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オズのモジャボロ

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第二幕その四

 黄色い煉瓦の道はそのままで草原の色が別れたのです、ジョージはその赤い草原を見て目を瞠って言いました。
「赤い草原ってね」
「うん、オズの年代記では読んでいたよ」
 神宝も唸る顔で応えます。
「けれどね」
「こうしてこの目で見るとね」
「凄いね」
「全くだよ」
 こう言うのでした、鮮やかな赤い草原を見ながら。
「いや、綺麗だよ」
「赤い草原もね」
「何もかもが赤いけれどね」
「うん、木も家もね」
 本当に何もかもが赤いです、カドリングは。
「鮮やかな赤でね」
「この国も素晴らしいね」
「服もそうなんだよ」
 トトが二人に下から言ってきました。
「カドリングはね」
「うん、赤だね」
「そうだよね」
「そうだよ、赤だよ」
 まさにその色だというのです。
「カドリングだからね」
「そうだよね、やっぱり」
「赤だよね」
「うん、だから人に会うことも楽しみにしていてね」
 こうお話するトトでした、ですがここでなのでした。
 カルロスがです、そのトトに尋ねました。
「あの、いいかな」
「どうしたの?」
「トトも普通に喋ってるよね」
「人間の言葉をね」
「そうだよね、やっぱりそれも」
「そうだよ、他の動物の皆と同じでね」
「オズの国だからだね」
 カルロスは自分から言いました。
「だからだね」
「オズの国では動物は喋られるからね」
「トトも最初は喋られなかったのよ」
 ドロシーがこのことをカルロス達にお話しました。
「ビリーナもそうだけれど」
「けれどオズの国に入って」
「それで」
「そうなの、それでなの」
 喋られる様になったというのです。
「私ともお話が出来る様になったのよ」
「そうなんですね、トトも」
「この犬も」
「トトはずっと一緒にいる私の友達よ」
 ドロシーにとって、というのです。
「私がまだほんの小さな子供だった頃からのね」
「そしてこれからもですね」
「ずっとですね」
「そう、ずっとね」
 まさにというのです。
「トトは私の友達よ」
「それでそのトトも今回は」
「僕達と一緒ですか」
 五人もトトを見て言うのでした、そして赤い草原の中の黄色い煉瓦の道を進んでいってです、モジャボロが皆に言いました。
「さて、そろそろね」
「そろそろ?」
「そろそろっていいますと」
「お昼だからね」
 見ればお日様がかなり高くなってます、それで言うのでした。
「御飯を食べようか」
「あっ、丁度いい具合に」
 恵梨香が右手を指し示した、そこにです。
 お弁当の木の森がありました、それを指し示して言うのです。 
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