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青い目のハイスクールクイーン

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第二章


第二章

 けれども考えは変わらなかった。俺は彼女に告白するつもりになっていた。そうなったらやることは一つしかない。俺の腹は決まった。
 猛勉強をはじめた。とにかく必死になって勉強した。その結果かどうかわからないけれどテストの結果はかなりよかった。先生も驚いた程だった。
「君が成績延びるなんてな」
 エラの張った中年の先生がその目を剥いて俺に言う。俺は廊下で先生に声をかけられたのだ。
「嬉しい誤算だよ」
「嬉しいですか」
「当たり前だよ。生徒の成績があがって喜ばない教師はいないよ」
 笑ってそう声をかけてきた。
「だからだよ」
「はあ」
「しかしまた急にどうしたのかな」
 先生は首を傾げてきた。
「この成績の急上昇は」
「いえ、まあ」
 ちょっと訳は言えなかった。
「思うところありまして」
「そうか」
 笑顔で俺の肩をポンポンと叩いてきた。
「一念発揮したのか」
「そうなんですよ」
 とりあえずその方針で行くことにした。笑顔を作って答える。
「実は」
「いいことだよ。しかし最近」
「何ですか?」
「君感じも変わったな」
 先生は笑顔でそう述べてきた。
「何かな」
「そうですかね」
 これは自分でも気付かなかった。そう言われてみればそうかも知れないとも思ったがそれでも今一つ実感が沸かなかった。
「まあいい。いい方向ならな」
 先生は俺のことに気付かないままいい方に誤解して言ってきた。
「いいことだよ」
「そうですか」
「何でもいい、頑張ればな」
 こうも言われた。
「いいね」
「はい」
 俺は強い声で先生のその言葉に頷いた。背中を思いきり押された気持ちになった。
 これで俺は決意がついた。思いきって前に出ることにした。
「よし」
 機は熟した。勝手にそう思った。俺は教室に戻った。この時何か考えていたと思うがそれは綺麗に頭の中から消えてしまっていた。
 彼女は教室にいた。自分の席に一人座って本を読んでいる。
 彼女の側まで一直線に向かう。そして。
「あのさ」
 声をかけた。勝負のはじまりだった。
「時間ある?」
「エエト?」
 一応は話せて喋れるみたいだった。俺の言葉に顔を向けてくれた。
「あの、時間だけれど」
「タイム?」
「そう、それそれ」
 俺はその言葉に突っ込みを入れた。だが今の突っ込みにはわからないといった顔であった。
「それなんだよね」
「デスカ」
「うん、今度ね」
 俺はさらに言葉を続ける。彼女に顔を向けて言う。
「ドライブでも行かない?」
「ドライブデスネ」
「そう、ドライブ」
 彼女が応えたのを見て頷いてみせた。とりあえず言葉が通じたようなのでそれに感謝しながら。
「今度どうかな」
「今度、デスカ」
「そうだよ。何時がいいかな」
「何時ト言ワレマシテモ」
 彼女は物凄くたどたどしい日本語で応える。俺もその相手をする。
 結構苦しいものがある。何か自分の言葉が通じないのがこんなに辛いのかと思った。それでも俺は彼女に話を続けてみた。一度決めたら後に引くつもりはなかった。
「日曜なんかどうかな。サンデー」
「サンデー?」
「そう、サンデー」
 俺はその言葉に応えてみせた。
「今度のサンデー。どうかな」
「ソノ日デスカ」
「その日に時間ある?」
「一応ハ」
 彼女はそう答えてくれた。
「アリマス」
「そうなの。それじゃあさ」
「ハイ」
「よっし」
 彼女のはいという言葉を聞いて会心の笑みを浮かべた。これで決まりだった。俺は小躍りしてデートにこぎつけたことを喜んだ。そのことを早速仲間に言った。
 
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