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ドリトル先生と京都の狐

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第四幕その十

「そうね」
「それじゃあ本当にね」
「結婚だね」
「日本の女の人とね」
「いるかな、僕に」
「いるよ」
 一言での返答でした、このことについては。
「絶対にね」
「本当に?」
「だって先生凄くいい人だからね」
「外見はこんなのでもなんだ」
 お顔は野暮ったくて身体は丸々と太っています、背は高いのですがそれでもお世辞にもハンサムではありません。
 けれどです、王子はその辺りは気にしなくていいというのです。
「そんなの平気だよ」
「本当に?」
「先生に足りないのは世間への知識だよ」
「世間のことに疎いのは自覚してるよ」
 だからイギリスではいつもお金に困っていたのです、それで色々と動物達の助けを借りて暮らしていたのです。
「何かとね」
「そうだね、けれどね」
「僕はそれだけなんだね」
「先生みたいないい人は滅多にいないよ」
 このこともその通りです、先生は公平で偏見がありません。しかも誰に対しても謙虚で紳士的に振る舞います。尚且つ無欲で人に怒ることも不平を言うこともありません。こうした人は実はかなり少ないのです。
 だからです、王子はこう言うのです。
「しかもお仕事もあるじゃない」
「大学教授だね」
「そう、だったら絶対に誰かいい人が来てくれるよ」
 相手の方からというのです。
「間違いなくね」
「だといいけれどね」
「そうなるから。安心していいよ」
「結婚ねえ」
「本当に考えた方がいいよ」
 王子はとても親身に先生に言います、それはお友達としての切実な言葉です。
「さもないと一生独身だよ」
「そのつもりもあまりないけれど」
「だったらね」
「結婚だね」
「そう、相手を見付けるべきだよ」
 若しくは来てくれた相手に声をかけてだというのです。 
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