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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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第九十話 嘘と心

「そこだ!」

『やらせるか!』

デスティニーがビームライフルを連射してドラグーンを撃ち落とそうとするが、レジェンドのドラグーンはその攻撃を躱して逆に撃ちこんでくる。だが、シンの操縦技術によってデスティニーはその攻撃を全て紙一重で躱していった。

『何故当たらないッ!』

ドラグーンが命中しないことに苛立ちを隠せないレイ。ならば接近戦で落とすと思考を切り替えてビームジャベリンを抜く。そこに焦りがあったことは否定しない。実際、レイのテロメアは少なく、残されている寿命も薬によって延命させている。そこに恐怖はないが、デュランダル議長の役に立てずに死ぬという事にレイは恐怖を抱く。その焦りからレイは敵を少しでも早く落とさなくてはならないという使命感に襲われる。

『これで――――貰ったぞ!』

ビームジャベリンとアロンダイトが交差する。狙いはその膠着した一瞬。攻撃を受け止めるにせよ、反撃するにしろ、近接戦の攻撃は総じてその攻撃直後に最も隙が大きい。レイはその瞬間を狙ってドラグーンを撃ちこんだ。そのビームの数は十六。接近したことによる自機への誤射の危険性は顧みない――――いや、顧みる余裕などない。

「こんな所で、終わって堪るかァ!」

『これすらも防ぐか!!』

そうやって近接戦で絶対の確信をもって放ったドラグーンの攻撃すら防ぎきられる。関節部の動き一つ一つを調節し、かすめる様に躱した十のビーム。そして、残りを六射をアロンダイトを手放して両腕から左右にビームシールドを展開して防いだのだ。結果、デスティニーは全くの無傷というわけではないが、直撃となったものは一切ない。

「でりゃァァァ――――!!」

そして防御だけで止まらない。態々懐に入りんできた相手を逃す理由などない。左右に構えたビームシールドを消し、肩に取り付けられているフラッシュエッジ2ビームブーメランを握る。そのまま両腕を交差させるようにビームブーメランをサーベル状態にして振り抜いた。

『この程度で!』

右からの攻撃をビームシールドで、左からの攻撃をエネルギーの充填の為に連結させているシールドドラグーンで防ぐ。どちらも高出力のビームブーメランによる攻撃に対して防ぎきって見せた。その後、デスティニーに蹴りを入れてレジェンドは再び距離を取り直そうとする。
自ら仕掛けた接近戦だが些か相性が悪すぎる。万能型のデスティニーに接近戦の技能に長けているシン。それに対して射撃機のレジェンドと空間認識能力を生かすうえで射撃戦が得意なレイとでは近接戦での有利不利など比べるまでもないだろう。

「レイの望んでいる平和な世界がレイにとって守りたい世界だっていうのはわかっている。だけど――――!」

『今更裏切り者が何を言った所で……』

苦々しい顔つきでレイはシンの言葉をはねのける。最後まで聞く気はない。レイは自分の意思でこの戦場に立ち、シンと相対しているのだ。

『ならば、人が……人が真に欲している平和は何だというのだ!自由か?愛か?それもまた事実だろうさ。だが、それが世界を滅ぼそうとする火種になる。人という種の枠そのものが滅びを求めている!数多の予言に記されるように!それが人の業だからだ!人の限界だからだ!故に、変えなくてはならない。人を支配し、種の枠を徹底して管理し、遺伝子によって束縛させなくてはならない!』

嵐のようにあらゆる方向から放ったドラグーンが遂にデスティニーを捉えた。右手の手の甲と背面の収束ビーム砲に命中したドラグーンのビームによってビームシールド発生装置を破壊され、外殻の青いパーツと緑色の砲身が取り除かれる。
いかにシンが集中力を高め、SEEDやニュータイプとしての力を発揮したと言っても限界があるのだ。緻密な機動を繰り返し、相手の動きを予測し続ける。寧ろこれまでほとんどダメージを受けなかったシンの方が異常であるとすらいえる。

「グッ――――!?だから……何でそうやって決めつけるんだよ!人類なんて広い枠で望んだ平和が同じだなんてあるはずないだろ!人間は、誰だって違っているんだ!レイだってクローンの元になった人間だっていうのかよ!違うだろ!!」

『いい加減にしろ!だとしてもそれが如何したという!許容できないというのであれば従わせるだけだ!ザフトにはそれだけの力がある。その為のメサイアだ!その為のレジェンドだ!それを身をもって証明してみせる!!まずはお前からだ、シン!!』

誰だって、不幸になりたくない。それを叶えようとするのがデスティニープランだ。戦争という不幸を無くす為の計画。しかし、その先が必ずしも幸福を意味するわけではない。不幸の逆が幸福であったも、不幸が無くなる事が幸福につながるわけではない。事実、この先にレイの幸福は存在しない――――

「その先の未来はレイ、お前自身が居ない世界なんだぞ!俺はそんな世界は認められない!過去は振り返れる、決着をつけることだってできる!だから、信じろよ!自分の持っている可能性を!俺達は過去を振り返る事も、未来に思いをはせることも出来る今を生きているんだろ!!」

光の翼を展開させる。膨大な推力を得たデスティニーは一瞬でレジェンドとの距離を詰めた。アロンダイトがそのまま振り下ろされ、レジェンドのシールドドラグーンを叩き斬る。

『馬鹿なッ!?』

シールドドラグーンは本来アンチビームシールドとしての役割を果たすほど防御能力の高いものだ。にも拘らずあっさりと断たれてしまった。シールドドラグーンは最早使い物にならないだろう。
レイはそのことに驚愕しつつも、更に後ろに下がる。その場に立っていればアロンダイトにシールドごと機体を真っ二つにされていたに違いない。事実、レジェンドの左腕はシールドドラグーン破壊時に攻撃の余波を受けて半壊していた。

『ギルの為にも、俺はこんな所で……!』

小型ドラグーンでビームを連射し、二基の大型ドラグーンのビームスパイクを展開、そのまま突撃させ、自身もビームジャベリンを構える。アロンダイトの高威力を相手に、薄く膜状に展開するビームシールドでは心許ないと判断したからだ。

「何度でも言ってやる!レイ、お前は議長に従うだけの人形か?誰かのクローンで他人だっていうのか!俺は絶対に認めない!お前はレイ・ザ・バレルで、俺達ミネルバクルーの同期で、誰の代わりにも成り得ない……」

光の翼によって現れる幻影と共にデスティニーは接近してくる。レイにとってシンはあくまでも議長のデスティニープラン実現の為に乗り越えるべき障害の一つに過ぎない。だが、彼に誤算があったとすればそれは――――

「俺の戦友だ――――――!!!」

自分の心に嘘をつき続けることが出来なかったという事だった。議長に全幅の信頼を寄せていた。シンを討つことを躊躇うつもりなどなかった。そう思っていたのは表面だけ――――結局、心というものほど曖昧なものもない。平気で嘘をついて、その嘘も脆く、崩れるときはあっさりと崩れる。

(俺の運命も、変わって欲しい、か……シンらしい)

エクステンデットに対しても優しく接することが出来る彼だからこそ言える言葉。そして、レイにとってその言葉は眩しすぎるものだ。それは彼の心が無意識に揺らいでしまうほどに――――
デスティニーの高出力のエネルギーによって発生した熱を強制的に下げるために、MEPEによって剥離した薄い装甲が自然と熱を帯び、実体のある残像としてシステムが誤認する。ミラージュコロイドによって生まれた幻影もそれを助長していた。それによって小型ドラグーンのビームやビームスパイクを展開していた大型ドラグーンの二基の攻撃は外れ、デスティニーは呆気なくレジェンドの懐まで入り込んだ。

『なら、信じよう……お前が運命を変えてくれ……』

その言葉と同時に、アロンダイトの刃がレジェンドのビームジャベリンごと右腕と背面のドラグーン・プラットフォームの右半分を切り裂いた。







「MS隊、機雷共に配置完了。母艦の位置も問題なし――――」

元はダナが乗っていた味方艦であるザンジバル級にMS隊の指揮を執っていたダナ・スニップの死亡と、戦場での配置変更を伝えて彼、クラウ・ハーケンは行動を再開していた。

「議長も人使いが荒いなー、役者には退場してもらわないといけないとはいえ忙しいったらありゃしない」

退場してもらった役者の一人はダナだった。そして、先程指示を送ったザンジバル級も同様に退場してもらう役者の一駒らしい。彼らは不沈艦アークエンジェルの横腹を狙い撃つという大層な役割を貰っていた。

「ザンジバル級が落とされても時間を稼げればよし、逆に落としたとしてもそれはそれでよし、ね……可哀想なことで」

単純なことだ。ザンジバル級はただの足止めに宛がわれた。おそらくだが、次のネオ・ジェネシスでアークエンジェルを落とすのだろう。一発目は宣戦布告、二発目はミネルバ側に対して向けた囮、そして次の三発目が本命ということだ。

「そりゃ二発も外せば多少は気が緩むだろうね」

ネオ・ジェネシスは二発ともまともに成果を上げていない。それだけ聞けば大抵の者はその脅威を数値の上では理解しても気を緩めるはずだ――――何だ、大したことないじゃないか、と。その脅威を理解していても人はそれを容易く忘れる。忘れないというのであれば、戦争など起こるはずもないのだから。

「怖いね、本当に怖い人だ。相手の心理を上手く見抜いているよ、議長は」

多分自分も掌の上で転がされているのだろうと考えるクラウ。それを理解した上で何もしないのは、何とかできると思っているからではなく、踊らされて自分がどうなろうと大して気にしていないからだ。そういう意味では伊達に十六回も転生しているわけではない。
そして、おそらくだがクラウが自身の身を顧みないことに対しても議長は理解している。だから捨て駒に近いような役割も与えられるし、クラウはそれを許容する。

「……きっとこの後の行動も予測されているんだろうね。だとしたら、勝ち目なし?」

『あの機体はオーブにいた――――!』

クラウが独白を続けていると、予想していた通りの敵が来る。そして、そのタイミングに合わせて予めセットしておいた機雷を爆発させた。それと同時にリゲルグの背面部に装備されているミサイルポッドを放つ事で先制攻撃を仕掛ける。

「ターゲットはZGMF-X20Aストライクフリーダム――――さて、仕事と行きますか」

勝つつもりはない。目的は受け流すだけ――――端的に言えば時間稼ぎの一環だ。議長の命令とはいえ中々厳しい命令だと考える。ストライクフリーダムを相手にオーブ戦でクラウは対等に戦ったように見せたが、あくまでも見せただけに過ぎない。
ストライクフリーダムの真価であるドラグーンを使用できない地上での空中戦、向こうが初めて乗る機体に対してこちらは乗りなれた機体、防衛側と攻略側の違い、あらゆる要素が噛みあって五分に見えるだけの状況を引き込んだのだ。つまり、結果的に彼の実力ではキラ・ヤマトに勝つ術はない。

「こういうのは柄じゃないけど、パーティーを始めようじゃないか!」

しかし、実力で劣っていながらもオーブ戦で対等に渡り合っていたのは事実である。何故か?簡単なことだ。自分に実力が足りていないのであれば、勝つための要因をこちらから引っ張り込めばいい。
キラ・ヤマトを仕留めるために用意したその布石の一つが今行った機雷による奇襲だ。機雷の爆撃がストライクフリーダムに襲い掛かる。だが、流石にこのような単純な策は通用するはずもない。そもそも小型の機雷による爆発程度ではストライクフリーダムにまともなダメージは与えられない。

「落ちろッ!」

『そんな攻撃!』

リゲルグのビームライフルでストライクフリーダムを狙い撃つ。当然、牽制程度に放たれたビームは命中しない。しかし、それで構わない。ストライクフリーダムは一刻も早い決着を望んでいるのだろう。時間を掛けることは許さないと考えているのもわかる。ドラグーンを展開して四方八方から攻撃を仕掛けてきた。

『これでッ!』

そして、クラウの素の能力でそれらドラグーンによる全方位攻撃を避けることは出来ない。落とされる、と普通なら思うだろうが――――

「そこまで甘くはない!」

総てクラウの読み通り。腕部のグレネードや背部のミサイル、右手のビームライフルといった総ての装備を使って迎撃を行う。だが、当然の結果というべきか、ドラグーンを撃ち落とすことは出来ず、逆にシールドを、右足を、頭部を――――といった風に次々と撃ち抜かれていった。AMBACも利用して躱しながら反撃を続けるがまともな反撃など一切加えれていない。

「どいつもこいつも、本物のエースっていうのは異常だよね!」

両腕も肘から撃ち抜かれ、武装どころかまともな攻撃手段を失わされるクラウの黒いリゲルグ。だが、それでもなおとばかりに喰らいつこうとした所で残っていた左足と背部のスラスターも切り裂かれてしまった。達磨となり、完全に無力化されてしまったのだ。
しかし、これも想定の範囲内だったのだろう。その瞬間を狙っていたかのごとくストライクフリーダムの周囲を囲む様にゲルググF型とグフイグナイテッドの部隊が現れる。

『誘い込まれた!?』

その数ゲルググF型が十八機、グフイグナイテッドが六機の計二十四機。MS一機を仕留めるには十分すぎる数である。だが、誰も油断はしていない。相手はあのフリーダムなのだ。
ゲルググはビームマシンガンを構えて次々とストライクフリーダムに撃ちこんでいく。ドラグーンに対しても一基に対して一機のゲルググが牽制に回る事で抑え込んだ。いきなりの強襲、ビームマシンガンによる攻撃を避けるストライクフリーダム。
だが、躱した先に向けて四機のグフが同時にスレイヤーウィップを放つ事でストライクフリーダムの両手両足を取り押さえることに成功した。そこを狙って正面と後ろの両方からグフがビームソードを構えて突撃してきた。

『やらせない!』

腰のレール砲を正面に構え、正面から突撃してきたグフの両腕を破壊し、両腕からビームシールドを瞬時に展開させることで両手を拘束していたスレイヤーウィップを切り裂く。そのまま、両手に持っていたビームライフルを手放し、腰のビームサーベルを取って足に絡みついていたスレイヤーウィップを切り裂き、反転する様に後ろから来たグフも無力化した。

『当たれェ――――!!』

拘束から抜け出し、圧倒的とも言える攻撃が放たれる。拾い直したビームライフルで四方でストライクフリーダムを捉えていたグフを無力化し、ドラグーンに気を取られていたゲルググも撃ち抜かれる。そのまま部隊の注意がストライクフリーダムに向くと同時にドラグーンが牙を剥く。

『これが、フリーダム!圧倒的じゃないか!?』

『たかがMS一機じゃないか!?』

その後に計二十四機のMS部隊が全滅させられるまで五分もかからなかった。だが、キラは気付く。

『あの黒いMSが居ない……』

――――無力化したはずのクラウのリゲルグが戦域からいなくなっていた。それがキラに不安を抱かせるが、時間を無駄にするわけにはいかないと判断してメサイアへと向かう事にした。
 
 

 
後書き
デスティニーの実体ある残像!ある意味ミラージュコロイドと組み合わさる事で更に恐ろしい兵器になりました。 
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