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青い目のハイスクールクイーン

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第三章


第三章

「おい、マジかよ」
 最初に驚きの声をあげたのはヒゲだった。
「本当にデートすることになったのか」
「本当だって」
 俺は満面に笑みを浮かべてヒゲに応えた。
「今度の日曜な」
「嘘だろ、おい」
「いやあ、まさかと思ったよ」
 ノッポが次に言ってきた。
「御前があの娘とデートなんてな」
「ああ、全くだ」
 リーダーも言う。
「けれどよくやったな」
 そのうえでまた声をかけてきた。
「頑張れよ」
「わかってるさ」
 俺はにこにこしながら応えた。にこにこしているつもりだったがにやにやしていたのかも知れない。俺はとにかく嬉しくて仕方がなかった。
「このチャンス。絶対ものにするぜ」
「けれどさ」
 今度口を開いたのは白だった。
「彼女日本語わかるの?」
「ああ、一応だけれどな」
 俺はそう白に返した。
「わかるよ。ただ」
「ただ?」
「かなりたどたどしいんだよな」
 視線を上にやって述べた。
「最初のやり取りもさ。かなり苦労したよ」
「やっぱりなあ」
 弟がそれを聞いて納得したように頷いてきた。
「それは仕方ないよね」
「ある程度でも通じるだけましかな」
「だろうね」
 弟は俺のその言葉に納得してくれた。
「彼女はアメリカ人なんだしさ。御前も英語は話せるようになったか?」
「いや、それはちょっと」
 その問いにはつい首と左手を横に振った。
「テストはともかくさ。そっちはやっぱり」
「話すのは無理か」
 チビが言ってきた。
「やっぱり」
「難しいよ、英語は」
 俺の答えはこうだった。こう言うしかなかった。
「普通に喋るのはさ」
「無理か」
「無理じゃないけれど難しいんだよ」
 俺はまた答えた。
「本当にさ。喋るのが」
「御前グラマーの方が得意か」
 リーダーにそう言われた。
「リーダーよりも」
「まあそうかな」
 そのリーダーに答えた。
「どっちも赤点すれすれだったけれどな」
「それでもどっちかというとそっちだろ?」
 またリーダーに言われた。
「やっぱり」
「そうかも」
 俺はその言葉に頷いた。
「言われてみれば」
「それでどうなんだ?」
 またチビに言われた。
「御前今度の日曜日上手くいけるんだよな」
「ああ、大丈夫だよ」
 不安はあったがこう返した。
「多分」
「多分ってな」
 ノッポは俺の今の言葉に呆れた感じの顔を見せてきた。
「大丈夫には見えないぞ」
「一応言葉は通じるしな」
「だといいけれどね」
 弟も不安な顔を俺に見せてきた。
「たまたまじゃなければいいけれど」
「そうだよね」
 俺にとって腹が立つことに白も同じことを言う。何か皆が皆俺に反対しているみたいに聞こえて嫌な気分になってきた。そうしたらヒゲもだった。
「泣いても知らねえぜ」
 笑って俺に言ってきた。
「それでもいいんだな」
「俺は泣いたりしないよ」
 憮然として皆に断言した。
「何があってもさ」
「わかってるって、そんなことは」
「ムキになるなって」
 俺がそんな顔をすると皆言ってきた。
「けれどな」
 それからリーダーが話をまとめるみたいにして俺に語り掛けた。今度は真面目な声だった。
「ヤケにはなるなよ」
「ヤケに?」
「そうだ」
 顔も真剣なものにして俺に言う。
「それだけはちゃんとしろよ」
「別にそれは」
「いや、こういうのはわからないんだよ」
 リーダーはかなりくどいまでに俺に言ってきた。
「言葉があまり通じないだろ?だから余計にいらつくからな」
「経験あるの?ひょっとして」
「なかったら言えないだろ」
 俺の問いにはっきりと答えてきた。
「だからなんだ」
「そうなんだ。何か怖くなってきたな」
 気弱になってきた。ついつい目を伏せてしまう。
「そんなのだと」
「といってもあれだぞ」
 しかしここで声を穏やかにしてきた。こういうところが凄くよかった。だから俺達のリーダーもできる。その気配りが嬉しかった。
「怖がっても駄目だしな」
「切れずに、それで勇気を出してってわけか」
「落ち着いて当たって砕けろ」
 またとんでもないことを言われた。
「わかったな」
「わかったよ。じゃあ行って来るよ」
「よし、行け」
 こうして俺はデートに向かうことになった。約束の日曜日俺は勝ったばかりの中古の車に乗って待ち合わせ場所に向かった。免許も取ったばかりで運転も結構危ないものがあるけれどそれでも約束の場所に向かった。
 けれどまだそこには彼女はいなかった。俺は誰もいない待ち合わせ場所を見てまずは遅れなくてよかったと思った。最初に思ったのはこれだった。
「よかったよかった」
 それに喜びながら車を出て窓のところに立って彼女を待つ。サングラスに黒い皮ジャンとズボン、白いティーシャツで決めたつもりだ。サングラス越しにちらちらと辺りを見回しながら待っていると。その彼女がやって来た。
 
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