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美しき異形達

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第四話 第二の怪人その六

「僕の家にはね」
「何かな、紅茶ってな」
「私達だとね」
 薊と裕香は智和の話から首を傾げさせて二人で話した。そこには明らかな戸惑いがあった。
「リプトンとか日東のな」
「ティーパックよね」
「八条食品のもいいけれどな」
「そういうのよね」
「まあそこはね。僕の家は皆紅茶やコーヒーを飲むから」」
 それでだというのだ。
「色々あるんだ」
「金持ちだからじゃないのかよ」
「紅茶も一杯あるのは」
「ははは、そういうことは言わないでね」
 家の資産ことはというのだ。
「それはね」
「じゃあ言わないけれどさ」
「そうしますけれど」
「ではあらためて聞くけれどね」
「どの紅茶か」
「それですね」
「うん、何がいいかな」
 あらためてだ、智和は二人に尋ねた。
「お任せでいいかな」
「ああ、別にさ」
「聞かれてもわからないですから」
 だからだと返す二人だった、二人にしてはアッサムやセイロンと言われてもとてもわかりかねることだったからだ。
 その話を聞いてだ、智和は家のベルを鳴らした。すると二十歳位の小柄な黒と白のメイド服の女性が来た。そのメイドは部屋に入るとまずは頭を下げて一礼してこう智和に尋ねてきた。
「若旦那様、何の御用でしょうか」
「うん、紅茶を三つお願い出来るかな」
「どの様な紅茶を」
「僕はセイロンでロイヤルミルクティーを。この人達はお任せでね」
「ではお菓子は」
「そうだね。ケーキはあるから」
「今はチョコレートとチーズがありますが」
 メイドは微笑んでこう言ってきた。
「どちらを」
「君達はどれがいいかな」
 ケーキについてもだ、智和は二人に尋ねた。
「どちらにするのかな」
「チョコレートかな」
「私もそちらを」
 薊がチョコレートと言うとだった、裕香も彼女に合わせた。
「じゃあそれを」
「お願いします」
「では僕もね」
 智和もだった、二人の言葉を受けてメイドに言った。
「チョコレートケーキをね」
「はい、わかりました」
 メイドはケーキのことにも応えた、そしてだった。
 程なくしてその紅茶とケーキが来た、智和の紅茶はセイロン茶を使ったロイヤルミルクティー、そして二人の紅茶はというと。
「普通のミルクティーにしました、お茶の葉はアッサムです」
「いや、ミルクティーはわかるけれどさ」
「アッサムはさっき先輩からはじめてお聞きした言葉ですから」
 だからだと返す二人だった、それも戸惑う顔で。
「あのさ、ちょっとさ」
「私達そうしたことは」
「そうですか」
「ああ、何かな」
「お金持ちっていいますか」
 それでだとだ、二人は慣れないものを見せるのだった。 
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