラルドの都では、というのです。
「パーティーの時にはご馳走するのよ」
「私達がですね」
「そうする番なんですね」
「そう、だからね」
 それでだというのです。
「楽しく食べてね」
「はい、わかりました」
「それじゃあエメラルドの都では」
「そうさせてもらいます」 
 こうお話してでした、そのうえで。
 五人はエメラルドの都では自分達がご馳走することを楽しみにすることにしました。そのエメラルドの都でのパーティーの時に何を作るか。
 恵梨香はです、こう皆に言いました。
「お寿司はね」
「あれは難しいわよ」
 ナターシャが恵梨香に返しました。
「物凄くね」
「そう、握るだけじゃないから」
「そうよね、お寿司はね」
「お握りは作ることが出来るけれど」
 これはというのです。
「けれどお寿司はね」
「あれは無理よね」
「お寿司は本当に難しいって言われてるの」
「お茶で三年かかるのよね」
「美味しいお茶を淹れることだけでもね」
 まずはお茶からだと言われているのがお寿司です、ですがそのはじまりのお茶ですら、というのです。お寿司は。
「難しいのよ」
「三年ね」
「それで御飯、お寿司のじゃりを作ることも」
「難しいのよね」
「それも三年かかるって言われてるの」
 これもだというのです。
「それで最後の握ることも」
「三年?」
「そう、三年なの」
 こちらもそれだけかかると言われているというのです。
「最後もね」
「合わせて九年ね」
「私達今十一歳だから」
「上手に出来る時には二十歳よ」
「物凄く先よね」
 子供達からするとです、本当に九年は長いです。だから恵梨香もナターシャも九年という歳月に途方もないものを感じたのです。
 それで、です。ナターシャは恵梨香に言いました。
「お寿司は無理よ」
「それはよね」
「ええ、残念だけれど」
「回転寿司でもないと」
「回転寿司ねえ。あれね」
「あれだと出来るけれど」
 例えです、恵梨香達でもだというのです。
「機械もすぐには出来ないから」
「だからよね」
「そう、今回はね」
「諦めるしかないわね」
 こうしてお寿司は無理だろうということになりました、そうしたお話をしつつです。
 一行は驢馬の国に向かいます、そして二日程歩いてでした。
 その驢馬の国に来ました、するとこの国でもでした。
 驢馬さん達も赤い服を着ています、カルロスはその赤い服の驢馬さん達を見てしみじみとしてこう言うのでした。 
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