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古の鉄の巨人を駆る他世界への介入者

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復活

気がつくと、そこは自分の部屋だった。ベットに身体を預け、眠りについていた。身体を起こすと頭痛がした。痛みに思わず額に手をやってしまう。妙に額が痛い、そして、何か心に開いてしまった穴が埋まっているような気がした。キョウスケは痛みに耐えながら、ここまで何があったかゆっくりと思い出す事にした。

「……そうか、俺は…神失格だな」

自分が生前愛した人を殺め、神殺しの力を回収した後に蘇生し、その理由をエクナに問い立たされて思わず、涙を流してしまったのだ。泣いて泣いて、最後はエクナに選択種を渡され、紙であり続けることを選んだ。泣いても意味は無い、事態は好転しない、だから泣くをやめた。ある意味諦めたという事になるのだろうか。でも、千夏を殺した事がまだ心を締め付ける。

その時、指に嵌めている指輪の光が目に入った。エクナとの結婚指輪だ、其処には『永久に愛する事を誓う』と刻まれていた。その刻まれた文字を見たら思わず笑みがこぼれた。どうにもくさい言葉だ、だが本質を捉えた言葉だった。自分はエクナを常に心の中心に置いて愛している。良く考えなくても、千夏の事も自分は今深く愛している。

「ぁあ……どうして、もっと早く理解出来なかったのだろうな」

認めてしまえば良かったんだ、理解してしまえば良かったんだ。そう思ったら、すっと気持ちが楽になった。悩みすぎていた、単純な事に気づかず、通り過ぎて待った区別のものを求めて自分は歩いていた。数多ある可能性の光の中、自分は余りにも近くにあって、簡単すぎる答えを取り逃がして、更に深みにある答えを求めていたのだ。

自分が傷つく厳し過ぎる修羅への道、一歩、進める足を置く位置を間違えれば、自分は心を失い、ただ、役目を執行するだけの装置となっていただろう。でもそんな道も終わりが見えた。自分を掬い上げてくれた光、愛した女性への思いを、肯定するだけで自分は救われた。それを気づかせてくれた妻には本当に敵わない。さあ絡みつく茨の如き鎖を外そう、こびり付いた思考を変えよう、曇りに曇った気分を一掃しよう。自分が、新しく生きる為に

「よしっ!改めて元人間、南武 恭介は神として、誠心誠意、努力する事を此処に誓い、父として進んでいこう!」

ベットから飛び起きて、かつての高校時代の活発で元気な声をあげながら、鏡を見ながら誓いを立てた。凛々しい顔つきには今まで無かった、明るい笑みがあった。高校時代に友と共に馬鹿騒ぎをやり、無邪気に笑っていた時を思い出した。今まで失っていた人間らしさを取り戻せた気がしてきた。今という時間を過ごすのが楽しくて仕方が無い。

「フフフッ…はははははははっ!!久しぶりに心の底から笑えた!愉快!本当に愉快だ!!俺も馬鹿だった、否まさしく俺は馬鹿だ大馬鹿者だ!!」

余りにも可笑しいのか、笑いながら額に手を当てて身体を仰け反らせるようにしながら、再び指輪を見る。

「ふぅ……そうだな、何時までもくよくよしてるなんて俺らしくない。千夏を殺してしまった?人生を変えてしまった?ならばそれを俺なりに、自分なりに変えて見せようじゃないか!はっ!しゃぁ!!」

まるで高校生の時に戻ったような口調だった。落ち着いた口調ではなく、気持ちに身を任せた口調そのもの。が、鏡に映っている自分を見て、恥ずかしそうに顔を赤らめてから、部屋を出た。

「よし、まずはISの転生者の事を片付けるかっ!!」

キョウスケは頬を叩きながら、気合を入れなおして、歩いていく。向かうは様々な世界へ繋がる扉。まずは下級神が無許可で転生させた転生者を始末する。そう意気込んで廊下を歩いていくと、途中すれ違う女神や、女性の大天使達は顔を赤らめたりしながらキョウスケに見惚れ、男性神達や男の天使達は、気合入ってるな~っと感心している。


そしてキョウスケは扉の前へ立ち、深く息を吸い込んでから、扉を開けて、世界へ向かった。


「どうしたのキョウスケ?随分すっきりした顔してるけど?」

IS学園の自室へと戻ると、そこではアルクがブロンデーの相手をしながらベットに寝転んでいた。自分も椅子に座り、窓から景色を眺める。

「ちょっとな。昔から心に刺さっていた楔と、余裕が出来た」
「余裕って?」

アルクが尋ねるとキョウスケは嬉しそうに笑って、答えた。

「様々な事に目を向ける余裕だ」
「ふぅん、よく解らないけど、マスターだった時よりずっと良い顔してるよ。今の貴方」
「そうか、それは良かった」 
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