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天使舞う、この世界

作者:金猫
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NO.2 無限の龍神

神が死んだことを知った。
これで戦争は終わった。俺もようやく徴兵義務から解放される。
『システム』を神以外が維持するのは、不可能に近く、おかげで多少のことでは『堕ちる』ことも無くなった。
うし、言いたいことを言おう。神、ざまあ。
さて、俺はとりあえず現代日本にいきたいわけである。なので、絶滅天使(メタトロン)を翼の形、『天翼(マルアク)』にして一気に日本列島に飛んでいった。飛ぶって気持ちいいんだよね。前世で脚遅かったしさ。

それに、俺は光となって移動することもできる。この光移動は、使っている間は実質無敵だ。まあ、実体化しないと攻撃もできないんだけどさ。
後はちょっと服装を変えた。心男の俺にあれはきついって。てなわけで、ちょっと胴体の露出は少なくした。ノースリーブみたいな感じですね。大きく変えることはできなかったよ。首もとのリボンも外した。

それで、霊装を見ると毎度毎度思うんだけど、なんで『絶滅天使(メタトロン)』なんだろう?『鏖殺公(サンダルフォン)』でもいいじゃないか。因みに、メタトロンとサンダルフォンって兄弟らしいよ?
俺としては姿を変えられる『贋造魔女(ハニエル)』の方がよかったかもしれないのだが。すぐさま性別を元に戻すよ。
他にも、俺は音楽が好きだから『破軍歌姫(ガブリエル)』でもいいし、時間を操る『刻々帝(ザフキエル)』も捨てがたい。なのになんで一対多を前提とした殲滅系天使『絶滅天使(メタトロン)』なんだろう?

ま、それはさておき、話している間に日本についた。

人がいなさそうな場所を選び、力の波動を隠蔽して、俺は眠りにつくことにした。まあ、冬眠だよ。まだ明治にもなってなかったしさ、平成まで寝てるよ。さてと、おやすみなさい。


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「不思議な天使、起きる」

えらい簡潔な声を聞いて、私・・・じゃなくて俺は起きた。誰だよ?俺の冬眠を妨げるやつはさ。
一応目覚まし時計はつけてたんだけどな・・・。

「誰ですか?私は眠いのですが?」

「我?我、オーフィス」

気軽に名前を聞いたらえらいビックネームが出てきた。

「『無限の龍神《ウロボロス・ドラゴン》』?」

「そう」

なんであんたがここにいるのさ!

「私はレイナーレ。ただの下級天使。それで?龍神様がただの下級天使に何か用ですか?」

「レイナーレ、不思議な力持ってる。それで、グレート・レッド倒す」

グレート・レッド倒せって。無理だっつーの。精々『絶滅天使(メタトロン)』で逃げるくらいしかできないよ。
にしても、霊力は隠蔽してたんだがな。

「無理です。死にたくありません。不思議な力を持っていようがいまいが、私は弱いので無理です」

オーフィス、あんたがどれだけ強かろうと、俺ははっきりノーと言わせてもらうぜ!

「だったら、これ飲む」

と、オーフィスは手を伸ばしてきた。手のひらには黒い蛇。縁起悪っ!俺蛇が関係して死んだんだよ!?

「・・・あの・・・これはなんですか?」

「これ、飲む。そうすれば、力、てにはいる」

「は、はぁ」

知ってるけどさ。生理的に無理。蛇の踊り食いってどんだけ難易度高いんだよ。イカよりも高いだろ。
それでも、この雰囲気的に飲まんと何されるのかわからない。だから、覚悟を決めて蛇を受け取り、飲もうとしたのだが、口元で蛇が弾かれてしまった。

「・・・・・・?」

意味がわからなくなっている美少女(一応)二人。
オーフィスは再び黒い蛇を手のひらに出現させ、俺に薦めてきた。俺もまた飲もうとするのだが、口元で蛇が弾かれて消えてしまった。

「・・・・・・なんで飲まないの?」

「いえ、飲もうと思っても口元で弾かれるんですよ」

俺だって何がなんだかわからないんだから。

「とにかく、力がないので協力できません」

これ幸いと断る。何がなんだかわからんが、ラッキーだったぜ!

「そう・・・・・・なら、鍛える」

・・・・・・はぁ!?何言ってるんだよ!

「私は弱いですから、鍛えても無駄だと思いますよ?」

「どうでもいい、やる」

どうでもいいって!そこ重要ですよ!?テストに出ますよ!?
オーフィスは手のひらに魔力を溜めていく。ヤバい!

「『絶滅天使(メタトロン)』・・・ッ!」

天使、『絶滅天使(メタトロン)』を展開して、光となってオーフィスの打ち出したレーザーを回避する。

「やっぱり、力、隠してた」

・・・・・・え?もしかして、俺の力を引き出すためにわざと攻撃を?オーフィスって策士じゃないよね!?
今の俺は霊装全開で空に浮いている状態だ。つまりは、霊力が駄々漏れなんだよ。

「次、いく」

そう言った瞬間、オーフィスの姿が消えた。速すぎる。俺と比べるのがバカバカしいほどに。しかも俺は連続で光移動できない。つまり、背中に一発もらったわけだ。

ドガァンッ!

そんな轟音がして、俺は地面を跳ねるようにぶっ飛ばされ、岩に当たって止まった。

「ゲホッ!」

ヤバい。死ぬ。こんなん相手にしたら死ぬ。逃げなきゃ、逃げなきゃ!

「『日輪(シェメッシュ)』」

絶滅天使(メタトロン)を円環にして、回転させる。すると、無数の破壊能力を持つ小さな光の粒がばらまかれる。これで足止めにでもなってくれたらいいな、と思っていたが、オーフィスは全く気にすることなく、俺の方向へ真っ直ぐと向かってきた。
アハハハハ、もう笑うしかない。

「『砲冠(アーティリフ)』」

絶滅天使(メタトロン)を王冠の形にして、霊力を込めて砲撃を打ち出した。
それすらも、片腕を薙ぐだけで消し飛ばした。強いのはわかってるけどさ、ここまでやられると悔しいな・・・・・・。
俺は意識が落ちた。


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「うぅん・・・・・・」

眼が覚めたら未来・・・・・・なんてことはなく、俺の『日輪(シェメッシュ)』の影響で地形が弱冠変化している戦闘場所だった。

「起きた」

・・・・・・まだいたんですか、オーフィスさん。

「怪我、ない?」

「ええ、最初に背中を殴られたところ以外はないですね」

付け上がっている気はなかったが、自信を木っ端微塵にされた。
はあ、こりゃ、冬眠は中止かな?修業に励むか。

「なら、鍛える」

「やめてください。死んでしまいます」

スパルタだな。気絶以外で休みなしか?

「大丈夫、死なないように手加減する」

「あなたの手加減は私にとって致命傷です」

真面目に、一発殴られただけで動きに支障が出たもん。

「大丈夫、さっきの耐えれたから」

いやいや、あの一撃で死亡までいかなくともポケ○ンで言う体力赤までいってますよ?

「いえ、本当に結構です。弱いですから、私なんぞに時間を使わないでください」

「駄目、我の仲間になる」

「絶対に嫌です」

思わず、反射的に言ってしまった。

「何故?」

「あなたの仲間になるということは、『禍の団《カオス・ブリゲード》』にはいれということでしょう?私は、《禍の団《カオス・ブリゲード》』には絶対に入りません」

正直、あのテロリスト集団の中に入る気にはなれない。それに、あそこは悪魔と堕天使が主流の組織だったはずだ。天使の俺はいつ狙われてもおかしくない。そんな常時命を狙われるような組織に入るわけないやん。

「じゃあ、入らなくていいからグレートレッド倒す」

「無理です。私は弱いですから」

「だから鍛える」

「鍛えても精々上級止まりです」

やれやれ。これじゃあ堂々巡りだよ。どうにかして引いてくれないかねぇ?

「じゃあ、どうすればいい?」

俺が聞きたいよ。

「じゃあ、一つ質問するわ。あなたは何故グレートレッドを倒すの?」

「静寂を得るため。次元の狭間、そこで我は静寂を手にする。そのためには、グレートレッド、邪魔」

原作通りだ。俺は、正直、この目的に一つ言いたいことがあった。

「それはつまり、次元の狭間で永遠に眠り続けるということ?」

「そう」

そうか。じゃあ、遠慮なく言わせてもらう。

「それって死んでいるのと同じじゃない」

「・・・・・・?」

よくわかっていないような仕草をするオーフィス。俺は構わず続ける。

「永遠に寝ているんでしょう?死んでいるのと大差ないわ。生きた死骸よ。そんな下らない目的のために、私に協力を仰がないで」

言った。多分、俺は死ぬだろうな。こんなバカに強い存在相手に勝てるわけがない。怒りを買って死ぬがおちだ。

「・・・・・・じゃあ、生きるってどういうこと?」

そんな根本的なことを俺に聞くなよ。

「さあ、正直、私もわからないわ。あえて言うなら、目的に向かっていくことかしら?オーフィスに当てはめたら、次元の狭間で静寂を得るまでの道のりかしらね?」

「・・・・・・」

「私はね、人間の世の中で暮らしたいのよ。人間は自分で生きる術を身に付けていく。魔法がなければ科学で。そうやって生きて来ている。その成果を見るのは楽しいことだと思うのよ」

実はゲームがやりたいだけなんだけどね!異世界のゲームってバリエーション増えてそうでワクワクするじゃん!前世でやれなかったこともやりたいし。

「あなたは命が限りないからそう言えるのよ。永遠に静寂を得たいって。そんなことの何が楽しいの?」

「・・・・・・家」

は?なんか言ったか?

「我にとって、あそこが家、次元の狭間が帰る場所。だから取り戻す」

「別に帰る場所なんて自分で作ればいいじゃない」

俺の言葉に、オーフィスは目を丸くしていた。こいつ、頭堅すぎねぇか?

「家が無いのなら作ればいいわ。居場所は作るものよ。それに、それなら私でも手伝える」

「・・・・・・一緒に作ってくれるの」

「ええ、私にできる範囲でね」

俺も宿無しなんだがな。

「じゃあ、一緒に行こう?」

どこにだよ。地獄とか『禍の団《カオス・ブリゲード》』とか言われたら嫌だぞ。

「我らの家に」

「まだできてないわよ」

龍神の家探しが始まった。


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てなわけで、俺はオーフィスの直属の部下になった。まあ、『禍の団《カオス・ブリゲード》』には報せないようにお願いしたけど。所謂俺は参謀担当になった。と思う。オーフィスが頭足りてないんだもん。

「じゃあ、家作る」

そう言って、魔力であっさりと家を荒野におったてたオーフィス。中を見ると、スカスカだった。
家具もなければ扉もない。四角い黒いただの部屋だった。
まあ、オーフィスにとっては外見も内装もどーでもいいんだろうな。

「オーフィス、これじゃあただの箱よ。家とは程遠いわ」

「じゃあ、レイナーレが作って」

俺に構築スキルはないんだけどね。『贋造魔女(ハニエル)』が使えればいいのだろうけど。

「私はあまり作るのは得意ではないのよ。だから、人間の作り方や家を見ましょう?その方がいいと思うわ」

てなわけで、日本都道府県巡り。温泉、グルメもあるよ!のスタートです。


 
 

 
後書き
こんな私の物語の閑話が思い付かなくて進めない! 
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