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蘇生してチート手に入れたのに執事になりました

作者:風林火山
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プールと水風呂は同義語でよかろうッ!

「でかい・・・・・」

「大きいですねぇ~」

「こんなところまで神条家は所有していたのか?」

「何でも昔人気が有ったジャンボプールを設備まるごと買い取ったらしいわよ」

「どんな買い物だよッ!」

神条家の資産保有率に改めておののきながら、宏助はそのジャンボプールを眺める・・・・・

「・・・んんッ!」

「え?宏助さん?」

「おい、なんか鼻血出そうになってんぞ」

「大丈夫ですか?」

・・・・・眺めるふりをして、別のもん眺めてたら身体中が熱くなってきた。

まず一番に目を引くのが二人のビキニだ。

色々出ている明と、スタイル抜群の麗がビキニだととんでもないことになっている。

明はなんとゼブラ柄で、布の表面積が非情に少なく既に零れそうで(一部零れているといっても過言ではない)溢れている。

そんな決壊寸前のダムみたいな風情の明さんは頬を微妙に赤く染め、チラチラこちらを見てくる。

そんな様子をニヤニヤしながら見ている麗さんが、このダムの製作者だろう。

麗さんも同じくビキニだが、こちらは黒で、細い腕や脚やらがスッと出て、こちらも遺憾なく実力を発揮している。

決壊寸前のダム(明)と、水力発電までしちゃってる完璧ダム(麗)に見とれているのは勿論宏助だけでなく・・・

「明様・・・・さすがだ・・・・」

「俺はどっちかって言うと麗さんだな・・・。明様も勿論いいけど・・・」

「何を言っているんだあれがほぼフルオープンってだけで・・・もう」

「い~や、ボリュームよりも華麗なあの身体が目に入らんのかお前らは・・・」

ボソボソ声で話しながらエロい目で明や麗を見る独身SPども。

勿論宏助と真には聞こえているが、

「ヤぁ、君たち。少しお話があるんだけどなぁ?」

「ダイジョウブダヨ。ジカンハカカラナイ」

「「「「うわぁ!」」」」

さっとSPの背後に回りこみ殺気を放出する。

自分たちの身の危険を感じたときにはもう遅い。

「流々乱舞ッ!」

「聖火聖灯ッ!」

「「「「なんでえッ~!」」」」

全員仲良くプールにドボンである。

そんな乱闘を勿論女性陣は、

「何をしているのでしょうね?」

「さぁ~。また下らない喧嘩じゃないですか?」

ジト目で見つめていた。

「しっかし広いジャンボプールだな~」

女性陣のジト目から逃れるように辺りを見渡すと半端ではない広さのジャンボプールが視界を支配する。

まず一番に目を引くのがウォータースライダーで、ぐるぐるとうねっているスライダーが、空に向かって伸びている。

既に地上から離れたスライダーの出発点には多くのSPたちが並んでいる。

更には、流れるプール、波のプール、滝のプール、ミニウォータースライダー、アスレチックプールect

とにかく一番の目玉ウォータースラーダーを中心とした様々なアトラクションが広がっている。

しかし、同時に宏助は、プール全体を観察していた。

真曰く「化け物」がいないかを調べる為だ。

宏助は、気がついたら、昨日の出来事を回想していた。









「お前、突然現れたらこんな能力持ちやがって!何が目的だ!」

「お兄ちゃんこそ何よ!こんな能力って!この能力の素晴らしさが理解出来ないの?」

「ああ、理解できないね。そもそも俺はお前ら家族とは縁を切ったんだ!

あのとき散々俺をのけ者にしておいて今さら何だよ!」

積年溜め込んでいた思いが、家族である妹にぶつけられる。

「私はお兄ちゃんと接しようとしていた!でもアナタが拒んだんでしょう!

私は私なりにお兄ちゃんのコト調べようと、遂最近神条家のSPをやっていることを嗅ぎつけたのよ!」

妹も負け時と俺に反論してくる。

いよいよ超人同士の一触即発の空気が形成され、破裂しようとするとき。

「やめなさい」

「「・・・・・!」」

明がその空気を思い切り取り去った。

「私たちが貴方に聞きたいことは山ほどあるのですが、どうせ教えてくれませんよね?」

「当たり前でしょう。この能力の由来も、何故私がSPになれたのかも教えませんね」

「てめぇッ!」

怒る宏助だが、蘭は、

「じゃあ何?私とバトる?今ここで?それは得策じゃないと思うなぁ」

そう平然と答える。

確かにこんな人前で、神条家の名を背負う俺たちが争う訳にはいかない。

「確かに得策ではありません。

だから私達はあなたを逃します。

でも、集会では必ず・・・・」

そう。蘭がSPなら必ず集会に出席する。

そうすればおのずと蘭の事情も分かるはずだ。

「必ず捕まえてやる、ってこと?

まぁ無理は承知の上だろうから、一つ忠告しておくわ」

一息おいて、蘭はゾッとするような笑みを浮かべて告げる。

「私、強いよ?もしかしたらお兄ちゃんよりも」

「・・・・ッ!」

「じゃあね~」

そういって蘭は走り去ってしまう。追いかけられるが、追いかけても無意味だ。

「よく耐えてくれました・・・」

「・・・・・」

その明のねぎらいの言葉に、宏助は歯軋りするしかなかった。









ふと、隣を見ると、真も同じく険しい顔をしている。

真たちも先日、捕縛した死神から情報を聞き出したらしい。

しかし、その情報を話す途中で、死神は突然消滅した。

遠隔操作で、死神を強制的に成仏させる・・・つまり聖気を放出させられる機会が体内に仕込んであったらしい。

真は相当に悔しがっていたが、その死神の話した情報は興味深いものだった。

「神条家の集会に、総督が率いる死神の総勢が向かっている。

計画には【オールダイ】も使われる」

これを喋ったあとに、死神は消滅してしまった。

【オールダイ】が何なのか、何故死神が神条家の集会に来るのかは分からない。

でも、これだけは分かる。

神条財閥での集会が、無事に終わることはない。

だから既に今から、宏助たちは気を張っているのだ。

しかし・・・・・

「真に、明様と宏助君!ウォータースライダー滑りましょう!」

「そ、そんな麗・・・・」

「「・・・・・・・」」

明が顔を青ざめる中で真と宏助は麗に対してジト目である。

この事態を聞いても、麗は、

「今から気を張り詰めても仕方ない!

今日はしっかりエンジョイしましょう!」

というので、プールに来ている次第だ。

実際、死神を探しても、神条家にインタビューしても、話が片付くわけでもない。

だが、あんなことを聞いていた後では嫌でも気を張りつめたくなる。

麗はそれでも呑気である。心底うらやましい。

「なに?明様はともかく、アンタたち怖いの?」

「「いや、そういう訳でなくてだな」」

「じゃあ。すべりましょう。明さんも、勿論ね」

「ええ~、ちょ、待ってください!」

「「・・・・・・・・」」

そんな訳で、結局ウォータースライダーのすべり口まで来てしまったのだが・・・・

(以外と高い・・・・・)

そうなのだ、このウォータースライダーは高さがある。

しかも、地上にまで最短距離の直線を辿るのではなく、グルグルとうねって距離を伸ばしてある。

水の流れる勢いも轟々と音をたてるほどだ。

一本のこの大きいスライダーにはさすがの宏助もビビるし・・・

「う・・・ううううう」

明なんて顔真っ青である。

「じゃあ、滑りましょう!」

何を言っているのだこのアマは・・・

そんな風なジト目を誰もが向ける中麗だけは平然としている。

「やっぱりやめないか、明様も嫌がっているし」

真が明を言い訳にしているが、

「貴方が高所恐怖症ってだけでしょ」

「・・・・(ギクリ)」

実は真も怖いのは勿論ばれている。

「私はこんなの無理ですよぉ」

明も嫌がるが、

「明様だって、もうちょっと身体動かさないと、【HIKIKOMORI】ですよ」

と取り付くしまもない。

「・・・・・・」

最後に宏助が目で訴えてみるが、

「誰から滑るかジャンケンで決めましょう」

こちらは完全にスルーである。

で、

「じゃあ、順番は明様、宏助君、真、私の順でいいですね」

「よりによって最初なんて・・・・・」

明の顔の青ざめ度が当社比3倍になるが、麗は引かない。

「さぁ、早く滑りましょうよ!」

「うううううう」

渋る明が一歩後退したとき、

「アッ!」

なんと明が思い切り滑った。まぁ、濡れたこの場所ではありがちなことだが・・・

「はい」

こんなトラブルの為に俺がいる。滑った明の手をしっかり握るが、

「あ」

なんと後ろから思い切り真が俺を押す。

「・・・・えええええええ」

正確には、真が明を一瞬遅れて後ろから引きとめようとして、宏助を突き飛ばしてしまったのだが、

「てめぇは何してくれてんだこらぁッ!」

そんなのは勿論関係なく、宏助は思い切り真の腕を掴む。

宏助の身体は掴んだ明ごと、既に後ろに倒れこみそうだった。

その後ろがウォータースライダーというのは言うまでもなく、既に明の片足は水に浸かってる。

「おい!お前もなんだよっ」

真も腕を遠慮なくつかまれ、支えが欲しいと周りの掴みやすそうなものを掴む。

ギュッ

「・・・・??」

「・・・・なに晒してんのよッ!」

掴んだのは麗の胸だったが。

「ぐわあああッ!」

麗に怒って突き飛ばされ、結局後ろに倒れこむ真。

急いで麗が支えようとするが、

「あ」

今度はもうこれ以上にないほどスライダーの激流の中で脚を止めていた明が限界を迎え、

ずるっ

「「「「うわあああああ」」」」

四人仲良く滑る羽目になった。

立ちながら滑る羽目になり、ものの数秒で落下しそうになる明を宏助が抱いて支えるが、そのまま抱きかかえるような姿勢になって滑
る羽目に陥った。

「・・・・・真、覚えてなさいよ」

「・・・・・」

同じく真も麗を抱きかかえていたが。

そんな訳で二組が抱き合ったまま、スライダーを滑り出す。

宏助的にはほぼ限界に近い密着度で、完全にアウトだった。

「宏助さん・・・?」

「今上目遣いとかマジでやめてくださいもう俺限界突破しちゃいますどうぞ?」

「あ、いやっ。それならいいんですけど。少し気を張り詰めすぎじゃないかと思って」

「・・・・・」

こんな状態でいたわられても困る、非常に困る。

「だって、別に今から気を張ってもどうにかなる問題じゃないでしょう?

でも宏助くんの顔はずっと厳しいままです」

「・・・・」

やっぱり困った。状態もそうだが、返しに困る。

困っている宏助に、

「私はいつもの宏助くんがいいです」

「・・・・・!」

更に明が手榴弾を投げつけてきた。

「あの~・・・・」

「いつもの宏助くんがいいです」

「・・・・・」

「いつもの・・・・」

「~ッ!もう分かりましたよいいですよ!いつも通りいきます!笑います!」

「それでいいです」

やっと要求を聞いてもらったことに満足する明。

ふてぶてしく、警戒を解いて、プール中に張り詰めていた気を解いて笑う宏助。

後ろで微笑む真と麗。

スライダーはそれらを乗せて、地上まで流れる。

水は宏助たちを目的地へ運ぶまで、止まらない。 
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