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魔法少女リリカルなのは~その者の行く末は…………~

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Chapter-3 Third Story~Originally , meeting of those who that you meet does not come ture~
  number-32 what the girls felt

 
前書き



少女たちは何を感じた。


この場合は、高町なのは。フェイト・テスタロッサ。八神はやて。ヴォルケンリッター。リンディ・ハラオウン。クロノ・ハラオウン。 

 


「……ううっ」
「あっ……大丈夫か?」


なのはが目を覚ますと目の前にはやての顔が大きく見える。それに内心ドキッとしながら、ゆっくり体を起こして頭を振り、目覚めたばかりの頭を起こしていく。どうやら近くの岩場に寝かされていたようだ。
隣にはフェイトが同じように今目覚めたところらしく、いつも開かれているよりも小さく目を開いて何が起きているのか確認しているようだった。どうやら二人ともはやてに助けられて、ここで寝かされていたようだ。いや、はやてというよりはヴォルケンリッターのヴィータとシグナムといった方が良いのかもしれない。現に近くには、こちらに飛んでくる流れ弾を処理しているヴィータとシグナムがいる。その後方でシャマルが二人に身体強化魔法をかけ続けているようだった。


なのはたちよりも早くに落ちたアミタとキリエの姉妹も同じ岩場に座って上を見上げていた。――――そう、いまだに繰り広げられている三桜燐夜とシステムU-Dのしのぎを削り合う戦い。目に捉えるのも厳しいほどの高速戦闘でぶつかり合うたびに衝撃を辺りに撒き散らす。それが止んだかと思うと今度は、燐夜が圧倒的なまでの物量で放つ砲撃魔法。それを背中の赤黒い翼を広げて放たれる砲撃で相殺していく。はやて曰く、これの繰り返しで千日手になっているとのことだ。


なのはは、そんな燐夜を見て悲しくなってくる。先ほどまで燐夜の過去を回想のような形で見せられたため、そのような感情が浮かび上がってくる。そして、涙が止まらない。どうして、どうして燐夜なのだろうか。彼女はこの日ほど神というものを恨んだことはない。
フェイトも同じように泣いている。実は泣くのをずっと我慢していたのだが、なのはが泣き始めて、それにつられて溜めていたものが流れ出てきているのだ。そしてなのはと同じように悲しくなる。


「私、燐夜君のこと全然知らなかった」
「私よりも酷い目に遭ってたのに、気遣ってあげられなかった」


なのはとフェイトの二人がポツリポツリと何かを悔いるように話し始めた時、空中にモニターが投影されてクロノが出てきた。目を覚ました二人に話しかけようとするクロノだったが、リンディに止められた。二人の話を黙って聞くようにと念話でクロノに伝えてきたのだ。


また、ずっと流れ弾を防ぎ続けているヴォルケンリッターの四人とはやても聞き耳を立てていた。


「ずっと隣にいたのに、全然分からなかった」
「心のどこかで、燐夜のことを下に見ていた」
「「でも」」
「いつでも燐夜君は優しくて、強くて」
「いつでも見守ってくれた」


なのはとフェイトの話は自分たちのことから燐夜本人へ移っていく。


「生まれた時からお父さんがいないなんて思わなかった」
「母さんと一緒に誘拐されたなんて誰が考えるだろう」
「それに、自分で自分のお母さんを殺めたなんて……」


二人はそれから何も話さなくなった。誰もそんな二人に話しかけることなんて出来なかった。泣き崩れた二人に誰も話しかけることなんて、誰にもできるわけないのだ。そしてそれは、空中に出したモニターを消したクロノにも言える。


クロノは何も話さなかった。リンディも何も言わなかった。アースラの管制室内にいる局員全員が口を開くことはできなかった。そのわけはリンディにある。
なんと、あのリンディが泣いているのだ。実力も申し分なく、精神的にも強いものがなれる艦長に収まるリンディが涙を流してモニターを見続けているのだ。しかし、それを指摘できるものはこのアースラにはいない。譬えいたとしても、その人物はもうこの世にはいない。そして、そんな母の姿に息子は、直視することが出来ずにただ横目で流すように窺うことしかできない。受けた衝撃は計り知れないものだったのだ。


当の本人は、昔のことを思い出していた。最愛の人と自分の愛しい息子に囲まれて幸せの絶頂にあったころのことを。今でも思い焦がれる嘗ての家庭風景を。もうそれは叶わなくなってしまったが、今モニターに映っている二人はまだやり直せる。いや、まだ始まってすらいない年端もいかない幼い少女なのだ。うまく表すことのできない感情が心の中を渦巻いて、どうしようもなくなって、涙が出てきたのだ。本当なら声を上げて泣いてしまいたい。今すぐにでもあの子たちと同じように泣き崩れてしまいたい。でも、それは自分の立場が許さない。リンディはリンディで必死に耐えていたのだ。


そしてなのはとフェイトは、まだ泣いてはいたものの少しずつ変えていこうと前進しようとしている。燐夜の過去は誰も知らなかった。それは当たり前のことである。燐夜が誰にも話していないからだ。ずっと心の奥底に押し込められていたものが、今回の戦闘で高ぶる感情とあの蒼い炎と共に出てきたのだ。であるから、彼女たちが燐夜の過去を知ることが出来たのは、奇跡に近い偶然なのだ。


だが、彼女たちは偶然とは思わないだろう。奇跡とは起こるものではなく、起こすものである。偶然なんて有り得なく、すべて必然なのだ。究極的に言えば、そういうことだ。今回のこの出来事は起こるべくして起こっている。


目の前で戦っている燐夜は、9歳となのはたちと同い年であるが、実際は11歳。けれども、過去は同じ。この闇の残滓に関する記憶は無くなるようで11歳の燐夜は、闇の書の悪意を抱えて消えるときにこんな事件が起こるとは言っていない。ということは、記憶は消されたのか、封じたのかの二択。燐夜の性格からして自分で記憶を封印するとは、なのはには思えない。であるからにして、前者がおそらく正解だろう。


そしてなのはとフェイトの独白は、当然ヴォルケンリッターやはやて、アミタ、キリエのフローリアン姉妹も聞いていた。
フローリアン姉妹は、特にこれといった反応を見せなかった。なのはたちの声を片耳に入れつつも、燐夜とシステムU-Dの戦いの行く末を心配そうに見守っていた。


ヴォルケンリッター。
彼女らはずっと戦いにつきものである流れ弾の処理をしていた。シグナム、ヴィータ、ザフィーラが弾いて、後ろからシャマルが支援するという手馴れているフォーメーションでもう数十分は同じ状態が続いていた。ヴィータあたりが騒ぎ出しそうだが、処理に追われているため時間の経過も忘れているようだった。だが、そんなヴィータが急に空中に止まった。
流れ弾を今まで処理していたのに、急に止まるとそのあたりだけ弾くことが出来ずに素通りしてなのはたちに襲い掛かる。シグナムやザフィーラは、自分の持ち場を守るので精一杯だ。間に合うのは、シャマル、フローリアン姉妹、なのは、フェイトの五人だが、なのはとフェイトは迫りくる魔法弾に気付けない。フローリアン姉妹は、一度交戦して撃墜しているため体やデバイスが限界を迎えつつあった。なのはのディバインバスターに匹敵する威力をそう何度も凌ぐことは不可能だった。ちなみにはやてだが、蓄積型デバイスに相殺させる魔法は載ってないこともないのだが、如何せん詠唱が長い。飛翔魔法で飛んでいるときと同等の速度で迫る魔法弾を落とすことはできない。
そうなってくると、もう対処できるのはシャマルしか残っていない。しかし、シャマルも前陣で対処に追われている三人と違ってパワーヒッターではない。したがって、真っ向から向かうのは不可能に近い。


「…………くっ! ええいっ!!」


シャマルは意を決して迫りくる魔法弾に向かってシールドを張った。しかし、それは真っ向からぶつかり合うシールドの張り方ではなく、少し角度を変えて少しでもいなして伝わる衝撃などを逃そうとしている。果たしてそれが成功するか――――。
結果は成功した。何とか逸らすことに成功し、魔法弾はあらぬ方向に飛んでいった。管理局によって広域結界が張られ、維持されているが、それに衝突し、僅かに拮抗して打ち消された。


「シャマルっ! 大丈夫か!?」
「えっ、ええ。何とかといったところよ。こっちは大丈夫、自分のところに専念して!!」
「そうはいかないな……ザフィーラっ!! 厳しいが、いったん任せていいか!?」
「心得た!! ……鋼の軛(はがねのくびき)っ!」


シグナムは場を心苦しいがザフィーラに一任し、宙にただ浮かぶだけのヴィータのもとへと向かう。


「ヴィータァ!! お前何をしている!」
「何って……シグナムは、あんなこと聞いて悲しくならないのかよっ、もう限界なんだよっ……あたしは、あたしは……っ! ……悪かった、でも今はもう下がらせてくれっ……!」


シグナムはヴィータの胸倉をつかみ、問い詰める。けれども、ヴィータの今にも泣き崩れそうな表情を見て、その力を弱めた。そして、ヴィータの心に溜まり積もった想いを聞いて、シグナムも心に一筋の線が入るような感じを実感した。だが、戦いの中にはそんなものはいらない。シグナムはヴィータの想いも受け止めて後ろに下がらせた。


シグナムが戦線に戻る中、ヴィータはゆっくりと後ろに下がる。その表情は勿論浮かない物であった。


無理もないのかもしれない。ヴォルケンリッターの構築プログラムのもととなっているのは、その年齢に値する精神年齢を与えられているのだ。ヴィータは見た目、6歳から8歳ぐらいであろうか。
古代ベルカ時代の長い長い戦乱の中、自分の心を必死に押し殺して人を動物を殺め続けたその精神がまともなはずなく、はやてとの暮らしの中自分の心を段々と開いていき、戦乱の中で起こっていたようなことを聞かされて錯乱状態に陥ってしまったのかもしれない。


シグナムは前線に戻って流れ弾の処理を始めた。ヴィータは、ふわふわとゆっくり後ろに進んでいたが動きを止めて、シグナムの後姿を見て、自分に絶望した。他人に絶望した。そして――――


――――争いの止まないこのごみの様な世界に絶望した。


――――あたしがいるからいけないんだ。あたしがいるからみんなつらい思いをしなきゃいけないんだ。あたしがいるからみんな頑張らなくちゃいけなくなるんだ。あたしがいるからみんな苦労するんだ。あたしがいるからみんな悲しい思いをするんだ。あたしがいるからみんな――――


あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが悪いんだ。あたしが――――


――――あたしが全部悪いんだ。


そう呟いたヴィータのもとに、燐夜とシステムU-Dの戦いで空気中に撒き散らされている燐夜から放たれている蒼い炎の粒子がヴィータに集まり始めた。


「ヴィータっ!!」


そんなヴィータのもとに主であるはやての声が届いた――――。 
 

 
後書き

……ふうっ。重かった。
そして……どうしてシャマルが活躍してるんだ? シャマルはだんまりにするはずだったのに。

月末は忙しくなりそうだったので、少し早めに投稿。
4月からは投稿スピードが上がればいいなあ。けど、まだ厳しかったり……なるべく早く上げられるようにします。目標は小さく、エタらない。

 
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