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ドリトル先生と京都の狐

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第四幕その十一

「頑張ってね、そっちも」
「そうなればいいね」
「何ならいい人紹介するよ」
 こうまで言う王子でした。
「知り合いの人でね」
「そこまで気を遣ってもらわなくていいよ」
「そうなんだ」
「うん、悪いからね」
「けれどそれでもね」
「結婚のこともだね」
「考えておいてね」
 このことは真剣にだというのです。
「一生のことだから」
「わかったよ、そのこともね」
 考えていくとです、こう答えた先生でした。
 それで湯船の中でつい歌を口ずさみます、その歌もでした。
「それ日本語の歌ですね」
「うん、そうだよ」
「昔の歌ですか?」
「ええと、紅葉だったかな」
 その歌だというのです。
「確かね」
「紅葉の歌ですか」
「日本にはいい歌も多いんだ」
「それで今ですね」
「うん、口に出たんだ」
 そうだったというのです。
「ついね」
「何かそういうところも」
「そうだよね、先生日本に馴染んでるね」
 トミーだけでなく王子も言うのでした。
「すっかりね」
「僕から見てもそう思うよ」
「本当にここまで馴染むとは思わなかったよ」
 先生にとっても予想外でした、本当に全く。
「けれどよかったよ、馴染んでくれてね」
「そうだね、日本人になったみたいで」
「今じゃフォークとナイフの方に違和感があるかな」
 使う食器もです、もうそうなっているというのです。先生は自分から言いました。
「お箸ばかり使っているとね」
「そうなったんだね」
「うん、どうもね」
 こう言うのでした。
「なってきたよ」
「それ馴染み過ぎでは?」
「幾ら何でも」
 二人もそのことには驚いてこう言いました。
「フォークとナイフよりもお箸って」
「本当に日本人みたいだよ」
「そうなるかな」
「なります。いや何か」
「先生生まれついての日本人みたいに見えてきたよ」
「何か僕は日本に合い過ぎているのかな」
 ここでこうも言った先生でした。二人の言葉を聞いて。
「そうなのかな」
「そうかも知れないです」
「そう思えてきたよ」
 こう言うのでした、そして。
 そうしたお話をしてでした、お風呂から上がってお風呂上がりのお茶も飲んでそれからお布団に入ってなのでした。
 この日は寝ました、そうして次の日に備えるのでした。 
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