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オズの五人の子供達

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第二幕その四

「日本人しか食べないからですか?」
「ああ、僕もあっちの世界で見たけれど」
 今度はジャックが答えてきました。
「お握りは日本人しか食べないよね」
「そうみたいですね」
「アメリカ人は海草を食べないしね」
 お握りには海苔が欠かせません、けれどアメリカ人はその海苔を食べないのです。
「中国人は冷えた御飯を食べないし」
「海草なんて食べないよ」
「冷えた御飯は食べたら駄目だよ」
 そのジョージと神宝がそれぞれ言ってきました。
「あんなの食べられるの?」
「食べるなってお父さんとお母さんに言われてきたんだけれど」
「それがわからないの」
 どうしてもとです、恵梨香は二人に言いました。
「何で皆お握り食べないのか。あんなに美味しいのに」
「そういえば僕も食べないね」
 カルロスも言ってきました、食パンを食べながら。
「お握りは」
「そうよね、カルロス君も」
「御飯を使ったお料理も好きだけれど」
「お握りはよね」
「何かね」
「私もお寿司は食べるわ」
 ナターシャも恵梨香にお話します。
「けれどお握りは」
「皆食べないのね」
「日本人しか食べないことが不思議だけれどね」
 ジャックも言います。
「そうした食べものもあるんだね」
「とても美味しいんですけれど」
 とにかくお握りの美味しさを皆にも知ってもらいたいとです、恵梨香は言います。
「一つ食べれば」
「まあそんなに必死にならなくていいんじゃない?」
 その恵梨香につぎはぎ娘が明るく言ってきました。
「特にね」
「そうなんですか」
「そのうちお握りの木も出て来るかも知れないし」
 こう恵梨香に言うのです。
「出て来なかったら自分で作ってね」
「食べればいいんですね」
「そういうものじゃない」
 こう明るく言うのでした。
「海苔を付けなかったり温かかったらジョージや神宝も食べるかも知れないじゃない」
「うん、それならね」
「僕も食べるよ」
 ジョージと神宝もこう恵梨香に答えます。
「それならお寿司みたいなものだと思うから」
「お寿司は食べるしね」
「そうね、じゃあその時にね」
 恵梨香は二人の言葉も聞いて気を取り直して言います。
「お握りもね」
「では今はパンを食べてね」
 木樵が五人の子供達に今度はこう言ってきました。
「行こうか」
「はい、それじゃあ」
「そうします」
 こう話してでした、五人は。
 パンと果物、そしてお茶を飲んでなのでした。お腹一杯になったところで。
 再び歩きはじめました、そして黄色い道に入りました。その道を見てです。
 恵梨香は道の遥か先、青い草原の中にある煉瓦の道を見てかかし達に尋ねました。
「この道を進めばですね」
「うん、そうだよ」
「この道を進めばエメラルドの都に行けるよ」
 かかしと木樵が恵梨香に答えてくれました。 
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