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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス

作者:海戦型
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役者は踊る
  幕間4 「目には見えないけれど」

 
前書き
2/14 タイトルのナンバリング付け忘れを修正、誤字修正 

 
月日が経つのは早いものだ。初めて会った頃は如何にも頭が固そうでからかい甲斐のあった少女もいつの間にやら成長している・・・体はそうでもないが。生体ポットで調整を受けていた分を年齢から引くと1、2歳ほど若くなるらしいが、それにしても発育が悪い。しかし発育が悪かろうが兵士としての能力は意外と損なわれないものだ。筋力が無いならばそれなりの戦い方がある。
―――俺がそう教えたし、とクラースは目の前にいる少女の報告を聞きながら回顧していた。

「セシリア・オルコットとシャルロット・デュノアは今すぐにでも実践に投入できるレベルでしょう。あの二人は別格です。セシリアは直感と反応速度がずば抜けていて小細工をはさむ隙を全く作りませんでした。シャルロット・デュノアは結果こそ敗れはしましたが、IS操縦技術はモンドグロッソの機動部門でも通用する曲芸を実戦で平然と成功させるなど、胆力と危機回避能力が並大抵ではない・・・但し今回のように暴走しなければ、ですが」
「ん。まぁそうだろうな」
「織斑一夏は不安定な要素が幾つか見受けられます。また残間結章はISの操縦技術そのものにまだ不安材料が多く、風花以外の機体でどこまで動けるのかが測れなかったため現段階では何とも言えません」

味方の戦力の情報収集は基本中の基本、という教えを忠実に守っていることは評価点だ。着眼点も問題ない。いただけないのは俺の所に答え合わせをしに来たことだな・・・とも思ったが、「自分より出来る人間で尚且つ信頼できる相手は有効活用しろ」という教えを守っているとも取れる。
つまるところブーメランだ。これは甘んじて受けるしかあるまい。

「佐藤稔・・・さんは実戦でどう転ぶか判断しかねますが、過去の情報を聞くに危機対応は問題なさそうですし千冬教官も高く評価しているため期待はしてもいいでしょう。篠ノ之箒は接近戦に関しては間違いなく1年生で最強ですが、正面からの攻撃以外にどう対応するかのデータが少ないので保留としました。後は峰雪つらら。彼女は明らかに・・・」
「いい。そこまでで充分だ。俺の聞いた限りでは戦力分析に見落としはなかったよ。教えたことをちゃんと身に着けてるようで何よりだ」
「はっ!ありがとうございます!」

何で佐藤だけさん付け?あいつジャマダイの呪いでも受けてるんじゃないのか?などと突拍子もない事を脳の片隅で考えながらも、俺は目の前の元教え子を見た。ラウラ・ボーデヴィッヒ。2年前、まだ学園に御呼ばれしていなかった頃に俺がドイツで教えた兵士の一人だ。当時から結構な甘えん坊で、織斑と一緒に世話を焼いたものだ(・・・酔っぱらった織斑の世話を焼いた覚えもあるが、本人の名誉のために公表はしていない)。

俺の教え子は世界中にいる。アメリカ・スイス・ロシア・エジプト・マリ・ウズベキスタン・コンゴ・etc・・・生き延びるために必死だった奴らに、若しくは生き延び方を知らない奴らに、俺は人生の半分ほどを費やして「クレバーな戦い」を教え込んできた。そんな生徒の中にはその後高い地位を得て、俺を先生、若しくは教官と慕う者も結構いる。その中でも一等俺の後ろをついて回りたがる困ったちゃんこそが、目の前にいるドイツ軍の少佐様である。数多くいる教え子の中でも週一回ペースで俺にメールを送りつけてくるのはこいつだけだ。

「ほれ、ご褒美のチョコバー。新作のミックスベリー味だ」
「わーい!」

餌付けが上手くいきすぎたのもこいつだけだ。ドイツの他の教え子たちはチョコバーという固有のお菓子でなく菓子類というジャンルに興味を示した。しかしラウラだけはこうしてチョコバーに拘り続けている。それほどコイツの印象には残っていたのだろう。何せチョコバーに始まってチョコバーに終わったからな。

はぐはぐと一心不乱にチョコバーを頬張るラウラは軍人としては果てしなく頼りなさそうに見える。いっそのこと兵士を止めてしまえと言いたくなるほどゆるみきった顔に、クラースも苦笑する。コレであれさえなければ微笑ましい教え子で終わるんだが・・・

「それで教官!私を養子にしていただける件ですが・・・」
「してねーよそんな話」

・・・これさえなければなぁ、と頭を抱える。
この件の発端となったのはドイツを去る間際まで遡るのだが、それはまたの機会に取っておこう。


こいつとのじゃれあいが終わったらフィリピンの一件を学園の御上と話し合わなければならない。
絶対難航するだろうな、とクラースは未だ姿を見せない怪物の退治方向を考え始めていた。



= = =



『知らない、なんて誤魔化すなよ。あれはお前の研究室にあったのと同じ装置だろ。デザインは違っても構造で分かるんだよ』
『相変わらずの勘の冴えだな。正解だよ、確かにあれは俺の研究室にあったあれと同じ理論のものだろう』
『・・・お前が作ったものではないと?まぁいい。お前がホイホイと自分の技術を他人に渡すような野郎じゃないのは知ってる。なにせ“3号”の設計図を引いた開発総責任者様だったしな』
『昔の話はよせ、あれはもうとっくに昔に終わったことだ』
『そう、だからつまりはこういうことだ―――まだ終わってない。違うか?』
『何を今更。気付いてたんだろ?』
『俺はお前の口から直接聞きたかったんだよ!』
『そう怒るな。お前には言うまでもないという事だ』
『ちっ・・・こういう時は勘のいい自分が憎いぜ』
『“あの人”を本当の意味で救うためには・・・今は泳がせておく必要がある。既に全ISに“抗体”は配ってあるし、“レムレース”も不測の事態のために忍ばせてある』
『それだよ。その“あの人”とレムレースだ。“あの人”はまだしもお前は何故レムレースの正体を俺にひた隠しにする?』
『本人の意思だ。“あの人”は何となく分かっているんだろう?あとは勘で察せ』
『俺の勘はそこまで万能じゃねえよ馬鹿。ついでに言えば、それが目的のすべてじゃねえんだろ?』
『・・・やはり頑張れば勘で察せるんじゃないのか?』
『逸らすなよ。あれは何だ?何の目的で誰が送り込んだ?あの空間はアストロノーツ用の施設と類似している物が幾つかあったぞ』
『流石、と言っておく。だがそこまでだ・・・今まで通りに頼んだぞ。都合のいい事を言っているようだが、お前以外に適任が思いつかん』
『分かってるっつーの。お前が何を思ってこういう事やってるかも何となく想像がつく。だから―――今更他人行儀に隠してるお前の根性が気に入らん』
『手厳しいな・・・っと、煩いのが来たか。通信切るぞ』
『・・・ちったぁ友達を信頼しろ、唐変木』



ぱちり、と水の上に浮上するように目を開ける。

「・・・あれ、夢・・・?」

どうも部屋のベッドに倒れ込み、そのまま眠っていたようだ。喉の調子が良くないなと思いながら・・・簪は体を起こす。どうにも変な夢をみていたようだが、いったい何の夢なのだろう?二人の男が延々と喋っているだけの夢は、とてもではないが簪の抑圧された感情や感覚を見せた物とは思えなかった。

「・・・あ、食堂いかなきゃ」

時計を確認すると、既に夕食の時間帯。慌てて立ち上がり身支度をしているうちに、いつしか簪は夢の内容をすっかり忘却していた。 
 

 
後書き
伏線の撒き方ドヘタクソかっ!!夢オチにするあたりが実に小賢しい。

国際IS委員会って謎だ・・・国際連合加盟国が約190か国でそのなかからISを扱えるだけの技術力と資金がある国は恐らく半分以下。最低でも先進国約50か国くらいだと見積もると一国辺り所持できるISコアは9個?ではISを保有できる国と保有できない国には必ず落差が生まれるし軋轢も生じる事になる。というかもしも存在する国全てにISコアを分配するなら一国辺りのコア所有数が2~3個になってしまう。下手すればその国の国交次第で実質的なコアの所有数にばらつきが・・・考えるの面倒くさいから適当でいいですよね。 
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