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オズの五人の子供達

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第四幕その九

「オズマ達もいるしね」
「オズマさんやドロシーさんにお会い出来るんですね」
 このことについてです、神宝は言いました。
「ずっと会えないと思っていましたけれど」
「絶対に会えないってことはないんだ」
「どの人にもですね」
「そしてどの国にもね」
 絶対に行けないということはないというのです。
「ないよ」
「そうなんですね」
「だから君達もオズの国に来られたんだよ」
 絶対に行けないということがないからです。そしてなのでした。
 皆は宮殿の中を進んでいきます、緑の鏡の様に光を反射するぴかぴかの大理石にエメラルドで飾られた宮殿の中には絵や石像といった芸術品も一杯あります、その中は本当に美術館みたいです、そしてその宮殿を先に先に進んでいってです。
 やがて一羽の鶏と全身がガラスで出来ていて頭と心臓のところに赤い小さなものがある猫に出会いました、その鶏と猫を見てです。
 恵梨香はすぐに明るい顔になって木樵に言いました。
「この子達がですね」
「そうだよ、雌鶏のビーナにね」
「ガラスの猫ですね」
「この子達もいるんだ」
 この宮殿の中で住んでいるというのです。
「こうしてね」
「そうなんですね、この子達よ」
「ちょっと待ちなさいよ」
 その雌鶏のビーナがです、恵梨香に言ってきました。
「今貴女私をこの子達って言ったわね」
「あら、駄目なの?」
「貴女は見たところドロシーより年下ね」
 ビーナは恵梨香だけでなく他の四人も見て言います。
「他の子達も」
「ええ、私達十一歳よ」
「ドロシーは十二歳か十三歳よ」
 ビーナはドロシーの詳しい年齢までは知りません、それでこう言ったのです。
「オズマはもう少し年上だけれどね」
「じゃあ私達は大体ベッツイさんと同じ位の年齢かしら」
「私はもう卵が産めるのよ」
 ビーナは自分のことも言いました。
「お母さんなのよ。貴女達子供よりはね」
「年上だから」
「言葉遣いには気をつけなさい」
 完全にお母さんの言葉でした。
「いいわね」
「わかりました」
「ドロシーやベッツイは長い付き合いだしこの国の王女様でもあるからいいけれど」 
 この二人の場合はというのです。
「いいけれど」
「それでも私達はですね」
「その辺りは気をつけてね。いいわね」
 これがビーナの五人への言葉でした、そしてです。
 ジョージはガラスの猫を見てです、つぎはぎ娘に尋ねました。
「この猫さんが」
「あたしの昔からのお友達でね」
「ガラスの猫さんですよね」
「そうよ、ガラスだからね」
 全身それで出来ているからだというのです。
「あたい達と一緒で食べたり飲んだりはしないのよ」
「そうなんですね」
「その通りよ。けれど私はとても綺麗好きだから」
 そのガラスの猫の言葉です、透き通った身体を隅から隅まで見回しています。
「いつも身体を磨いているわよ」
「だからそんなに透き通っているんですね」
「ガラスはいつも綺麗にしないとすぐに曇ってしまうでしょ」
「はい、本当に」
「だからいつも誰かに洗剤と柔らかい布で拭いてもらってるの」
「それで綺麗なんですか」
「そうよ」
 それでだというのです。
「この脳と心臓もはっきり見えるのよ」
「何か水晶みたいですね」
「水晶に負けないわよ」
 綺麗さではだというのです。 
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