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美しき異形達

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第六話 水と氷その十四

「それでもかよ」
「だからそうした呼び方はね」
「嫌だってんだな」
「うん、天才とか褒められることは苦手だから」
 それでだというのだ。
「そうは言って欲しくないね」
「悪い、そこはな」
「うん、けれどね」
「それでもか」
「僕は高校生だよ」
 三年だ、八条学園高等部の。
「高校生で知っていることは限られているよ」
「学生さんだからか」
「そう、学生と学者ではその知識と技術には雲泥の差があるんだ」
 この現実をだ、智和は薊だけでなく菖蒲にも話した。
「学者は専門職だからね」
「だからここはか」
「学者さんにお任せするよ」
 智和の知り合いの、というのだ。
「そうさせてもらうからね」
「わかったよ、じゃあな」
「お願いします」
 薊だけでなく菖蒲も応えた、こうしてだった。
 灰は智和の知り合いの科学者に渡されて調べられることになった、こうして灰のことは調べた結果が数日後出ることになった。
 これで一旦話は終わった、だが。
 薊は智和に灰を渡した帰りにだ、少し首を傾げさせて菖蒲に言った。
「あたし達のこともな」
「力のことね」
「そのこともわからないからな」
「そうね、火炎や水氷を出せることも」
「謎なんだよな」
「私達の身体はどうなっているのかしら」
 菖蒲はクールな顔だがそれでも真剣な顔でいった。
「考えてみれば不思議ね」
「不思議どころじゃないな」
「ええ、力を出している間腕力と耐久力も増していて」
 そしてだった。
「敏捷性もね」
「段違いに上がっててな」
「不思議なことにね」
 実にというのだ。
「このことは」
「何だろうな」
「そのこともね」
「調べてもらうか」
「その方がいいわね」
「ああ、どんな身体になっているんだ」
 自分の身体のことだ、だが。
 それでもだった、薊はこう言うのだった。
「あたし達の身体は」
「謎だらけね」
「というかあたし自分の親知らないしさ」
「私もよ」 
 菖蒲は薊にここでこのことを話した。
「実はね」
「えっ、そうなのかよ」
「このことはお話してなかったわね」
「ああ、菖蒲ちゃんのこと聞いてなかったな」
「それじゃあな」
 こう話してだ、そしてだった。
 菖蒲は再び口を開く。そして薊に自分のことを話すのだった。
「ではいいわね」
「聞かせてもらうな、菖蒲ちゃんのこと」
「わかったわ」
 こうしてだった、菖蒲は薊に自分のことを話すのだった。これまで話していなかった彼女のことを。


第六話   完


                    2014・2・7 
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