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ソードアート・オンライン stylish・story

作者:黒神
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第四十三話 グランド・クエスト

 
前書き
ではどうぞ!! 

 

「それで・・・これはどう言う事なの?リーファちゃん」

グランド・クエストの前門にはサラマンダーの眼を掻い潜って脱出したレコンと数時間前に絆を取り戻したキリト、シュウ、リーファの三人組が立っていた。

「何度も言わせないで。これからアンタと私達三人でグランド・クエストに挑むのよ!!」

「無茶だよぉ。だって今最強の種族のサラマンダー達でさえ攻略出来なかったのに、それを4人でクリアなんて出来るわけないよ!!」

「いや。そうでもねぇぞ?レコン」

現にサラマンダー達が自分種族の精鋭達を揃え、このクエストに挑んだが逆に返り討ちに合っている事は確かだった。
しかしレコンのネガティブな発言を差し置いて、シュウが自分の考えを口にし始めた。

「ガーディアンのステータスはそこまで高くない。だが奴等の出現速度が異様なまでに早い・・・まるで攻略不可能って設定されているみてぇなクエストだったな」

「でも俺とシュウの能力ステータスをフル活用すれば、一点突破は不可能じゃない。そうだろう?ユイ」

「はい。パパとおじさんで、一点集中すれば突破は出来ると思います」

普通のプレイヤーのステータスでは突破は不可能と思われるがSAOでのステータスを持っているキリトとシュウならばそれは不可能では無かった。

「みんな。悪いけど俺のワガママにもう一度だけ付き合ってくれないか?何だか胸騒ぎがする。と言うより時間が無い気がするんだ」

「私に出来る事ならなんでもするよ!!」

「ぼ、僕はリーファちゃんが行くって言うなら着いて行くよ!!」

「俺も理不尽に満ちたこの【世界】を変える為に手伝わせて貰うぜ?キリト」

この場に集まった四人の決意は一つに纏まっているみたいだった。

(須郷・・・これ以上テメェに好き勝手はやらせねぇ。俺達四人を甘く見るなよ!!)

~~~~~~~~~~~~

四人はグランド・クエストの門を潜り、再び広い空間にやって来た。
シュウは最終確認のために三人に軽く説明する。

「取り合えず確認するが、前は俺とキリトで務める。そして後ろはリーファとレコンだ。しかしここの敵は外のモンスターとは違う事を忘れるな。過剰な魔法とヒーリングは相手を誘ってしまうから気をつけろ」

「「「了解!!」」」

「良し。んじゃ・・・行くか」

四人はそれぞれの羽を展開すると指定の位置に付いた。
そしてキリトとシュウが一定の所に来るとガーディアン達が一斉に出てきたが・・・

「なっ!?これは!?」

「おいおい。いきなりこんなに出て来んのか?」

その数は天井にあるもう一つの門らしきものを完全に見えなくなる程の数だった。多勢に無勢とはまさにこの事かもしれない。

「キリト。お前はこれだけの数を一人で相手してたのか?」

「いや!俺が前に来た時はこんなに多くは無かった!!」
一人で挑んだキリトでもこの数には圧倒されているみたいらしく、少し引き気味だった。
シュウはその原因を冷静に解析し、自分の考えを述べる。

「I get it(なるほど)。さっきのキリトとの戦闘でさらに数を増やして来たって訳か・・・やれるか?キリト」

「勿論だ。こっちもやられっぱなしは、性に合わないからな」

そう言うと背中に収めていた大剣を抜くと構える。それを見たシュウも最初から全力なのか閻魔刀を左手に持つ。

「ハァァ!!!」

「Scum(クズが)・・・!!」

そして覇気を込めながら、ガーディアン達に斬りかかった。
キリトは大剣を振り回し、ガーディアン一体一体を正確に真っ二つにして行き、シュウは閻魔刀で神速に近いスピードで【次元斬】を放ち、ガーディアンを斬り刻んで行った。

「す、凄い。もしあの時シュウさんと戦ってたら僕・・・本当に壊れてたかも」

レコンは二人の実力に驚愕の声を漏らしており、スイルベーンでシュウに戦いを挑もうとした自分を身震いをしていた。

「っ!!Sit(マズッた)!!そっちに行ったぞ!!」

仕留め損ねたのか後ろで回復と魔法を取っているレコンとリーファにガーディアンが行った事をシュウが告げる。しかし逸早くレコンが気付き・・・

「リーファちゃんはやらせない!!」

自分の得意魔法なのか、風の刃・・・真空波を操り、襲ってきたガーディアンを真っ二つにした。

「やるじゃねぇか。今回は姫の護衛役(ナイト)は譲ってやるよ。だがな、彼女を守りきれなかった時は・・・覚悟しろよ?」

「は、はいぃぃ!!(前のガーディアンよりシュウさんの方が怖く思えるよぉぉ)」

シュウの威圧にレコンは涙目になりながらコクコクと頷く。

「キリト君!シュウ君!」

二人の会話を遮り、リーファが声を張り上げる。その声に釣られ、上を見ると前衛のガーディアンが特攻を二人に仕掛けてきたみたいだった。

「数で圧倒するつもりか!!・・・キリト!スタイルチェンジだ!!」

シュウは咄嗟に考えを導き出し、両手に鞘から抜いたムラマサと閻魔刀と持つと少し距離があるキリトに向かってブーメランのように投げた。

「なるほど。分かった!!」

それを見たキリトはシュウの思考を察し、自分が持っていた大剣を投げ槍の要領でシュウに向かって投げた。その二つの軌道上に居るガーディアンは真っ二つや串刺しにされ、ポリゴンと化していた。
そしてそれぞれの武器達が交差する時、独特の摩擦金属音を放った。まるで剣達が呼びかけ合うように。
キリトとシュウは飛んできた剣の柄を掴み、構える。そしてSAOで常用していた自分の十八番の技を叫ぶ。

「スターバースト・・・ストリーム!!!」

「貫け・・・スティンガー!!!」

ALOではソードスキルはないが、二年間も技を使っていればスキルが無くともシステムの補助を受けながら放つ事は不可能ではないだろう。ましてやSAOのステータスがそのままの二人ならその可能性はさらに増していた。
キリトはお得意の高速斬りで、シュウは突貫力の強い強力な突きで特攻してきたガーディアンと互角に渡り合っていたが一向に減らない。

「このままじゃジリ貧だ。どうするか」

負ける気もしないが、勝てる気もしない・・・この現状をひっくり返すには大きな出来事がなければひっくり返りはしないだろうとシュウが考えていると突然巨大な爆音が鳴り響いた。

「「っ!?」」

キリトとシュウはその音源の方に眼を向けると大きな火球がガーディアンを包み込んで行き、天井を覆っていた一部に大きな穴が空いていた。そしてその中心には緑の炎が点っていた。

(何だ今のは!?とてつもねぇ威力だったな。そして意識の炎は緑って事は・・・シルフ!?)

シュウが後ろにいる筈のリーファとレコンを見るとそこにはリーファしかおらずに声を張り上げていた。

「自爆魔法・・・相当な死亡罰則(デスペナ)の筈なのに・・・バカァ!!」

(何て奴だ。貧弱な奴かと思っていたがこれは相当な覚悟無くては出来ない事だ・・・レコン。お前はそこまで)

シュウのレコンに対する評価は一気に上がって行った。

「キリト!リーファ!レコンの覚悟を無駄にするな!このまま一気にあの開いた穴に突っ込むぞ!!」

「うん!」「ああ!」

三人がレコンの覚悟で出来た、一つの希望に向かって飛び込もうとしたがガーディアン達がそれを阻止するように群がってきた。その時・・・

「ドラグーン隊、ファイアブレス!放て!!」

第三者の声が響くと三人の背後から火炎ブレスが飛んでくると、阻止していたのガーディアンが丸焼きになった。
三人が後ろを振り返るとシルフとケットシーの軍団が群がっていた。そして三人の元にサクヤとドラグーンに跨っているアリシャが近寄って来た。

「済まない。遅くなった!」

「ゴメンネ。装備揃えるのに時間が掛かっちゃったヨ」

「サクヤ!アリシャ!良いタイミングだ!!いきなり頼み事で悪ぃが、俺達三人であの穴に飛び込むから援護を頼む!戦友の覚悟を無駄にしたくねぇんだ!」

シュウの言葉に二人は笑顔で頷き、連合軍に指示を出す。

「シルフ隊!三人の突破口を塞いでいるガーディアンを牽制せよ!!」

「ドラグーン隊!後方よりブレスで三人を援護しつつ、敵部隊を殲滅するヨ!!」

「「作戦、開始!!」」

「行くぞ!キリト!リーファ!この戦い・・・俺達が勝つぞ!!」

三人が突っ込む所にガーディアンの軍勢が横から横槍を入れようとするがシルフとケットシーがそれを許さない。前の敵は三人で何となるため、横槍さえ封じてしまえば勝機はこっちに向いていた。
しかし前方の敵はさらに群がり始め、目の前の穴が見えなくなった。

「どうしようこれじゃあ!!」

「落ち着け、リーファ!!キリト!お前の幻惑魔法で俺達から穴までの軌道の視界を遮れ!リーファは風魔法で武器にバフをかけろ!後は俺のインプの特徴で出口までお前達を誘導する!!一点突破だ!!」

スプリガンは相手を幻惑する魔法を得意とする種族なので視界を遮る事は容易い事だったが、視界が悪くなると自分も攻撃に支障をきたす事になる。
だがここには闇討ちを得意とする種族インプもいた。視界が悪くなろうとそれはインプにとっては無意味だった。

「キリト!!」

「ああ!!」

キリトが呪文を唱えると三人と包むように黒い霧が出てくるとガーディアンはターゲットを失い、その場に浮遊する。知能が高いガーディアンと言えどそこまでのアルゴリズムは与えられていないようだ。

「シュウ君!バフはかけたよ!!」

「良し!行くぞ!!」

三人の武器を一点に集め、そして一気にシュウの種族インプの特性を生かして穴まで突っ込む。

「俺たちの三人の絆が一つになったんだ!!これを破れる奴は居る訳な
い!!」

「私は信じる!お兄ちゃんと修也さんが居てくれるから何も怖くない!だからもう迷わない!!」

「いっくぞぉぉぉ!!!俺たちの結束・・・受けてみやがれぇぇぇ!!!」

武器の先端から嵐のように風が出てくると黒い霧が晴れ、ガーディアン達が再び群がってくるが三人の結束はそれを遥かに超えていた。

「「「貫けーーー!!!」」」

三人の声が木霊し、ガーディアンの軍勢を蹴散らしながら進んで行く。
そしてガーディアンの層を突破し、天井の扉に辿り着いた。

「良し!これで!!」

「待て!この扉・・・何かおかしい!!ユイ!この扉を調べてくれ!!」

「あ!はい!!」

キリトの安堵の声を盛らすが、着いたのに扉が開かない事に気付いたシュウは急いでユイに扉を調べさせた。

「これは!?」

「何か分かったの?ユイちゃん」

「これはクエストによる物ではありません!システム管理上にブロックされています!!つまりこの扉はプレイヤーには絶対開けられません!!」

ユイの言葉に三人は驚愕の表情を浮かべると同時に絶望を味わったが、さらに事態は悪化した。三人を囲むように再びガーディアン達が現れたのだ。キリトとリーファは剣と刀をそれぞれ構えがシュウは何かないか考えていた。そして・・・

「ここまで来て結果がこれだなんて、あんまりだよ!!」

「Wait(待てよ)・・・キリト!お前確か空からIDカードが降ってきたって言っていたな!?あれを使ってみたらどうだ!?」

「そうだ!ユイ!頼む!!」

「はい!!」

キリトは持っていたカードを取り出し、ユイにデータを移させた。そしてユイはそれを扉に送り込むと低い音を立てて扉が開き始めた。

「転送されます!パパ、おじさん、リーファさん。私に掴まって下さい!」

三人はユイの手に掴まり、その場から転送された。 
 

 
後書き
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