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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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第百四話 決着

『いい加減、君達にも力の差というものが理解できただろう』

余裕を表すためか一気に決着を付けようとせず、正面に武器を構えるだけの議長。だが、動けば撃たれるというのは明白だ。向こうからの動きを待つしかない――――シン達は完全に主導権を相手に奪われていた。

「まだ、終わってなんかないッ……」

『夢を見るのも良いが、現実は得てしてそういうものだ。積み上げて来たものが、重ねてきた年月がものを言う。昨日今日で決めた決意など、明日にでも崩れ去るものでしかない』

シンのその言葉を聞き、議長はそう言ってメガビームライフルで撃ち抜こうとする。

「それでも、終わらせるわけにはいかない!!」

メガビームライフルが放たれた。シンのデスティニーはそれを躱すのではなく、真っ向から突撃する。

『血迷ったか?』

自殺行為と言えるその行動――――歴代のMSが持つ武器の中でも最も威力が高いであろうメガビームライフルに(ローエングリン砲などと比べれるかは不明だが)正面から向かうなど、例えビームシールドやIフィールドを展開しても貫かれてしまう。
それでも、シンは正面から突撃した。自信があった――――何かを感じたのだ。議長もシンのその行動は油断できるものではなく、危険だと判断したのだろう。デスティニーの行動に注視し、二段構えにするためにドラグーンも放つ。

『何か策があるのだろうが、これで!』

だが、ドラグーンの一基が落とされる。それに続くかのように放たれたビームやレールガンが放たれ、議長はドラグーンによる攻撃を断念して回避させた。

『何だと!?』

ナイチンゲール自身を狙ってきたのならいくらでも対応のしようはあった。警戒していたからだ。だが、まさか態々攻撃のチャンスにナイチンゲール本体ではなく、的の小さいドラグーンを狙ってくるなどと誰が思うだろうか?

『シン、行って!!』

『君を援護する!』

『助けられた借りは返すぜ』

ルナマリア、キラ、ネオ――――どの勢力がとか、味方だからとか関係なしにザフト、連合、オーブといったそれぞれの人間が一人のパイロットを助けるために手を取った。

『しかし、それだけではな!』

とはいっても、所詮落としたり、動きを止めたのは、たかがドラグーン。それどころか、そのままドラグーンによってキラやルナマリア、ネオの機体は撃ち抜かれる。

『危ねえ!』

乱戦に乗じたドラグーンがアークエンジェルとミネルバを狙う。それに最も早く反応したのはネオだ。ネオはリ・ガズィのハンドグレネードをミネルバに向かっていったドラグーンに向けて投げて落とし、もう一基のアークエンジェルを狙っている方は銃では間に合わないと自らを盾にした。

『ムウ!!』

ドラグーンのビームがリ・ガズィを貫く。シールドもなしに盾になろうとしたMSの末路など分かり切ったことだ。

(まーたその名前。いい加減にしろっての……)

しかし、一発盾になった程度ではドラグーンは止まらない。そのまま射線上にある邪魔な残骸となったリ・ガズィを抜けようとするが――――

『オイオイ、誰が通って良いって言った……』

傍をすり抜けようとしたドラグーンを右腕で掴み、握りつぶしてみせた。

『死んだと思ったか?残念だったな。俺は、不可能を可能にする男だ……』

だが、今のが最後の抵抗だったのだろう。リ・ガズィは完全に機能を停止し、ネオは意識を失った。

『落とせぬさ、そうやすやすと私が落とされるわけがない!!』

そういった猛攻を見せつつも、本体であるナイチンゲールには一切攻撃を仕掛けられていない。寧ろ周りの機体がドラグーンに注意をそらしたという点では好都合だ。議長自身はシンにだけ目を向ければいい状況となった。

「届かないのかッ……!?」

メガビームライフルが発射されるのは一瞬。だが、発射までに近づききる事が出来そうにない。射撃と格闘、間合いが遠ければどちらが有利か言うまでもない。
だが議長はシンに注視し過ぎた。彼を最も警戒するのは間違いではなかっただろう。他のMSがドラグーンを狙った事から視点をシンに集中させたのも間違いとは言えない。それでも、議長はシンにこだわりすぎた。ニュータイプだから、接近してきたから、最も手ごわいと判断したから――――だからこそ、その一発に気付いた時には手遅れだった。

『何だと!?』

予想外の方角からの射線。ナイチンゲールから見て下の死角となる部分から撃ち抜かれる。威力はかなり高い。そしてビームの色から撃ってきた相手は自ずと限られる。

『クラウ!貴様何の真似だ!?』

当然、半壊しているゲルググにそんな通信が届くはずもなく、返答はない。議長は己の失態だと歯噛みする。シンにのみ意識を集中し過ぎたことにも、クラウに止めを刺せていなかったという事にも。
しかし、撃たれたのはメガビームライフルを持っていたナイチンゲールの右腕だけ。左腕も、隠し腕も、シールドや拡散ビーム砲も残されている。
ゲルググももはや限界だろう。一発目を撃った段階で機体が崩壊を始めていた。そして、正面から来るまともな攻撃手段がパルマフィオキーナしかないデスティニーに恐れる必要などありはしない。

「クラウ……!」

一方でシンも議長同様、クラウの攻撃に驚愕しつつも、味方してくれたことに感謝した。議長が驚愕によって動きを止めたのに対し、シンはその間も動いて間合いを詰めた。この一瞬の差が議長とシンを同じ接近戦の土俵に立たせる。

『距離を詰めた程度でいい気になるなよ!いかにニュータイプ用の機体であっても私を斃すのには、その機体では不十分だという事を教えてやる!!』

距離を詰めたからこそ、シンは焦りを抑え込み、冷静に、そして集中して動く。逆に議長は突破されると思っていなかったこともあってか、少し――――ほんの少しだけ動きに焦りが見えた。
光の翼を最大出力で煌めかせる。幻影や光の翼による余波を警戒した議長は左手に持ったビームトマホークで翼を切り裂く。それと同時にシンは左足で蹴る様に動かした。だが、それもすぐに議長は隠し腕のビームサーベルによって足を貫く。

『これで止めだ!』

推力の基盤となる翼を破壊し、左足を貫くことで動きを止めたと議長は判断し、そのまま腹部の拡散ビーム砲が放たれようとする。シンはパルマフィオキーナを放つが、その攻撃はもう一本の隠し腕のビームサーベルに止められた。

「――――!!」

このままじゃ負ける――――だが、シンには恐怖が感じられなかった。いや、感じる必要性が無かったというべきなのかもしれない。

『――――二発目だと……!?』

シンは何故か察していたのだ。ゲルググから放たれた二発目のビームを――――逆に議長の頭に浮かんだのはありえないという思いだった。そもそも一発目を放った時点で議長は驚きを隠せずにいたが、二発目は明らかに不可能な筈だ。
視界の端に見えたゲルググは議長自身が撃ち抜いた胸部が露わになっており、モノアイが稼働していなかったことから目視で狙った筈である。
戦闘中に移動している状況でこうも接近して戦っていた状況で狙い撃つなど不可能に近いことだ。さらに言えば、ゲルググは限界を迎えていたはずであり、一発目ですら自滅の危険性があった。二発目などほぼ確実に自滅する事だろう。

『それすらも無視して撃っただと……』

《一発目はアンタに撃たれた借りを、二発目はシンに対しての感謝だ》

テキストメッセージでその言葉がナイチンゲールに送られる。二発目のビームライフルはシンのデスティニーとナイチンゲールの中間点をすり抜けた。その直線に流れたビームは隠し腕を仕込んであるスカート部を抉るように破壊した。

「裏切って一人だけで戦った、アンタの負けだ!!」

『まだだ、まだ終わらんよ!!』

スカート部が破壊されたことで、拡散ビーム砲は機体の損傷によって暴発の危険性が僅かながらだがあると判断し、ビームトマホークを構えて斬りかかる。

『その右腕の武器だけで私を斃せると思うな!』

シンは掌を握り(・・)、殴りかかる様にビームトマホークにぶつかる。

一瞬の拮抗――――デスティニーの手に輝いていた光がナイチンゲールのビームトマホークに圧し負ける様に押される。

「行け、デスティニー!俺達の運命を切り拓くために!!」

――――デスティニーの拳に集束していた光が霧散した――――

その光景を見て、議長は勝利確信して笑みを浮かべ、キラは負けるのかと焦りを、ルナマリアやミネルバクルーはシンが勝つことを祈り、クラウは議長とは逆の意味で笑った――――

『アンタの負けだよ、議長……シンはデスティニーを余す所なく使ったんだからな……』

閉じられていた掌が開く。青い輝きが、白銀の煌めきに変わる。たった今、パルマフィオキーナが発動したのだ。

「いっけェェェ――――!!!」

青い輝きはビームシールドを集束させたものだったのだ。だからこそ、シンは掌を握って殴る様に攻撃(この場合は防御とも言える)を行い、ビームトマホークを防いで、ビームシールドが突破される直前に自らパルマフィオキーナに切り替えた。

『馬鹿な――――こんな攻撃が!?』

ビームトマホークのビームをビームシールドが僅かな間だが拮抗させ、弾いたことによってパルマフィオキーナが実体の部分に触れ破壊する。そのままデスティニーはナイチンゲールの胸部を掴み破壊した。

『私の敗北だというのか……だが、これはナンセンスだ』

頭部の脱出ポッドを起動させて逃れようとする議長。悪あがきに近いが胸部を中心に全身が破壊されたナイチンゲールにいる意味などなく、脱出するのは当然の判断だ。

「逃がすか!!」

デスティニーの右腕がナイチンゲールの脱出ポッドを捕らえる。だが、議長の悪足掻きはこれだけではなかった。

『無駄な抵抗だと思うかもしれんがな、機体はこうやって使うことも出来る!』

オート操縦に設定されたナイチンゲールが自爆プラグラムを作動させ、特攻を仕掛ける。ターゲットは的が大きい上に艦橋が露呈しているアークエンジェルだ。

「な、しまっ……!?」

すぐにデスティニーがライフルを構えようとするが、脱出ポッドを握っているデスティニーは武器を取り出せない。それでもとCIWSを放つが、元々装甲が分厚い上にオート操縦のナイチンゲール相手では直撃だったとしても止めることは出来なかった。

『アークエンジェルをやらせるか!!』

そうした中でナイチンゲールを一番必死に止めようとしたのはキラだった。ライフルやレール砲を放ちながら体当たりで軌道をそらせようとする。
そして、自爆までの時間が予め仕掛けられていたのか、キラの必死の攻撃によってナイチンゲールはアークエンジェルに届いていないにも関わらず爆発した。

『うわぁァァ――――!?』

キラのストライクフリーダムは直前に気付いて下がったが、爆発には巻き込まれてしまう。直前に下がったおかげか、ストライクフリーダムは完全に破壊される事はなく大破に留まっていた。すぐさまストライクフリーダムもアークエンジェルに回収される。

『これも失敗したか……』

最後の手段もキラの活躍によって止められてしまい、議長は完全に敗北した。ミネルバに回収されるシンと議長。格納庫にシンが降り立つと同時にタリアがMS格納庫まで直接訪れてきた。

「シン、ありがとう。あの人を止めてくれて」

「いえ、俺は……」

いつものように厳しい表情ではなく、微笑みかける様なタリアの表情を見て思わずたじろぐシン。ナイチンゲールの脱出ポッドが開き、議長が堂々とした様子で出てきた。

「やあ、タリア。どうやら、私の敗北のようだ」

「ギル、貴方ならもっと他に上手くやる方法だってあったでしょうに――――それこそ、勝つだけなら貴方が態々機体に乗り込まずとも勝てたでしょう?」

確認するかのように尋ねるタリア。事実、メサイアの防衛は完璧に近かった。イレギュラーな要素こそ多々あったが、議長がメサイアで、或いはナイチンゲールに乗りながらも陣頭指揮を執っていれば今も捕まる事はなく、敗北はなかったように思える。

「私自身の可能性を信じたことと、デスティニープランなどというものに頼らずとも、人は革新によって導かれるというものを信じる気持ちもあった。それを私は君達の力に賭けたのだよ。こうなることも予定の内だ」

「なッ、負け惜しみを!」

その発言はつまり議長自身が敗北を望んでもいたという事だ。シンはそれが負け惜しみだと思って叫ぶが議長は否定する。

「断じて負け惜しみなどではない。この世に完璧な策というものがあるというのであれば、それは勝利したとしても敗北したとしても思惑が上手くいく事だ――――どちらにせよ、この先は予定にない事でもある。だからこそ、君達には伝えるべきことがあるだろう」

「俺達に?」

議長が最後の自身の策を伝える。

「人の革新を、人類の平和を真に望むというのであれば、ニュータイプというものを知っておくがいい。私が伝えられるのはそこまでだ」

勝利したならば、デスティニープランが実行され、支配による世界平和が求められたのだろう。だが、敗北したのであれば、遺伝子以外の要因となる存在、ニュータイプによる人の革新――――それが世界を救うのだと判断したのだ。勝っても、負けても、議長は平和への布石を打とうとしていたのである。

そして、議長が捕らえられたことがミネルバによって全宙域に伝えられ、メサイアは最高司令官である議長と切り札であるネオ・ジェネシスの両方を失った事から僅かな抵抗勢力を除いて、殆どの部隊が投降した。

――――C.E.74年、人類の行く末を争ったこの戦いは旗頭を失ったメサイア側の降伏によって決着がついたのだった。
 
 

 
後書き
シンと議長の戦闘シーンはクロスボーンを参考にしています。
クラウはどこに行ったのかって?知らん。多分、次話が最終話かな?そのあたりには出ると思う。一応主人公(笑)=脇役だし。 
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