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万華鏡

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第七十五話 大雪の後でその十一

「しかも結構大きくて。三メートル位あってね」
「そのことも聞いてます」
 夏のその合宿の時にだ、琴乃にしても。
「あのトンカチみたいな頭の鮫ですね」
「そう、あの鮫結構大きくてね」
「人も襲って」
「しかも群れなすうえに夜もいるから」
「鮫って基本夜行性らしいですね」
「いつも泳いでいないといけないから寝ることはないけれどね」
 鮫は泳ぐことを止めると死んでしまう、そうした身体の構造なのだ。さもないとエラ呼吸が出来ないのである。
「それでもね」
「夜にこそですね」
「動きが活発になるから」
「夜にこっそり海を泳いで逃げることも」
「出来ないのよ」
「まさに刑務所ですね」
 琴乃は宇野先輩に眉を顰めさせて述べた。
「あそこって」
「そう、あそこは本当に特別なのよ」
 どう特別かもだ、宇野先輩は琴乃に話した。
「広島の中でもね」
「そうなんですね」
「まあ。私大学進学考えてるから」
 宇野先輩の言葉に将来の話も入った、そのうえで言うこととは。
「広島にはまだ帰らないわ」
「大学を卒業されてからですか」
「そう、それからだから」
 それでだというのだ。
「合宿とか夏休みの時以外は江田島には行かないわ」
「私もね。岡山にはね」
 高見先輩も自分の将来のことから話す。
「暫く帰らないわ」
「じゃあ高見先輩も」
「そう、大学にね」
「進学されるんですね」
「八条大学にね」
「私もね」
 宇野先輩もまた言う。
「勉強も頑張って」
「それで行くつもりだから」
「そうですか。じゃあ頑張って下さいね」
 琴乃は先輩達に真面目な顔で言葉を返した。
「これから」
「ええ、大学を卒業してもね」
「宜しくね」
 八条学園高等部と八条大学は同じ敷地内にある、だから先輩達が大学に進んでも会うことがあるからだ。こうした挨拶になったのだ。 
 そうした話をしていてそれが終わった時にだ、ここで。
 部長も副部長も入ってきてプラネッツや他の部員達も入って来た、部長は琴乃達三人の姿を見てこう言った。
「三人共かなり早く来たみたいね」
「ええ、ちょっとね」
「それでここでお話してたのよ」
 宇野先輩と高見先輩が部長のその言葉に応えた。
「ちょっとね」
「色々とね」
「あんた達のクラスは授業終わるの早かったみたいね」
「ええ、こっちはね」
「そうだったのよ」
 二人の先輩は部長にその通りだと答えた。
「体育の後ですぐにね」
「着替えてこっちだったから」
「私のクラスもです」
 琴乃もこう部長に答えた。
「体育が早く終わって」
「それで更衣室で着替えて」
「はい、こっちにすぐに来ました」
 教科書やノートを入れた鞄は五限目が終わって体育の授業で更衣室に行く時に持って行った。そちらもちゃんとしたのだ。
「それでなんです」
「体育って今日は」
「体育館よ」
「そこでバスケしてたわ」
 先輩達はその場所を授業でやったスポーツの種目の話もした。 
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