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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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第八十九話 ナチュラルを嫌悪する意味

ネオ・ジェネシスによる攻撃――――それはミネルバ側の陣営でも事前に察知できるものだった。元々メサイアからの砲撃は一度目があった以上、二度目を警戒するのは当然であり、敵部隊が不自然な空白地点を作っていた時点で予測可能なものとなっていた。

「今よ!三発目を撃たせるわけにはいかないわ!全軍、攻撃を開始せよ!」

ミネルバの艦長であるタリアが総指揮を執り進軍させる。大型の戦略兵器は威力が高い分、使うタイミングを見誤ればデメリットが大きくなる兵器だ。現在、メサイアは陽電子リフレクターが施されているため艦隊での砲撃では落とせないが、MS部隊による内部からの破壊であれば落とせるはずだと判断する。その為には艦隊ごと距離を詰めるのがベターな案だと考えていた。

「艦長、多数の敵MS隊が急速接近!ナスカ級が何隻も撃沈されています!先行した他の艦隊も敵MS隊に攻撃受けているようです!?」

「何ですって!?」

嵌められた――――そう気が付くのにさして時間はかからなかった。こちらが敵の隙をついたと思わせたタイミングに合わせて逆に強襲を仕掛けてきたのだ。出鼻を挫かれるというのは戦略的に思った以上にダメージが大きいものとなる。攻撃を仕掛けようとして逆に攻撃を受ける側になり、その立て直しに混乱するからだ。
フットボール等のスポーツでも攻撃しようとしたタイミングで相手にボールを奪われてしまうと、調子を崩し、そのままそれが敗北へとつながる切っ掛けへとなることも多い。戦争とスポーツが同じだとは言わないが、どちらにせよ出鼻を挫かれるというのは不味い。

「クッ、止む得ないわね……本艦が先陣を切ります!」

「無茶ですよ、艦長!敵の数が多すぎます!本艦が的になってしまいますよ!?」

アーサーが副官として艦長に意見する。確かに、ミネルバが先陣を切れば状況を打開できるかもしれない。しかし、一方で釘付けにされてしまう可能性も高いのだ。アーサーはそのリスクの高さから止めるべきだと進言し、タリアはリターンの高さから実行するべきだと判断する。

「今ここで我々が防御に回るわけにはいかないわ。アスラン、ショーン、二人とも艦の護衛を頼める?」

『はい、分かりました。俺も艦長の考えに賛同です。味方を失うわけにはいかない』

格納庫で修理と補給を受けていたアスランとショーンの二人にすぐ出て援護するよう命令する。アスランはすぐに返答して、タリアの意見に賛同した。

「それだけじゃないわ。防御に回ってしまえばこちらの数少ない反撃のタイミングを失ってしまう。そうなったらあの砲撃の三射目を止めれない。タンホイザー照準、まずは戦線の航路を切り拓くわよ!」

今動かねば自分たちは大いに不利な状況に立たされることになる。タリアは自分の乗る艦が落とされるという最悪のケースを想定しつつも、そうならない為にどのように動くかを必死に考えていた。

「敵MS来ます!」

「全砲門、正面に集中!敵を近づかさせるな!」

こうしてミネルバはかつてないほどに辛い正念場に立たされる事となる。







「チッ、そういう事か!奴等、砲撃を囮にしやがった!」

ネオ・ジェネシスを囮に使うという策に嵌ったのはなにもミネルバだけではない。ラー・カイラムを中心としていた艦隊やアークエンジェル――――メサイアを落とそうとしていた殆どの部隊はまんまと騙されたのだ。
そして、先陣を切っていたマーレもその一人であり、突破を図ろうとして逆に囲い込まれてしまっていた。共に随伴していた味方が次々と落とされていく。こちらも迎撃するが多数の方向からの攻撃と数の違いによって明らかにこちらが不利であった。

「――――だが、舐めるんじゃねえぞォ!!」

それでもマーレは自身の直感と高いパイロットセンスによって攻撃を躱し、敵を撃ち抜く。落とした敵の武装であるバズーカを奪い取り、接近する敵艦の艦橋に向けて放った。まさに一騎当千とも言える活躍。しかし、所詮は単機。戦況を変えれるほどの影響を及ぼすことは出来ない。そして、新たに敵の増援が現れる。

「今度は本当にデスティニーか……落とされても文句言うなよ、ハイネ!」

『そっちこそな!』

光の翼を展開しながら現れたのはオレンジカラーのデスティニー、つまりハイネだった。バズーカを捨て、腰からナギナタを抜く。デスティニーのアロンダイトとRFゲルググのナギナタが衝突した。メサイアで補給を済ませたデスティニーは再び戦場へと向かっていた為、先行してメサイアに近い位置にいたマーレのRFゲルググと出会うことになったのだ。

『いくつもの死を背負って、或いは超えて、ようやく得ることの出来る平和だろ?お前たちは何でそうやって割り切れねえ!』

「今更、価値観の違いに意見を戦わせる気はない!こうやって武器を持っている以上、戦わせるのは意見じゃなく武器だ!」

アロンダイトを弾いてマーレは至近からライフルを放つ。ハイネはその攻撃をアンチビームシールドで防ぎ、パルマフィオキーナで砲撃を放つ。データ上では知っていても、実際に近接武装として使われていたパルマフィオキーナを射撃武装として使うという不意打ちにマーレは咄嗟に躱せず、ビームシールドで弾いた。

『貰ったァ!』

防がれることを事前に予測していたハイネは左腕のワイヤーを射出してRFゲルググを捕らえる。そのまま引っ張り右腕に握っていたアロンダイトを振り下ろしてRFゲルググを断ち切ろうとした。

「グッ、そう簡単にやれるとでもッ!」

機体を傾けることで何とか回避するマーレ。しかし、先程から驚愕するような動きばかりである。パルマフィオキーナによる射撃攻撃もそうだが、片腕ワイヤー一本でRFゲルググを引っ張る事や、扱いにくい武装であるはずのアロンダイトを片手で振り下ろすといった随分と尋常ではない動作を見せつけられた。

「これがデスティニーの真価ってわけか!」

マーレとハイネは元とはいえ戦友であり、デスティニーの開発関係者であるクラウはマーレと親しい関係にある。となればデスティニーのデータや動作パターンを読まれていないとは限らない。セオリー通りの動きは通用しない可能性がある。だからこそ、ハイネは本来なら行わないであろう動作パターンをOSに組み込むことでマーレを翻弄しようとし、その企みは見事成功した。

『さあ、どうする気だ、マーレ!』

そのトリッキーなデスティニーの動きに対応しきれず、ライフルを破壊される。押しているのは明らかにハイネの方だ。ライフルを失った以上、RFゲルググには遠距離武器はなく、ハイネは射撃戦に切り替える。

「迂遠な戦い方で勝てると思ってんじゃねえぞ!」

『なッ!?』

ビームシールドを使って射撃武器がわりにビームを放つ。威力としては牽制程度のものだが脅威にならないわけではない。

『そんな姑息な手で!』

しかし、所詮その場しのぎの雑な反撃――――そう判断してハイネはその攻撃を躱し、背面につけているガトリング砲で一気に蹴散らそうとする。

「他人の理屈だけで何もかも出来るわけじゃねえよ。それが人間だ!だからこそ、こうやって―――主義主張が違い戦っていく事になるんだろうが!」

だが、それは一時的に逃れようとする為の間に合わせの一手などではなく、次の一手へとつなげるための布石だった。ナギナタをブーメランのように投げつけて、それと同時にビームサーベルを二本とも抜いて接近したのだ。ガトリング砲の砲身がナギナタによって断ち切られ、投げ捨てる際にナギナタごと吹き飛ばすようにして何とかナギナタの攻撃を防ぐが、そうやって防いだと同時に、二本のRFゲルググのビームサーベルが切り裂こうとする。

『グ、オォォォ――――ッ!!』

ビームシールドを展開し、アンチビームシールドと併用して防いだが、二本のビームサーベルから迸るエネルギーは膨大なものだった。デストロイの攻撃すら防げるビームシールドと特殊合金によって超高度を誇るはずのアンチビームシールドが押し込まれているのだ。
ありえない程の出力だ。ビームサーベルから出せる通常の出力は愚か、ビームとしての出力ならアロンダイトすら上回っている。

『なんつゥ過剰性能(オーバースペック)なんだよッ!?』

「俺が知るか!造ったクラウにでも聞けやァ!」

過剰なエネルギーがビームサーベルとしての本来の形を維持しきれなくなるほどに供給される。もし下手な武装やシールドで防いでいたなら容易く叩き切られた事だろう。事実、デスティニーのアンチビームシールドとビームシールドの両方を同時に展開してですら押し込まれているのだ。

『光の翼で!!』

ハイネはデスティニーの光の翼を限界出力で展開する。強大な光圧によって大きな推力を得たデスティニーはRFゲルググを逆に押し切ろうとする。
下がれば断たれる――――だからといって膠着してしまってもそれは同じだ。ならば周りの味方による援護を頼る?無理な話だ。爆発するかのような光の輝きと衝突するほど近い距離にいるデスティニーのせいで、正確にRFゲルググだけに狙いなどつけれるはずもない。
ならば押し通る。自分から押し切ってしまえばこちらの勝利は確定する。ビームシールドは攻撃手段としても使えるのだから。そして、最大を超え限界まで出力が高められたデスティニーの光の翼は、最早物理的な脅威すら持っていた。迂闊にも近づいて援護しようとした味方MSの一機が光の翼によって歪み爆発する。

「『オオオォォォォォッ――――――!!!』」

普段から雄叫びを上げるように叫ぶような性格でもない二人が互いに声を大にして張り合う。声を上げた所で機体の性能は変わらないと言われるかもしれないが、精神的なものというのは重要だ。弱気になれば、少しでも抑え込まれてしまえば、戦場という闘いの場においてあっさりと勝敗が傾くことなどいくらでもある。
紫電の迸るビームサーベルによって装甲を焼かれるデスティニー。攻撃手段として機能している光の翼の一部にいくつものを擦り傷の様な損傷を受けるRFゲルググ。

両者は一歩たりとも譲らない――――あらゆるシステムがアラートによる悲鳴を上げ、一部の機能はダウンし始める。力押しの戦闘ともいえないようなただのぶつかり合い。だが、その力の大きさは桁違いだ。

しかし、その力のぶつかり合いも永遠に続くものではない。腕がたわむ様に軋み、ひび割れ、その生まれた一ヶ所の綻びから水面の波紋のように機体の全身へと広がっていく。その機体はハイネのデスティニーだった。純粋な力の押し合いになった時点でこの結果は予定調和ともいえた。
ハイネがマーレを斃す為に使ったトリッキーなデスティニーの動き――――それがデスティニーの負担になっていたのだ。本来両手で持つべきアロンダイトを片手での動作、MSをワイヤー一本で引っ張った際にかかった負荷、それらは確実にデスティニーの腕に負担をかけていた。上手く隠していたし、実際にマーレに対してその戦術は有効だった。だが、それがこの力の押し合いで露呈したのだ。

『グゥッ………!!??』

ひび割れ崩壊の兆しを見せてしまったデスティニーに最早耐える術などない。関節部を中心に機体が砕かれていく。そのまま一息に、と力を入れたRFゲルググのサーベルに吹き飛ばされた。吹き飛ばされた事と攻撃の余波によってデスティニーは無残にも破壊される。

「俺の――――勝ちだァッ!!」

『結局……奇策に走って、自分を信じ切れなかった俺の負けってわけか……』

早い話が自分の行動につけが回ってきただけの事だ。割り切って、自分の実力を最後の最後まで信じられないから奇抜な手に頼って、それが原因で敗北した。だが、ハイネに後悔はない。これまでそうやって生きてきたのだ。それは自分の選んだ選択肢であり、だからこそ結果が満足いくものでなくても受け入れなくてはならない。

『他人に割り切れって言っておいて……自分がそうでないのは、格好悪いだろ?』

そう最後に呟いて、ハイネのデスティニーは爆発した。その様子を見ていた周りの部隊は驚愕し、恐れを抱く。フェイス所属の自軍エースが落とされたのだ。当然の事とも言える。だが、彼らの中に決死の覚悟を持っている者が居ないというわけでもない。

『い、今ならやれるはずだ!隊長の仇を討つぞ!』

元ハイネ隊所属のメンバーが武器を構えてRFゲルググに向ける。マーレのRFゲルググとて無傷で勝ったわけではない。寧ろ損傷自体は酷いものである。武器も手に持っていた二本のビームサーベルはデスティニーとの戦いで既に焼き尽きて使い物にならない。

「チッ……勝負に勝って試合に負けたって所か?」

継戦する余力も、撤退する手段も殆どない。敵は慎重にこちらの攻撃を警戒しながら囲い込む様に武器を構えて移動する。十中八九無駄に終わるだろうが抵抗くらいはして見せる、そうマーレは意気込んで先制攻撃を仕掛けようとした。

『待ちたまえ』

全員が動きを止める。否、止めさせられたというべきだろうか。現れたのは大型の赤いMS。ずんぐりとした大型のその機体は寧ろMAと言った方がいいかもしれない。そして、その機体に誰が乗っているかなど、誰の目にも(この場合、耳というべきか)明らかだった。

『デュ、デュランダル議長……!?』

『いやはや、凄まじい戦いだったよ。君たちの先程の戦闘。見事だった、やはり君たちは戦うための戦士だ。いや、最早英雄というべきかね?』

白々しさを感じさせるわけではないが、マーレにとっては議長の言葉は酷く空虚なものに聞こえる。マーレ自身は知らない事だが、ニュータイプとしての直感が彼をそのように感じさせているのだ。

『君が持つ才と彼の持っていた才、端的に言えば遺伝子の上で君は彼に劣っていた。むろん、機体の差、努力の差、運に恵まれたかそうでないか――――あらゆる条件が存在していただろう。だが、君の場合は違う。遺伝子に左右されない決定的な要素があった。君のその力、もっと有効に使うべきではないかね。
デスティニープランをより強固なものとするために。いや、或いはデスティニープランすらも超える新たな平和のための道を創るのもいい。投降するというのであれば悪いようにはしない。さあ、この手を取りたまえ』

「うるせえよ、そんな提案に対する答えは当然クソ喰らえだ。俺とハイネの決着にそんなしち面倒くせえ理屈こねてんじゃねえ」

議長に対して暴言をはきながら拒絶を示す。自分で言った事でありながら内心自分が一番驚いている。そもそも自分は何時からこんなに変わったのだろうか。軍に参加したのはナチュラルを抹殺するために正当な理由と直接的な殺戮を行えたからだ。
デュランダル議長に対しては中道派だったこともあり、気に入らない部分はあったが反発するほどの事でもない印象だった。それが今ではどうだ――――ナチュラルなんて関係なしに、いや寧ろ立場的にはナチュラル擁護に近い立場にいるではないか。
そんな事を考えながらマーレはひそかに機体の動く機能を一つずつチェックしていく。

『そうか、実に残念だよ』

「チッ、これだから無能(ナチュラル)は嫌いなんだ……」

マーレは自身がナチュラル嫌いなのは遠回しに言えばただの無能に吼える奴等が嫌いという意味だという事に気が付き――――そんな事に今更気付いた自分はまるでナチュラルと同じだなと、自分に対して皮肉を言って最後まで抵抗してやると機体を動かす。

『その機体で果たしてどこまで持つかね?』

「そりゃあ、テメエに一矢報いるまでだ!」
 
 

 
後書き
自分なりの勝手な解釈+話の中での成長補正です。多分原作のマーレはナチュラル嫌いにこんな理由、理屈はないと思われます。

あとデスティニーのパルマフィオキーナって射撃武器としても使えますよね?(負荷とか安定性の低さ等の問題はありそうな気はしますが)いくつかのゲームだと普通に射撃武装として使ってますし。 
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