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花集め

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第三章


第三章

「おい、蝶だ」
「ああ、蝶だ」
 蝶達もやって来た。これまた様々な蝶達が空に舞っている。そうして花に止まり宙を舞い空も飾るのだった。
「花に蝶か」
「緑の野や森には花があって」
「青い空や湖には蝶」
 そうしたようになっていたのだった。
「何と美しい国だ」
「ああ、奇麗な国だ」
 観光客達は恍惚として言い合う。
「もう一度来たいな」
「そうだな。皆に紹介して」
「いや、いっそのことここに住みたい」
 こうまで言う者まで出て来ていた。
「ずっとこの奇麗な国に」
 彼等はすぐにこの花や蝶に魅せられてしまった。国はこの観光客達の落とす金で財政が潤ってきた。しかもそれだけではないのだった。
「蜂蜜が増産されています」
 今度は蜂蜜であった。
「花が多くなり蜂達が蜜を取ることが多くなりました」
「そのせいで」
「はい、そうですね」
 王女は貴族達の報告を聞いて満足した顔で微笑んでいた。
「蜂蜜も」
「味がいいということで国内での需要が伸びています」
「外国からも是非売って欲しいと」
 その評判は国内だけに留まらなかったのだ。
「それで今売っていますが」
「かなりの売れ行きです」
「今後も蜂蜜の増産を続けるのです」
 王女は蜂蜜に対してこう命じた。
「宜しいですね」
「はい、それでは」
「そのように」
 この話もそれで決まった。国は蜂蜜の輸出でさらに収入をあげた。そして今度はあの桑を食べさせていた虫達の番であった。
「虫達が美しい白い糸を作っているが」
「あれは一体何だ?」
 その虫達を育てている者達の間でこんな話が出て来ていた。
「あの糸はやたらと美しいが」
「何なのだろうな」
「さあな」
 彼等にはその糸が何なのかわからなかった。しかしここで王女がまた言ったのだった。
「その糸で織物を作るのです」
「織物をですか」
「そうです。織物をです」
 こう命じるのだった。
「宜しいですね」
「虫の糸で織物を」
「また妙な」
 周りの者は王女の言葉にまた首を捻ることになった。しかし観光客を招き入れ蜂蜜までもたらしてくれた王女の言葉を聞かないつもりもまたなかった。今度もきっといいものだと思いそうして今その糸で織物をしてみるのだった。
 その結果できたものは。これまた素晴らしいものだった。誰もが今まで見たことのないような素晴らしい織物が出来上がったのである。
 
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