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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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Another2 結婚式 後編

――――前回までのあらすじ――――

『アスランとカガリを結婚させ隊』(イザーク等命名)が結成され、アスランとカガリを除く大勢が協力することによって彼らは同じプラントにやって来る。

ルドルフの暴走を抑えるアレック
イザークと共に駆け、時間を調整するために働き続け、睡眠不足で倒れるディアッカ
一人会議中にはぶられ、混乱するシン
アスラン尾行中に不審者と間違えられ、危うく警察の御用になりかけたショーン
突如、経営難に陥る珈琲喫茶店~虎~(単純に知り合いの客がこの計画に参加して忙しいだけ)
脅しに屈し、再び過労死の危機に恐怖するサングラスをかけた男性

次々と犠牲者を出しながらも、何とか彼らはアスランとカガリを同じプラントに居るという状況を作り出したのだった。
そして今、アスランとカガリを出逢わせ、プロポーズさせるための計画が始まる!






「なあ、なんか色々とあらすじおかしくないか?」

「何いきなりわけ分からないこと言ってるの?」

何故か頭の中でテロップのように流れたあらすじが聞こえたシンは思わずツッコミを行うのだが、傍にいたルナマリアは幻聴でも聞いたのかといった表情でシンを一瞥した後、目的の為に作業を再開する。
彼らは今、ホテルの最上階にあるレストランの制服を着て従業員となっていたのだ。
無論、入り込んだ方法はコネと金だ(一応面接を行ってシンとルナマリアなら大丈夫だという太鼓判は押されている)。
アスランとカガリは予定通り上手くいけばこのレストランで会う事になる。その場合、二人はばれないようにアスランとカガリをフォローしなくてはならない。
シンの方は髪型を変え、カラーコンタクトをしていることで攻撃的な少年というイメージからがらりと変わっている。ルナマリアの方もウィッグを付け、ウィッグの後ろを縛り、紳士服を着こなしているので長髪の男装の麗人といった風体だ。
二人ともアスランに注視されても、あっさりとばれる事はないだろうといったレベルの変装であり、準備は万全といえた。

「来たわよ、まだカガリさんだけみたいね?」

先にやってきたのは予想通り、先にホテルにチェックインしていたカガリとキラだ。計画通りキラがカガリを連れてきたのだろう。

(何だ?今、計画通り――――って所で凶悪な笑みを浮かべたような気が……?)

「シン、何やってるの?早くグラスを持って行くわよ」

「あ、悪い……じゃなかった、申し訳ございません」

「従業員の私に言ってどうすんよ!」

緊張して接客の態度でルナマリアに接するシンに怒る。その間にキラとカガリは席に着いた。

「で、何を企んでるんだ?」

「え、何の事。企むって何を?」

席に着いたカガリは直球でキラに尋ねる。ここで焦ってはならないと判断して落ち着いた様子で白を切る。だが、それは逆効果だったのだろう。カガリは更に疑わしい目つきでキラを睨んだ。

「キラ、お前の甲斐性じゃあどうせ良いとこ、町の喫茶店とかファミレスってオチだろ。だから、お前がこんなホテル最上階にあるレストランになど連れてくるなんていうのは変だ。一体、誰の差し金なんだ?」

(ま、不味い!カガリがそこまで察しているなんて……どうやって誤魔化す?)

「お客様、ご注文は既にお決まりでしょうか?」

まさかの察しの良さに驚愕しつつもどうやって言い逃れるかを考えるキラ。その時間を誤魔化す為にルナマリアが従業員として注文を取りに来ることで時間を稼ぐ。

「ああ、そうだな――――」

(どうやって誤魔化せばいい?このまま言い逃れても不信感を抱かせてしまえばアスランが来た時にばれてしまうかもしれない。なら、どうやって……)

ルナマリアの僅かな時間稼ぎの間に必死に頭を働かせるキラ。しかし、プログラムの構築や演算処理ならともかく、こういった上手く誤魔化すような弁はキラにはない。
時間稼ぎも不自然に思われてしまうほど長くなってしまえば正体がばれてしまう。ルナマリアの時間稼ぎもこれ以上は無理だった。
万事休すか――――早くも計画が頓挫してしまったかのように思えた。とその時――――

「よう、遅くれてすまんな」

「あ、マーレさん」

マーレが現れる。キラやルナマリアだけではフォローしきれないと判断して介入してきたのだ。

「さっき話が聞こえてな。誰の差し金だとか言っていたが、まあ、あえて言うなら俺だ。こいつがプラントに来るって聞いてたからな。お勧めの場所を紹介しておいたんだ」

「そうだったのか。だったらそう言えよな、キラ」

「あ、うん。アハハ……(フォローありがとうございます)」

「(全くだ。見ててヒヤヒヤしたぞ)」

何とか誤魔化すことに成功したマーレとキラ。しかし、作戦は変更した方が良いだろう。今のままアスランとカガリが出逢っても、カガリにちょっとしたきっかけでばれかねない。少し時間をずらすべきだと判断する。

「ちょっと悪いが、キラと話したいことがあるからな。席を外してもいいか?食事は先に済ませておいて構わない。多分、結構な時間戻ってこないだろうしな」

「ああ、そういう事なら構わないぞ」

そう言ってキラと共に席を外しながら、アイコンタクトでマーレはシンにアスランが来ないようにしろと指示を出す。シンはそれを受け取ってカガリには見えない所まで移動し、アスランが来るのを遅らせるよう無線で連絡する。

「アスランがまだ来ないように足止めを――――」

『もう手遅れです。とっくにアスランはホテルに入ってますよ』

連絡を取ったメイリンがそう返答を返すと同時に、エレベーターからアスランが現れる。

「い、いらっしゃいませ」

咄嗟に頭を下げてばれないように案内するシン。いくら変装しているとはいっても一対一で向き合えば見破られてしまうかもしれない。すぐさまレストランのテーブルに案内する。

「え、アスラン!?」

「な、カガリ!どうしてここに!」

――――出逢ってしまった。予定通りといえばその通りだが、カガリの方は不信感を募らせているのではないかと危惧してしまう。しかし、それは杞憂だったようだ。

「ぐ、偶然だな……その、何なら一緒に食事でもどうだ?」

「あ、ああ……そうだな。折角の誘いだ、そうさせてもらう」

どうやらカガリは突然の出会いに(こちら側で意図したものだが)戸惑ってはいるものの、キラ達が仕掛けたことだとは疑わなかったようである。
こういっては何だが、彼女が単純な人物で良かったとその場にいた当事者たちを除く誰もが思う。

「その、何で急にプラントに?」

「そっちこそ、何でこの場所にいるんだ?」

気まずいというほどではないが、どちらも話しかけづらいといった様子である。陰で様子を見ていたシンやルナマリアは「何やってるんだ、このヘタレ!」といった感じで見続けるが、二人が言える台詞ではないだろうとマーレが冷ややかな目線を向け、キラはその様子に苦笑いする。

「質問を質問で返すな。俺は仕事でな――――このコロニーで交渉しなくちゃいけない相手が偶々いたんだ」

「そうなのか、私の方はキラの付添だ。ニュータイプに関して新しい情報が手に入ったとか何とか」

二人がそうやってしばらくの間雑談を交わし、シンやルナマリアは従業員として時々彼らの様子をうかがいながら行動する。そうしてコースのデザートまで食べ終えた二人は会計を支払ってエレベーターに乗る。

「キラの奴、戻ってこないのか?折角、アスランと会ったというのに……」

マーレに連れていかれたのだから、もしかしたら今晩は帰って来るのは遅いのかもしれない。尤も、ホテルの部屋は隣であって同室ではないのでカガリからしてみれば明日の朝までに帰って来るのであれば全く問題はないが。

「カガリ……折角だし外に行かないか?」

――――だからこそ、その誘いにカガリは付き合った。

「こうやって、私的な時間としてアスランと会ったのは久しぶりだな」

ホテルのすぐ外はそれなりに景観の良い場所だった。プラントの内部を一望でき、輝く夜景の光は宙に舞う宝石の様に映える。

「確か、最後にこうやって気兼ねなく会えたのは戦争が始まる前だったか?」

カガリに指輪を渡した時の記憶がよみがえる。今もカガリの左手には、指輪が嵌められていた。

「カガリ……俺は――――」

思わず口にしようとした言葉は続かない。感情に身を委ねてその場限りの言葉を紡いでも意味をなさない。相手を余計に傷つけるだけになってしまうかもしれない。
人は、自分が傷つくから手を伸ばすのを躊躇うのではない。相手が傷ついてしまうかもしれないから手を伸ばすのを躊躇うのだ。少なくとも、アスランにとってはそうだった。

「アスラン、分かってるよ。私はいつまでもお前の事を待っているさ。結婚してくれ、だなんて私に言えた義理じゃないしな!」

だからこそ、カガリはこんなことを言った。自分にもその気持ちはわかるのだ。かつて同じように国を守るためにユウナとの結婚を選ぼうとした自分に言えた義理ではないと。故に、カガリは待つと、そう言ってアスランを励ます。

「でも、出来るだけ早く迎えに来てくれよ。私の花嫁衣装が似合う間に結婚できないと、きっとマーナがカンカンに怒るからな」

朗らかに笑いながらそういうカガリ。アスランは思わず彼女を抱きしめる。

「ちょ、アスラン!?」

「約束するさ。必ず迎えに来る。だから、今だけは君を……」

「――――ああ、ありがとう。アスラン」

一夜の抱擁は何よりも美しく二人の愛を表していた。







「……ちょっと待ってくれ……これはどういう事なんだ?」

それは、翌朝の事だった。二人がホテルに戻り、アスランは寝ている間にいつの間にか移動させられ、目が覚めると車に居ており、スーツを着せられていた。着替えさせられている間に起きなかったのは、何かの薬を盛られたのかもしれない。

「だって言ったじゃないですか。迎えに行くって。だったら早い方が良いでしょ?」

運転手の青年がアスランの質問に対して応える。だが、アスランには迎えというのがどれを指しているのか分からなかった。

「迎えに行く。何の話だ?」

「昨日の事だよ。ほら言ってたじゃないか『約束するさ。必ず迎えに来る』って」

助手席に座っていたもう一人の男性がそういった事でアスランは昨日のカガリへの告白の事だとようやく理解する。そして、理解すると同時に頭が沸騰しそうになるほど真っ赤になった。

「なッ!?聞いていたのか!それにお前らまさか!?」

「聞いていましたとも。そしてやっと気づいたか?というわけでさっさと式場まで行くぞ?」

アスランの驚愕と二人の正体に察した事の両方を無視して彼らは車を走らせる。そうやってアスラン達がたどり着いたのはやはりというべきか――――結婚式場であった。それもかなり豪華だと言える。
まるで城のように大きな結婚式場を丸々貸し切ったのだろう。入り口から見える庭には立食パーティーでも開くつもりなのかテーブルや料理が並び、アスランの見知った人が多数存在している。

「さあ、主役の御登場です!皆さん拍手で出迎えてください!」

「おい、運転手。いや、やはりシンだったか!何をいきなり――――」

スーツを着ていたアスランはそのまま式場の道のど真ん中を通らされる。文句を言おうにも流石に周りの空気からそこまで不躾な真似は出来ずにアスランは気圧される形で式場の扉を開けた。

「――――――――」

言葉が出なかった。目の前にいたのは予想通り、カガリだった。純白のドレスを着ていた彼女はアスランと同様にまだ状況を把握しきれていないのだろう。

「だが、俺は――――」

ここまで来て躊躇うアスラン。しかし、躊躇うのも仕方のない事だ。今の彼の立場でいきなりカガリとこんな形で流されるようにして結婚しても、彼女を幸せに出来るとはアスランには思えないのだ。

「この馬鹿が!俺達が何の考えもなしにこんなことをしたとでも思っているのか!」

「いい加減にしとけって。お前さんの考えてる事はみんな分かってるんだよ。その為に俺達がどんだけ苦労したと思ってるんだ?」

だが、そんなアスランの想いを察してか、それを否定したのは同期であるイザークとディアッカだった。アスランの事をよく理解していたのだろう。この期に及んで受け入れないという可能性を考えていたのか、書類の束を見せつけた。

「こ、これは?」

「貴様が結婚する事を躊躇う事は予想できた。だからその為の根回しだ。これだけの賛同者を集め、準備してきたのだぞ!それを不意にすることだけは絶対に許さん!!」

見せられた書類には賛同者の名前や結婚に対するメッセージが大量に記載されていた。それが何十、いや何百枚もあるのだ。
思わず言葉を失う。嬉しさが込み上げてくる。こんな時であっても、いやこんな時だからこそアスランはカガリへの愛が募った。

「……俺は、カガリと結婚しても良いのか?」

「それは当人同士の話だろ?周りに振り回されてんじゃねえ。ほら、言って来い」

そうマーレに言われて背中を押される。そんな風に押し出されつつもカガリの前に立つアスラン。

「随分迎えに来るのが早かったな」

「カガリ、俺と……俺と幸せになってくれるか?」

カガリの頬から涙が伝う。どれほど、この時を待ち望んだのか――――

「ああ、幸せだけじゃない。これからある色んな事をお前と一緒に受け入れてやる」
 
 

 
後書き
後日談その二は終了。式場やホテルは当然ルドルフが用意しました。
これ以上長くしたら書くのに疲れるので短いけどアスランとカガリのお話はおしまいです。 
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