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オズの五人の子供達

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第六幕その一

              第六幕  元の国に戻っても
 五人はそれぞれが作ったお料理をパーティー会場である宮殿の舞踏の間に持って行ってもらいました。そのお手伝いをしたのは小柄な茶色の髪に青い目の女の子です。服はエメラルドの都らしく緑のメイド服です。  
 その娘にボルシチを持って行くお手伝いをしてもらいながらです、ナターシャは彼女にその名前を尋ねました。
「シェリア=ジェムさんですよね」
「はい、そうです」
 女の子はにこりと笑って答えました。
「この宮殿のメイドです」
「そうですよね」
「この宮殿のことなら隅から隅まで知っています」
 そこまで知っているというのです。
「長い間ここにいますから」
「それじゃあオズマ姫のことも」
「あれだけ素晴らしい方は他にいませんね」
 オズマ姫のこともこう言うのでした。
「ドロシー王女もベッツイさんも」
「三人共そうですよね、本当に」
「他の方々も。多分この国は世界で一番いい国ですよ」
「私の国もいい国ですけれど」
 ナターシャは祖国ロシアのことを言います、ロシアはといいますと。
「寒いんですよね」
「寒いんですか」
「はい、とても」
 それがロシアだというのです。
「冬なんか息が凍ります」
「息がですか」
「オズの国ではそうした場所はありますか?」
「あると思いますけれど」
 ナターシャはボルシチを入れたお鍋をワゴン車で運んでいます、ジェリアはそのお手伝いをしているのです。
 その中で、です。こう言うのです。
「ただ私は」
「ジャムさんはですか」
「ジェリアでいいです」
 ジェリアはすぐにこうナターシャに答えました。
「私の呼び方は」
「砕けてですね」
「はい」
 それでいいというのでした。
「それで」
「わかりました、じゃあジェリアさん」
「はい」
 にこりと笑って答えました、そしてでした。
 二人で宮殿の舞踏室にお料理を運んでいきます、ですが。
 お手伝いをしているのはジェリアだけではりません、他の皆もです。
 かかしや木樵だけではありません、ドロシー達もです。五人がお料理を運ぶのを手伝っています。カルロスはベッツイはロバと一緒にお手伝いをしてくれることに驚いて言いました。
「あの、ちょっと」
「ちょっとって?」
「どうしたの?」
 ベッツイだけでなくロバもカルロスにお手伝いをすることについて何か問題があるのかという顔で言うのでした。
「お手伝いして悪かったの?」
「何か問題があるのかな」
「お姫様なのに」
 だからだというのです、カルロスは。
「そんなこをしたら」
「何言ってるのよ、私も元々はこうしてね」
「家事をしていたんだ」
「そうよ、だからね」
 こうして身体を動かすことはというのです。
「当たり前のことだから」
「だからなんだ」
「そうだよ、僕もね」
 ロバも言ってきます、その背中には大きな肉を何本も突き刺した細い剣を沢山乗せた銀のお皿があります。お皿もかなりの大きさです。
「こうして働いているんだ」
「貴方は確か」
「うん、ハンクだよ」
 ロバはにこりと笑って名乗りました。
「ロバのハンクだよ」
「私の昔からのお友達よ」
 そうだとです、ベッツイがまた言ってきます。 
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