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MS Operative Theory

作者:ユリス
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MS戦術解説
  ゲリラ戦➁

——ゲリラ化への道を辿った民間、連邦、公国——

 一年戦争序盤の公国軍の地球侵攻と、連邦軍の敗走によって、連邦政府の支配力は弱体化した。公国軍の占領地域では軍政は布かれ、治安は安定していたようだが、公国軍と連邦軍がけん制死会う空白地帯は無政府状態に陥り、地域住民が自治を行わざるを得なかった。

 この過程で自治意識が強い地域(東南アジアなど)では、自衛の必要性から武装化、つまり住民化のゲリラ化が進んでいった。

 このようにして誕生した自治組織的なゲリラは普段は連邦・公国のどちらにも属さなかったが、彼らのテリトリーに無断で侵入した場合、相手を問わず攻撃して来ることもあったため、きわめて危険な存在であった。

 このため公国・連邦両軍は、よほどのことが無い限り、ゲリラの支配地域には手を出すことはなかった。また、民間ゲリラの中には反公国組織もあり、場合によっては連邦軍と共同して破壊活動を行うこともあったようだ(月面都市でも反公国のゲリラ活動が行われた)。

 連邦政府及び連邦軍の弱体化は、軍の末端にも大きな影響を与えた。コロニー落としと公国軍の地球侵攻によって、指揮系統に深刻なダメージを受けた連邦軍は、組織的な行動が不可能となり、地域によっては各部隊が独自の判断で行動せざるを得ない状況に追い込まれていた。

 このため、一部の連邦軍部隊はゲリラ化の道を選び、遊撃戦によって公国軍の補給線に攻撃を加えることもあった。こうしたゲリラ戦は宇宙でも行われ、「V作戦」に遭遇する直前のシャア・アズナブル少佐(当時)が従事していたゲリラ掃討戦も、連邦宇宙軍の残存兵力で構成された遊撃部隊との戦闘であった。

 一時は、連邦軍に組織的な抵抗を許さないほどのダメージを与えた公国軍だったが、時代に劣勢となり、遂に敗北。特に一年戦争終戦後は、公国の残党軍がゲリラ戦を展開することとなった。

 公国軍残党は地上・宇宙を問わず潜伏していただけでなく、MSすら装備した危険なゲリラ勢力ではあったが、補給部隊はもちろん、これといったバックアップ組織が存在しておらず、長期的な活動は難しかった(自給自足が可能なコロニーとしての特性を持ったアクシズですら、10年程度の活動が限界であった。

 ゲリラは基本的に非生産的な組織であるため、民衆レベルまたは経済界などのバックアップが無くては活動の継続は不可能である。公国ケイのゲリラ組織は、その…を見落としていたのだろう。

 その点、後に出現したエゥーゴが、極めて限定された初期能力しか保持していなかったにもかかわらず、強大なティターンズを打倒できたのは、アナハイム・エレクトロニクス社を始めとする宇宙資本を味方に付け、連邦国民へのアピールに成功していたことが大きかった。

 もっとも、公国残党がそのことに気付いたとしても、一年戦争での虐殺行為から考えて、連邦国民の支持を得られたとは考えにくい。



——ジオン公国残党軍——

 敗戦を受け入れなかった一部の公国勢力は、地下に潜りゲリラ化した。彼らの目的は「ジオン独立戦争」で唱えられた「スペースノイドの独立」であったが、各勢力間の連携が不十分だったうえ、装備と兵員の拡充も行えないまま、局地戦レベルの戦いを繰り広げるだけのケースがほとんどだった。

 中にはデラーズ・フリートやアクシズといった、大規模作戦を展開した勢力も存在していたが、地球連邦を打ち倒すには至らなかった。また、民間レベルのゲリラ活動が活発だったアフリカ大陸では、アフリカ解放戦線などの地元勢力と協同戦線を展開する残党軍も存在していたが、散発的な攻撃に終始しており、次第に消滅していった。

 こうした残党勢力は地球連邦政府にとっても悩みの種であったと推測される。しかし、一年戦争終結後の混乱のため、大規模な掃討作戦はほとんど行われなかった。



——公国残党の拠点——

 公国軍残党勢力はMSや艦船を装備していることもあって、巨大な拠点を必要としていた。デラーズ・フリートに代表される宇宙の残党勢力は、暗礁宙域の破壊・廃棄されたコロニーや隕石を改修し、拠点とした。

 暗礁宙域が公国軍残党の拠点となっている事は連邦軍も理解していたが、暗礁宙域は座礁の可能性が高い危険地帯であるため、連邦軍であっても簡単に掃討作戦を展開する訳にはいかなかった。地上の残党勢力もMSを装備していた都合上、広大な格納庫を持つ拠点を必要とした。

 このため鉱山跡や洞窟などを改装し、基地とする場合が多かった。砂漠地帯では、偽装シートを被せただけのMS(例:ロンメル隊)も多数存在したが、連邦軍の監視が緩いこともあって、発見される可能性は低かったようだ。



——公国残党軍の装備——

 公国軍残党は、終戦後に投降しなかった公国軍がそのままゲリラ化した存在であったため、装備をそのまま受け継いでいた。装備の中には多数のMSも含まれており、戦後のゲリラ活動の中核として、連邦軍に少なからぬ被害を与えた。

 しかし、MSも機械である以上、予備パーツや燃料(推進剤)も必要となる。デラーズ・フリートヤアクシズのような一部を除けば、そのような消耗品を自給できる残党勢力は少なく、稼働機は減っていく一方だった(組織の隠匿のため、無人地点に拠点を構えたり、周辺地域との接触を可能な限り減らす勢力も少なかったようだ)。盗賊行為や連邦軍からの奪取、活動の収縮といった手段によって、何とか組織と機器を維持する勢力も存在していた。

 
 

 
後書き
次回 一撃離脱 
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