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魔法少女リリカルなのは~その者の行く末は…………~

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Chapter-3 Third Story~Originally , meeting of those who that you meet does not come ture~
  number-28 mischief

 
前書き



悪戯。



この場合は、三桜燐夜。キリエ・フローリアン。


 

 


燐夜が医務室のベットの上で目を覚ました。無機質な天井に何の思いも抱くことなく、ずっと見ていた。すると、燐夜は寝ている位置に違和感を覚えた。普通であれば、ベットの真ん中に寝かされるはずなのだが、左側に体が寄っているのだ。
勿論、自分の寝相が悪くて寄っていった可能性もなくはないのだが、それはないとすぐに決められることが出来た。


何故なら、右側に誰かがいるからだ。
誰だろうか。誰かが燐夜が寝ているベットに潜り込んだということだ。
不気味にさえ思えてくるが、すぐに不安が無くなった。


潜り込んだのは一人の少女であった。
頭まで被っていた布団を除けるといつもはツインテールにしている髪が下ろされて、違った雰囲気を醸し出している。枕元には髪を纏めていた黒のリボンが二本置かれている。
栗色の髪が放射状にシーツに広がっている。――――そう、高町なのはだ。


なのはが燐夜が寝ているベットの中に潜り込んでいたのだ。
猫のように丸まりながら、あどけない寝顔を覗かせている。しかし、いつの間に任務(ミッション)を終わらせていたのだろうか。確か、キリエ・フローリアンの保護だったはずだが……どうだったのだろうか。失敗したのか、それとも無事成功したのか。分からない。


――――不意に隣に気配を感じた。


その気配のする方に顔を向けてみると、ピンクの髪の少女が上半身だけをベットから起こしてこちらを見ていた。見たところ特にこれといって、怪我などは見受けられないようだ。
なのはは、無事に任務(ミッション)をこなして帰ってきたようだ。おそらく、ベットの中に潜り込んで寝ているのは、緊張から解かれて精神などを使っていたせいで疲れ果てて眠ってしまっただけのようだ。


「はあーい、初めまして。あなたが三桜燐夜君ね。私はキリエ・フローリアン、よろしくね」


ピンクの髪の少女、キリエ・フローリアンから燐夜に話しかけてきた。しかし、何故キリエは見ず知らずの燐夜の名前を知っているのだろうか。
彼女のことでどうこう考える前にそのことだけで自分の頭がいっぱいになってしまった。それもすぐに彼女が教えてくれたが。


なのはがキリエとの戦闘中に何回も燐夜に関することを叫んでいたそうだ。そして、堪らずにその子について聞いてしまった。その後に長々と説明されて頭が痛くなってきて、面倒になったからなのはに連れられてアースラに来たということだった。
その時に燐夜は気付かなかったが、キリエはなのはから聞かされているうちにその燐夜君にあってみたいと思ってしまったと後付けのように呟いた。


実際に会ってみてどう思ったのだろうか。それはキリエ本人にしか分からない。


それから燐夜は、キリエと同じように上半身だけをベットから起こした。なのはが振動で起きそうになったが、ただ寝ぼけていただけで問題はない。そして、キリエと何の他愛のない話をする。


キリエのお姉さん、アミティエ・フローリアンはどういう人だとか。人前では真面目なのに私の前とかだと残念だとか。
燐夜からは、高町なのはの話を。
自分の想いをうまく言葉にできない不器用な奴だけど、自分がやると決めたことには何処までも真っ直ぐぶつかっていくやつ。そんなところが玉に傷だけど、その性格のおかげで助けられた人もいる。でも、自分を犠牲にしてまで他の人を助けようとするのは、あまり良くないかな。


「ふーん……よく見てるのね、その子のこと」


そういうキリエは面白くなさそうだった。それにはキリエのある感情が関係しているのだが、燐夜にはそれは分からない。
燐夜は良く分からなかったが気にすることではないと思い、なのはを見て頭を撫でる。すると、寝ている筈のなのはの顔がにやけた。


燐夜はどうしてやろうかと考える。人が寝ているところに潜り込んだだけでなく、寝たふりまでしているとは。
キリエがその燐夜の考えに賛同してくれた。
では、具体的に何をするのだろうか。それは簡単である。なのはが見ていられなくなることや、居てもたっても居られなくすること。


「ねえ、燐夜君。突然なんだけど、少し寒くてね。だから一緒に寝ない?」


ピクッとなのはの体が動いた。それでも、感情に任せて動くことはなかった。多分、まだ燐夜がそんなことするわけないと思っているのだろうか。
しかし、三桜燐夜という人物は悪戯好きであるのだ。今までは、そんなことをする機会がなかったが。いや、実際には幼いころに色々となのはに悪戯をしていたこともあった。
その代わりに悪戯するたびになのはの兄である高町恭也が出てきて、燐夜と戦い始めるのはいつものことだった。
それは、高町士郎に拾われて士郎が意識不明の重体になるまでの間。たった一週間程度の話でしかないのだが。


昔のことを思い出して少し感傷に浸りそうになった。いつ思い返しても、昔の記憶は輝いていた。今になってしまっては、そんな過去を直視することさえも難しくなりつつある。
……少し考え込んでしまって黙ってしまったが、キリエの提案に答えを返す。


「確かに……少し肌寒いですね。いいですよ、キリエさん」
「んもー、キリエさんなんて他人行儀な呼び方しないで。普通にキリエって呼んで頂戴」


キリエは、燐夜が自分の名前をさん付けで呼んだことに不満を持ったようで、すぐに訂正を求めた。その際に少し暗い影のようなものがキリエに差していたが、すぐに霧散したため気に留めることはなかった。


了承した燐夜は、キリエのベットに移動すべく今なのはと一緒に寝ているベットから出ようとする。何度でも言っておくが、これは悪戯である。なのはの寝たふりを止めさせるためだけにこんなことをしているのだ。
燐夜は此処であることを思った。このままなのはが起きなければどうするのだろうか、と。


だが、今更躊躇うことはしない。一度やると言ってしまっている以上、最後までやり通すしかないのだ。そう決心してベットから足を出した時だった。


「なぁ燐夜君。ちょー話したいことがあるんやけど、別にええよね?」


そう燐夜に言ったはやての表情は、恐ろしく感情がなかった。


そんなはやては、ほとんどキリエと燐夜の会話を聞いていたのだ。最初から最後まで。二人の自己紹介から他愛のない世間話。燐夜がなのはに抱いていること。そして、二人の悪戯。
別にカーテンで仕切られていたわけでもなく、ただ横になって天井をずっと見てたら聞こえてきた話。それでも、なのはが燐夜が寝ているベットの中に潜り込んでいたのには驚いた。いつもは恥ずかしがってそんなことはできないと思っていたのに。はやては、なのはに対する評価を改めた。


「なのはちゃんも寝たふりなんかしないで、起きよか」
「にゃはは……ばれてた?」


そう苦笑するなのはに燐夜から追い打ちとなる言葉がかけられる。


「ばれてるも何も……俺がお前のことを話している間中、ずっとずっとにやにやしてたじゃねえか」
「あううっ……」


どうやら自分でもわかっていたことのようで何も言えなくなり、それどころか自分が今どこにいるかを認識して顔を真っ赤にしてまた布団にもぐりこんだ。
はやてはそんななのはを見て、先ほど改めた評価を元に戻した。


キリエは、燐夜と一緒に寝られる絶好のチャンスを不意にして内心悔しがっている。しかし、それを表に出すことはない。まだ心の中に秘めたこの想いを知られるわけにはいかないから――――。


      ◯


管制室では、一台の大型モニターに映し出された映像を身じろぎすることなく見つめている人がいた。リンディとクロノであった。
モニターに映し出されているのは、一人の幼い少女。


金髪でウェーブが掛かっていて、この地球ではまず見れないような珍しい服装をしている。白を基調としたものに黒のラインが入っている。見た目は、ただの幼い可愛げのある少女にしか思えないが、実際は違う。
あの少女は、簡単に言ってしまえば人ではない。闇の書の奥底から出てきた、あの三人――――シュテル、レヴィ、ディアーチェと同じ構築プログラム体である。


そして、この一連の事件の黒幕といっていい存在である。


「この子は、なのはさんとキリエさん二人を圧倒してまたどこかへ消えたのよね?」
「ええ、モニタリングしていた局員からの確かな情報です。……しかし、僕には信じられない。あんな少女が、なのはと彼女……キリエさんを圧倒したとは……」


クロノの見た目だけで決めつけたような物言いに、リンディは窘めた。


「駄目よ、クロノ。見た目だけで判断してはいけないわ。士官学校でも教わらなかったかしら?」
「……すいません」


自分でも非を認めたようにクロノは、素直に謝った。
リンディは、謝罪を聞いて特に何も反応するわけでもなく、モニターを見続けたままであった。クロノは、それに倣うようにしてモニターを見ている。


リンディは、この少女、システムU-Dの相手をだれに任せるか考えていた。あの圧倒的な強さの前に誰か立ち向かえる人はいるのだろうか。――――いない。
なのはとキリエの二人を相手にしても全く歯が立たない相手。一体誰に任せればいいのだろうか。先ほどからずっとこの考えの中でぐるぐるとスパイラルの中に陥ってしまっている。


「艦長。燐夜に任せてみてはいかがでしょうか?」
「燐夜君に? ……厳しいわね。不確定要素が多すぎるわ」
「ですが、燐夜はやってくれそうな気がするんです」


クロノにしては、珍しく食い下がってくる。そんなクロノに押されて、リンディは考え込む。
そして、少しして自分の中で答えを出した。


「分かったわ。システムU-Dは、三桜燐夜に任せます。……早くあの子を止めないと。あの子の中にある膨大な魔力がいつ暴走するか分かったものじゃないわ。……短期決戦ね」


リンディは、椅子に深く座り込んで、天井を仰ぎながら深く息を吐いた。


 
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