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機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~

作者:setuna
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第一話 記憶を失う騎士

 
前書き
今までデジモン小説書いていたsetunaですが、ガンダム熱が再発して衝動的に書きました。
後悔はしていない。
ガンダムは素人同然だけど、楽しんでくれれば嬉しいです。
プロローグ始めます。
オリキャラも出ます 

 
…痛い…。
…ここは…どこなんだ…?
俺は…ダレ……?
どうして…なにもわからない?





























宇宙にあるコロニー、プラント群のある付近で一つのシャトルと一機のMSが近づいていた。
そのMSはZGMF-1001ザクファントム。
隊長クラスのザフトの軍人に与えられるMSであり、通常のザクとは違い、朱色のパーソナルカラーが施されている。

?「デュランダル議長。そろそろプラントの近くに…」

デュランダル『ああ、ありがとう。すまないね、ナオト…君も多忙だろうに』

ナオト「いえ、議長の命令ですし、それにFAITHですから」

彼女の名前はナオト・フジワラ。
女性でありながらエースの証である赤服を身に纏い、FAITHのバッジを持つ者である。
髪は朱色の髪が腰にまで届くくらいで、目の色は深い海を思わせる碧であった。
彼女はアカデミー時代でイザーク・ジュールやアスラン・ザラと同期で、唯一女性で赤服を纏うほどの成績を出していた。
ニコル・アマルフィ以外、あまり友好関係を築いていなかったアスラン・ザラの数少ない友人でもあった。

ナオト「ん…?」

デュランダル『どうしたね?』

不意に映ったそれを見つける。この無限にも等しい宇宙で、それを見つけられたのはきっと奇跡だった。

ナオト「救命ポッド…?」

以前なら見られてもおかしくはなかったそれ。
しかしもう停戦から数年は経っている。
反応はなく通信もない。
これはきっと、もう駄目だろうと思った。
希望など、持てなかった。
けれど気になったのは、きっときっと、何か予感がしたから。
そのポットが、思ったより新しかったから。
そうしてそれが一人分で、寂しかったから。

ナオト「議長、救命ポッドを発見しました。回収します」

デュランダル『うむ、生きている可能性もあるかもしれないからね。見捨てるわけにもいかない』

ナオト「ありがとうございます」

ナオトはザクを救命ポッドの近くに移動させ、救命ポッドを回収した。



























~アプリリウス~

プラントのアプリリウスにある格納庫に救命ポッドを置くと、議長もそれに立ち会う。
ナオトはザクから降りると救命ポッドを開けようとするが…。

ナオト「ロックが掛かっている…」

幾重にも、頑丈に鍵がかかっていた。
生憎、解除は楽だった。
恐らくこれは、ナチュラルの使用だろう。
コーディネイターの自分には、難なく解けた。
そして想像するのは、中身の重要性。
開けられては困るものなのか。それは物か。
それとも生きていた、何かか。
大きく深呼吸。
別に今更死体に何の恐怖も湧かないけれど。
それでも決意をして、その蓋を開けた。
そこには…。

ナオト「う…そ…?」

デュランダル「?…っ!!」

目を見開いたナオトにデュランダル議長もポッドの中を覗くと、いつも不敵な表情を浮かべ、全く動じない議長ですら驚愕した。

ナオト「ア…スラ、ン……?」

ポッドの中にいたのは、ぼろぼろで、血塗れのかつての同僚、アスラン・ザラだった。
これはどうやら自分の手に負えるものではないと、開けてから気付いても遅すぎた。
ひゅっ、と息の鳴る音。
それは自分の喉からだった。
それはきっと恐怖。
恐る恐る触れて、そうして安堵。
脈も呼吸も不安定だったが、どうやらまだ生きているようだった。
なら尚更放っておくわけにもいかない。
もう知人を失いたくはないから。
































~病院~

デュランダル議長は直ぐさま、アスランを病院に運ばせ、彼が信頼する医師を呼んだ。

ナオト「議長、どうですか?」

デュランダル「間違いないね。彼はアスラン・ザラだ。まぁ、間違えようもないがね」

ナオト「そう、ですか…」

?「ナオト…」

ナオト「レイ…」

議長に呼ばれたレイと呼ばれた金髪の少年が、悲しそうな顔をするナオトの名を呟く。
ナオトとレイは幼い頃からの幼なじみだ。
ここには信頼された者と医師しか入れない。
その真っ白で静かな病室に、ナオト達はいた。
酷く衰弱しきっていた彼は、今も目を覚まさず。
相変わらず死体のように眠っている。
多くのチューブに繋がれて。
藍色の髪の下、きっと翡翠の瞳を、ナオトは間違えるはずはなかった。

ナオト「でも、どうしてこんな傷を負ってるんでしょうか…」

デュランダル「……ああ、彼はとても優秀だからね」

レイ「そうです。彼が戦闘でこんなに傷が付くはずがない。」

ナオト「こんな…まるで暴行や私刑にあったような」

彼の傷の殆どが、殴り痣や切り傷だった。
明らかに、対人との戦闘の後だった。
なら、尚更おかしい。
彼が肉弾戦において、引けを取るはずがないのだ。
伊達にアカデミーで白兵戦最強だったわけではないのだ。
それなのに、この衰弱するほどの暴力。
これはまるで、彼が反抗するのを諦めたような。
答えは一つ。

デュランダル「彼は…オーブを追い出されてしまったのだね……」

コーディネイターでプラントの化身とも呼べる彼はきっと地球には居られなかったのだろう。

ナオト「え!?」

デュランダル「この暴力は、きっとオーブの軍人から受けたものだろう」

ナオト「なっ、そんな、どうして!!?」

オーブ…。
それは彼女が幼い頃に…両親が存命していた時に住んでいた国。

デュランダル「オーブの姫、カガリ・ユラ・アスハは…オーブにとっては、まるで神にも等しい存在だったそうだよ」

レイ「…神…ですか……?」

デュランダル「そう、神さ…その神に近付く、彼は…きっと彼らにとっては邪魔だったんだろう」

ナオト「そんな、理由で…!?」

本当に、下らない理由だと議長は心の中で嘲笑った。
その下らない理由が、どれだけ彼を傷付けただろう。
今もきっと、オーブでカガリ・ユラ・アスハと共にいるだろう、キラ・ヤマト、ラクス・クライン。
彼らは許されて、その民間人にも等しい彼らを守ってきた軍人の彼が、どうして淘汰されなければならないのか。

デュランダル「彼には全く抵抗の跡が見られない。縄や手錠の跡がないからね。甘んじたんだろう」

ナオト「どう、してですか…」

デュランダル「…彼は、守ることに固執したらしいんだ」

ナオト「まも、る…?」

デュランダル「そう。このプラントを裏切ってしまうのなら、その分彼らを命をかけてでも守ろうと」

レイ「……」

デュランダル「それほどまでに大事だった。そしてそんな裏切り者の自分が彼らの傍にいられるなら、と…きっと甘んじたんだろう」

レイは思わず、今だ眠っているその病的なまでに白いアスランの肌に触れた。
体温の低い、自分より尚低いその温度。
アスラン・ザラという人物像が、レイには分からなかった。
敵にも味方にも、大切なものを作ってしまった人。
それを泣く泣く選択して、そしてその選択した方に裏切られ、傷付けられ。
それすらも、受け入れて。

レイ「…哀しい人…ですね」

レイは思わず呟いてしまう。
ナオトは目に涙を浮かべる。
不器用だけどとても優しいアスランが下らない理由で傷つけられたことに。
悲しくて仕方がなかった。

アスラン「う…ぅぅ…っ」

ナオト「アスラン!!」

身じろぎしたアスランに反応したナオトは直ぐさま、アスランのベッドに駆け寄る。

アスラン「…?」

ナオト「大丈夫…?」

アスラン「だ…れ……?」

ナオト「え…?」

アスランの発した言葉にナオトは目を見開いた。
彼は何を言っている…?
ナオトの瞳に、じんわりと水の膜が覆った。
レイと議長の瞳がうっすらと細められた。

アスラン「お、れは…誰…?何で分から、ない…?」

レイ「ギル…これは…記憶喪失では?」

デュランダル「うむ…」

議長は静かにアスランに歩み寄る。

アスラン「おれ…お、れ…」

デュランダル「無理に話さなくてもいい。結構な傷なのだからね…君に名前をあげるよ」

ナオト「議長!?」

議長の発言にナオトは目を見開いた。

デュランダル「君の名前は、アレックス。アレックス・ディノだ」

アスラン「アレッ、クス…?それがおれの…な、まえ…?」

デュランダル「そうだよアレックス(辛い過去など忘れてしまえ、その心が完全に砕けてしまう前に…)」

ナオト「……」

アスラン「あ、なたたち…は…?」

アレックスという名前を与えられたアスランはナオトとレイに視線を向ける。

ナオト「私は…ナオト…ナオト・フジワラ…ナオトでいいよ。よろしくねアレックス…」

レイ「俺はレイ・ザ・バレルです…アレックス。」

アスラン「ナオ、ト…レイ…」

ナオト「そうだよ。お休み、アレックス。時間はたっぷりあるんだから…休んだっていいんだよ」

ナオトはアスランの頭を優しく撫でた。
そうすると、しばらくしてゆっくりと瞼が閉じられ、規則正しい寝息が聞こえてきた。

デュランダル「アレックス、君はもう思い出さなくていい。君を傷つける過去など…」

ナオト「そう、ですね…」

記憶喪失。
ナオトはそのことに、ホッとした。
何より、安堵した。
これで彼が、無意味なことで悩まなくてすむ。
傷付かなくて、苦しまなくてすむ。
彼の未来を、想うのならば尚更だから。
こうしてアスラン・ザラは、アレックス・ディノになった。 
 

 
後書き
アスラン記憶喪失です。
アレックスの偽名はアスランがオーブにいた時につけられた物ですが、この小説では議長が付けた設定に。

オリキャラ

ナオト・フジワラ

19歳
女性
コーディネイター
アカデミー時代のアスランの同僚で、両親が生きていた頃はオーブで暮らしていたが、ブルーコスモスのテロで死亡。
両親以外に親戚もいないため、プラントに引っ越し、偶然レイと出会い、友好関係を築き、幼なじみとなる。
レイの正体を知る人物でもあり、デュランダル議長からの信頼も厚いためにFAITHの称号をえている。
現時点での機体はザクファントム。
アスランのお相手でもある。
 
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