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モンスターハンター ~厄災の狩人達~

作者:島原
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陽龍と陰龍
  空

 
前書き
(´‘ω‘`)あけましておめでとうございました。

(´‘ω‘`)祝って、どうぞ 

 
(―――何だ?ここは…)

暗闇の中一人の男が目を覚ます。

(俺は…一体…?)

その男はアカムトJシリーズ・レジェンド一式を身に纏い、幻夢悲壮刀【黒力白夢】を握り締めていた。

(ああ…そうか…、俺は刀に呑まれちまったのか…。)

男の目の前に広がる血で赤く染まった景色が状況を把握させた。

(情けねぇ…、これじゃあの時と何も変わっちゃいねぇじゃねえか…。)

男は頬に雫を伝わせながら独り言をこぼした。
男がそうは思わずとも体は勝手に動き、目の前の憎き標的を切り刻み続ける。
体の節々が悲鳴をあげ、標的からの攻撃に苦しみながらもなお意思とは別に切り刻み続ける。
もはや刀身が弾かれる感覚すら消えた。男は暗闇の中仰向けになった。







「…どうするハイド、あのロギアってにーちゃん 十七年前のオマエにそっくりだぜ?」

ガイルはロギアを指差しながらハイドに言った。

「…懐かしいな、あの頃の俺は独りよがりで誰にも頼ろうとしなかった。
仲間であり戦友であり、親友でもあったお前にすらな。」

ハイドは遠い日を見る目でロギアの様子を見た。

「お前たち」

ハイドはそこから腕組みをしながらアルフレッドたちに向き直った。

「お前たちは、刀に感情を呑まれただ斬ることだけを繰り返すロボットになったロギアに、
俺たちは仲間だと、心の底から言えるか?」

アルフレッド達は少しうつむいた。

「ヤツは…ロギアは今必要としているものから遠ざかっている。
それが何であるかは、君達自身や俺の言葉から推察できるはずだ。」

ハイドはロギアの方を見やり言う。

「もう一度言う。刀に呑まれ斬ることしか出来ないロギアを
仲間と呼べるか?」

ハイドの声が響いた後、そこかしこから歯軋りの音が聞こえた。
分かっている、そんなことくらい。
しかし仲間とは言えない。よく言った所で所詮は「他人」であった。
各々がジレンマをかかえるその時

「ちょっ、ダイラス!?」

一番にロギアの元へ走ったのはダイラスだった。
ついでアルフレッドも走った。

「ガアアアァァァァァッッッ!!!」

叫びながらなおもネヴィアの体を乱雑に切り刻み続けるロギア。
陰龍がついにロギアに攻撃を命中させ、地面に叩き付けた。

「グハァッ…!」

衝撃が体を貫き、もはや体ももちはしない。

(ここで、終わりか…。)

諦めかけ、潔く全身の力を抜くロギア。
陰龍のトドメと言わんばかりに振りかぶった腕がロギアに向かう。






その腕は鈍い金属音と共に勢いを失った。

(…?どうしたんだ?)

体をおこしたその先にはハンマーの柄と片手剣の盾でネヴィアの腕を止めているアルカディアGシリーズの狩人二人が居た。

「ロギアさん…いや、ロギア」

ハンマーを使う少年は言う。

「アンタは…その刀に自分の意識を呑まれるためだけに強化してもらったのか?」

(…!)

「アンタは…これまでに自分が守り通せなかったもの全て捨てて、コイツを斬り殺すためだけにその太刀を強化してもらったのか!?」

(ダイラス…)

少年はなおも言い続ける。

「アンタは…今まで協力してもらってきた、協力した仲間を全て捨てて今度は自分すらも捨てるっていうのか!?」

そして少年はロギアに振り返った。

「応えろ!ヴォルカノ=ロギア!」

ダイラスはハンマーの柄でネヴィアの腕を一度跳ね返し、瞬間で力を溜めその腕を吹き飛ばした。
ネヴィアが想定外のダメージに一度後ずさる。

「ぬおおおおおおおおおおお!!!!!」

ロギアが太刀を杖代わりに体を起こす。
その太刀は風貌を変え、今度は白色に光り始めた。
ロギア自身の体も輝き始め、防具が形を変えていく。

「…行くぞ、ノア マトレガ カーネロス ワーノルド カルヴォ」

「ああ、アイツらがすっ飛んでいったってのに俺たちが何もしないわけには行かないしな!」

「俺はロギアさんに振り回されっぱなしだった…、けどそんなことじゃ俺は折れませんよ!」

「ハイドさんの言葉でようやく気づいた…。私、危うく人を捨てそうになったわ。」

「…見捨てちゃいけない。」

「私も同意見だ。将来の伴侶に先立たれては困る。それに、私も君たちの仲間だ!」

「よし、行くぞ!」

狩人達は一斉に動き始めた。



「セージ、オマエも行って来い。」

「え?父さんはどうするの?」

「よせよせ、既に引退した狩人の腕をアテにしちゃならねえ。なあ、ハイド?」

「同感だ。ウデなんかとっくになまりきってるだろうしな。」

「母さんも調子に乗ったけど正直辛いわ。セージ、いってらっしゃい。母さんたちはここで見守るしか出来ないわ。」

「…分かった、いってきます! 皆、待ってくれ!俺も行く!」

セージは走り出した狩人達の下へ走っていった。

「…行っちまったな。寂しくねえか?ガイル。」

「なぁに、何つったってアイツはグレイジス家の長男だ。あんくらいの相手でヘマやらかすような俺とは違うさ。」

「なるほどな。ウチのせがれとてあんなヤツに屈した俺とは違うだろう。」

ガイルとハイドは二人して自分の息子を見守った。









「でぇや!ふん!そぉい!」

ハンマーが織り成す三連撃の音

「せいっ、はっ!」

片手剣が作る盾殴りの軽快な金属音。
そこに新たな音が加わる。

「ずぇぇぇりゃぁぁ!」

刀匠の太刀が空を斬る音。

「ロギアさん!」

「ありがとう、ダイラス。君のおかげで目が覚めた。
こんなところで屈するわけには行かない!」

そしてロギアはアルフレッドに向き直り

「アルフレッドもありがとう、ダイラスと君が来てくれたからこそ俺はダイラスの言葉の意味を理解できた。」

そしてネヴィアにもう一度向き直って

「この戦い、勝つぞ!」

途端に後ろからも音が聞こえてくる。

「おーい!俺たちを忘れるんじゃねぇぞー!」

「エイジさん!皆!」

岩場で迷っていたエイジ達がアルフレッド達の下へ走ってきた。

「ロ、ロギアお前その防具…」

「何か知らないが話すのは後だ!まずはコイツをぶっ倒そう!」

ロギアの身に着けていたアカムトJシリーズ・レジェンドは黒色の流れるような刺々しさは消え
白色でそれはまるで聖騎士を思わせる形に変貌していた。

「不思議だ…今は何故か痛んでいた体が力でも抜けたかのように軽い…。
弾かれまくって力が入らなかった腕も普通に刃が通るくらいに回復している…。」

もちろん生命の粉塵などを使ったわけではない。
ただただロギアの身に奇跡が起こっているだけだった。

「この片手剣がどれだけ強いかは正直分からないけど…そろそろネヴィアも麻痺を起こすんじゃないかな!」

アルフレッドが渾身の力をこめて盾殴りを放った。
陰龍ネヴィアは突如身をかがませ痙攣し始めた。

「麻痺か、でかしたアルフレッド!」

カーネロスが息を合わせるように足元へ。
ダイラスもネヴィアの頭下へ移動する。

「ぬぅぅぅぅ…」

カーネロスがその身に力を溜めていく。
ダイラスもネヴィアの頭下で力をこめる。

「どおりゃぁァァァァあ!!!!!」

カーネロスが少し早く陸海空覇剣【孤高】をネヴィアの足に叩き付けた。
甲殻は斜線上に剥げたものの肉へ斬り込むまでには至らなかった。

「でぇやッ!」

ダイラスが力を溜め込んだフラストレーションを斜めに頭部へ叩きつける。

「せぇい!!」

体の回転を利用し速度を上乗せした状態で今度は下から思い切りかち上げる。

「これでもぉ…。」

振った勢いを溜めながら制し、背中までフラストレーションを大きく振りかぶり

「喰らえェェッッ!!!」

これまでのどんな一撃よりも重いそのフラストレーションの一撃を陰龍ネヴィアの頭部にクリーンヒットさせた。
同時に二箇所、しかも想像を絶するレベルのダメージに瞬間で陰龍ネヴィアはめまいを起こしその場に倒れこんでしまった。

「機は今と見た!軽弩兵器隊、全力射叩き込めェー!」

「了解、携行バリスタ全力射撃てぇ!!!」

その追撃に携行型バリスタの全力の一撃が放たれた。
幾多の矢が宙を跳び陰龍ネヴィアの全身に突き刺さる。
着弾した部分の甲殻は全て剥げ、陰龍ネヴィアはほとんど甲殻が無い状態になった。

「アルフレッド!大タル爆弾G2だ!」

「はい!」

アルフレッドがポーチから大タル爆弾G2を取り出すとそれを腹部に置いた。

「マトレガさん起爆を!」

コクっとうなずいたマトレガが貫通弾を大タル爆弾G2の置かれた腹部に直撃させた。
爆発物を最大限に詰め込んだ大タル爆弾G2は轟音と共に爆発し、陰龍に更なるダメージを与えた。

「よぉしここまででようやく峠を越えたってレベルだろう、まだまだダメージを与えていくぞ!」

陰龍ネヴィアが少し苦しげにしているのをダイラスは見逃さず、ガンナーであるノア達の方を見た。

「毒状態か!ありがとなノアさん!マトレガさん!」

グッドサインをしながらノアとマトレガはそれぞれ分散しネヴィアに射線を向けた。
そしてどこからか壮大さと悲壮に満ち溢れた雄大な音色が聞こえてくる。

「この音色…【戦神乃宴】か!」

辺りを見渡すとワーノルドが古龍笙【戦神乃宴】を奏でていた。
攻撃力強化【大】、防御力強化【大】、体力回復【大】、精霊王の加護、全状態異常無効、会心攻撃強化
全属性耐性の旋律を持つ【戦神乃宴】が勝利の女神をロギア達に微笑ませようとする。

「よぉし一気に畳み掛けるぞォ!」

息づいたエイジも双剣を振りかざしネヴィアの体に斬撃を浴びせていく。





全てを出し切る連撃はなおも続くかと思われたそのときであった。

「ガムロス様?いかがなされました?」

アリデシアがガムロスから何かを聞き取った。

「そ、その様なことをガムロス様がする必要は…!」

アリデシアが必死に首を振って拒もうとしたが、陽龍の意思は絶対らしい。

「…分かりました。皆さんも分かってくれるでしょう…。」

ついに折れてしまった。



空中に佇む陽龍ガムロスが突如竜巻を作り出しロギア達を吹き飛ばしてしまった。

「な、なんだこの竜巻…ガムロス!?」

「何で邪魔するんだよー!」

竜巻で吹き飛ばされたロギア達はアリデシアの下へ落下した

「…っててて、アリデシア これはどうなってるんだ?」

「…ガムロス様はご自身の手で陰龍ネヴィアに終止符を打つ、とおっしゃられました。」

頬に涙をこぼしながら言った。

「なっ…ガムロスがたった一体で!?」

「はい…、皆様への言伝です。
長きに渡りよく奮闘してくれた。精鋭たる狩人の皆よ。
私はこの手で陰龍ネヴィアを葬り、自身もまた永き眠りにつく。
知恵ある子孫よ、皆を統率し禁薬を作り上げたこと賞賛に値する。
力ある子孫よ、汝らの力は万夫不当。獣の畏れとなるだろう。
才ある子孫よ、汝らのその才を存分に生かすがよし。
経験ある子孫よ、汝らの経験は決して無駄にはならんだろう。

最後にこの歴史を語り継ぐ子孫よ、汝らの紡ぎ出す歴史に永遠が約束されんことを…。」

「…」

一同は沈黙した。
アリデシアが言伝を終えたのを見届けていた陽龍ガムロスは陰龍ネヴィアの下へと降り立った。

ネヴィアは口を大きく開け、ガムロスに対してあの怒涛の咆哮を上げた。

「グッ…あの咆哮はそう何度も聞きたくないぜ!」

全員が耳を塞ぐ。重苦しく伝播する咆哮は周囲の天候すら暗くさせた。
その重圧に応えるかのようにガムロスもまた口を大きく開け、咆哮をした。

「な…何だこの咆哮?」

「おかしい…耳を塞がなくてもいいぞ!」

陽龍ガムロスのそれは例えて陽だまり。
陽龍の咆哮は例えてそよ風。
砂漠に響く優しい咆哮は例えて淡い光の輪舞曲

「見ろ!ネヴィアの姿が…!」

エイジの声に全員がネヴィアを凝視すると
陰龍ネヴィアはその全身を覆う甲殻が剥がれ、あれだけ覚醒したかどうかも分からなかった瞳が白く染まり
ロギアを吹っ飛ばした腕は力細く空ろに垂れ下がり
姿勢を保っていたその脚も老人のように頼りなさげ
ついには一枚の板切れのように倒れてしまった。

「対極の龍が咆哮をしただけで…これだけの弱り方…。」

しかし陽龍の方も無傷というワケではなかった。

「お、おい!ガムロスが…!」

ガムロスの甲殻は逆に黒く焦げ、あれだけ神々しかった翼や角もボロボロに砕け散り
ネヴィア同様力なく倒れてしまった。

「ガムロス様!!」

たまりかねたアリデシアが駆け足でガムロスの傍に駆け寄る。ハンターたちもついていった。
アリデシアはガムロスの傍にしゃがみ込み、しゃくりあげながらガムロスと言葉を交わしていた。
数分の後、アリデシアが立ち上がったのを見てハンターたちが問うた。

「ガムロスは最後になんて…?」

「…これでよい、と…」

無理に笑顔になろうとするアリデシアを見て、アルフレッド達は各々涙を伝わせた。

「俺たちは、勝ったんだよな…?」

ダイラスは横たわる陽龍を見ながら一人言った。

「…ダイラス、これは僕の憶測でしかないけど」

アルフレッドが陽龍の腕に手を置き

「ガムロスは最初から、こうやって災厄を終わらせるつもりだったんだと思う。」

「何でそんなことわかッ…いや、そうかもしれないな。」

ダイラスは青く澄み渡った、どこまでも続く空を見る。 
 

 
後書き
(´‘ω‘`)いやぁ時間ってかかるもんですねえ(白目

(´‘ω‘`)すいません許して下さい、何でもしますから。

(´‘ω‘`)今後のストーリー展開考えなきゃなぁ…

(´‘ω‘`)ノシ 
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