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ソードアート・オンライン  ~生きる少年~

作者:一騎
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第一章   護れなかった少年
  第十七話  刀

 
前書き
一層終わって第一章終わると思った?残念。まだ第一章だー。

まぁ、ディアベルさんを護れなかったけどね。 

 
「セイッ!!」

裂帛の声とともに目の前の《ディープ・オー》という一層のフレンジー・ボアによく似ている敵に向かって曲刀上位5連撃スキル《フラッペ・パンタグラム》を叩き込む。

ちなみに敵のHPはすでに三割を割っている。

とある友人なら「オーバーキルすぎる」などと言うだろうが、こうでもしないと削りきれないからだ。

理由は簡単。ここは十五層で、この層ではすでに一層で無双状態だった僕の愛刀(?)の《リベルテ・ブレイド》が店売りに劣る、弱武器だからだ。

そして《フラッペ・パンタグラム》を喰らった《ディープ・オー》はどうにかHPを無くし、ガラス片になり、消滅した。

「さすがに......変えなきゃダメかなぁ......」

そしてハァ、とため息。

実際、ただの雑魚敵がとんでもない強さに感じる。

一応、《リベルテ・ブレイド》は最大である八回まで、強化、そして全て成功しているので、今は5S(鋭さ)2Q(速さ)1D(丈夫さ)となっているのだが。

それでも、ここ、十五層で、使える武器ではない。ましてやただ今最前線である21層でも。

ちなみに、僕が最前線である、21層を離れて15層に来ている理由は、ここ15層で受けたスローター系クエストのせいだ。

その内容とは......『ここ15層に出てくる《ディープ・オー》の牙を200個持ってきてください』という内容だ。

ちなみにアルゴさんに聞いたところ、ドロップする確率は1%以下。

何という悪徳クエスト。

自分で知ってて受けたのだが、速くも心が折れそうである。

ちなみに受けた理由としては、報酬がいい、と言うのと、《曲刀スキル》をマスターするためである。

まぁ、マスターする、というのはただ単に熟練度900を超えて、全然上がらなくなってきたので、籠もってあげようとする、が、面倒い。なら、スローター系クエストを受けて、それをクリアしていく。そうすれば、熟練度も上がっていくだろうし、報酬ももらえて一石二鳥、と、何ともバカなことを考えた結果である。

ちなみになぜ速くマスターしたいかというと、僕は、曲刀スキルマスター=刀スキル出現、と考えているからである。

そして未だにリベルテブレイドを使っている理由。

それは愛着がわいちゃったから。

いや、あのね? 僕もね、最初はね、「店で買う気にもなれないから、いいのがドロップしたら換えよ」って思ってたんだけどね? なかなかドロップしない間本当にずっと使ってたら......ね?

以上。閑話休題。

で、話を戻すとそんなわけで今、最前線21層から降りて、15層で狩りをやっているわけです。はい。

ちなみに初めて三日、曲刀スキルが920を超えた今、集まっている牙は68個。

意外にリアルラックが無くなってきてるっぽい。

「ハァ......何日かかることやら......」

少し泣きたくなってきたがグッと我慢、そして標的を探すために歩き始める。

とすぐに目の前にポップしてきた。

唯一の救いとして、ポップ率は高いんだよね。

「ま、気を取り直して狩りますか!!」

そういいながらリベルテブレイドを抜いて走り出した。

―☆―☆―☆―

更に三日後~~~

「うぅ......もう嫌だ......」

あれから三日経ったのにやっと100を超えた。ちなみに曲刀は930。

心が折れてきた。

幸いながらに籠もっている訳では無く、時々帰っているので、おなかの減りや睡眠、アイテム、剣の耐久値には困ってないんだけど......。

―☆―☆―☆―

更に五日後~~~

「......」

牙、152、曲刀956。

もう、精神的に疲れてきて、無言である。

ただ単に無言で淡々と猪を狩っている。

傍目から見ると......変なテンションのやつより少し怖い(理由としては凄く眼が虚ろ)。

―☆―☆―☆―

更に二日~~~

「おっ? おっ? おっ?おっちっるかっな~~♪」

完全に変態になっていた。

―☆―☆―

更に一日~~~

牙199個、曲刀999。

両方後一である。

そしてただ今戦闘中。

目の前の《ディープ・オー》もHPは2割を切り、こっちも集中力の低下で6割、更に剣が所々刃こぼれしている。

有り体に言うと、剣が折れそうです。

あと一撃で決めなきゃ......。

と、言うわけで。

ディープ・オーが突進してきた瞬間にすれすれで、右にステップ、そして後ろから、《フラッペ・パンタグラム》を当てる。

五芒星を描くかのように振るわれた剣がディープ・オーに5発とも、あたり、目の前のディープ・オーのHPが0になり、そして消える。

そして出てくるメッセージ。

そこには......《ディープ・オーの牙》の文字があった。

小さくガッツポーズし、更に出てくるメッセージ。

『スキル《曲刀》をマスターしました』

そして更に出てくるメッセージ

『エクストラスキル《刀》を覚えました』

そしてこのメッセージを見た瞬間に

「ぃよっっっっっっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

全力で叫ぶ。

まぁ、これでゆっくりしてたら今の声を聞いたモンスター達がわらわら来るので、さっさと帰ることにする。

そしてダッシュで今までいた、森を出て15層の街を目指すことにした。

―☆―☆―☆―

「ふぅ......。なかなかいい物くれたな~」

報酬は20kという結構いい額と、鉱石......しかもかなりレアらしい。少なくとも聞いたことない鉱石だった。確か......《スターライト・インゴット》だったかな?

まぁ、いいや。次は鍛冶屋を探そう。

出来るだけプレイヤーがいいです。

と、思いながら、町中を歩くと、必死に客呼びをしている女の子が眼に入った。

「い......いらっ......しゃい......ませ......」

必死と言うことにしておこう。うん。

まぁ、初めてばっかりなのだろう。

緊張しすぎてガチガチだ。

服装は結構地味。(まぁ、いつまでも黒一色の僕には言われたくないだろうけど)

「......いら――」

「いらっしゃいませー!!!!!」

うるさっ!!何だ!?

よくよく見てみると、女の人の隣にも露店が有る。

どうやらその露店のお方のようだ。

そして気を取り直して女の子がまた口を開く。

「......いら」

「いらっしゃいませ!!!!!!」

嫌みなくらいに馬鹿でかい声。

よくよく見ると、隣の露店の人が、女の子を見て、ニヤリ、と笑っている。

女の子はムッとしながらも返せないよう。

すごくイラっと来た。

......決めた。あの女の子に頼もう。

そう思いながら女の子の露店まで歩いて行く。

「あの、すみません」

「あ、い......いら......ッチャイ......いらっしゃいませ」

噛んでた。

そして隣の露店の人がニヤリ、と笑ってまた馬鹿でかい近所迷惑な声で「いらっしゃいませ!!!」と叫ぶ。

「えっと、この武器を「いらっしゃいませー!」ほし「いらっしゃいませー!!」ってうるさい!!」

つい、イラッときたので、一気に抜刀して、首筋に当てる。

「ヒィッ!!」

そしてその人は速攻で、荷を片付けてダッシュでどこかに移動。

......ちょっと静かにしてほしかっただけなんだけど......まぁ、いっか。

「じゃあ、改めて、ちょっと注文したいんだけど......」

「あ、はい。何でございますでしょうか!」

「少し落ち着こうか」

「......はい」

―☆―☆―☆―

十分後~~~

どうやら彼女は《リズベット》と言うらしい。何でもリズベットさんは店を始めて数日、あのお隣さんに妨害されまくっただとか。

うん。追っ払ってよかった。

まぁ、僕が初めての客だったらしく、かなりテンパってたらしい。

だんだん話している間に、言葉が同年代に接するそれになってきている。

うんうん。いいことだ。

「で、まぁ、改めて注文なんだけど」

「このリズベットさんにドンと任せなさい!!」

うん。やっぱりさっきのままの方がよかったかも。

そう思いながら腰に吊っている《リベルテ・ブレイド》を外し、リズの前まで持って行く。

「これをインゴットにしてほしい」

「いいの? インゴットにしたら二度と戻らないよ??」

「うん。承知済み」

「なら止めないけど......じゃあ、ちょっと待ってて」

実際ちょっとつらいけど、無くなるわけじゃない。今から新しい剣になるだけだ。

そうしてリズベットさんが走って、近くの小屋に入っていく、と頭だけひょっこり出し、

「ちょっとの間店番よろしくね!」

そして再度入っていく。

反論の余地も無かった。

「まぁ、しょうが無いか......」

―☆―☆―☆―

数分後~~~

「いらっしゃいませー」

暇だ。

すっごい暇だ。

リズベットさんに任せて数分経ったけど、客は皆無。

暇過ぎる。

「お待たせー!」

とそこにリズベットさんが手にインゴットを持って現れる。

「えーっと、《ブライトネス・インゴット》になったわ。 かなりレアなインゴットね」

そういうリズベットさんはかなりわくわくしているよう。

それにちょっと苦笑して、もう一個の注文を言うことにする。

「もう一個注文があるんだけど」

「なになに?」

「この《ブライトネス・インゴット》と《スターライト・インゴット》で新しい剣を作ってほしいんだ」

「スターライトってかなりのレアじゃない......で、作るのは曲刀?」

その声に対して少しニヤッとして返す。

「いや、違う。作ってほしいのは《刀》だよ」

「かたなぁっ!?」

凄くびっくりされた。まぁ、しょうが無いけど。

「で、どう? 刀作れる??」

「まぁ、そういう武器カテゴリがあるなら作れるんでしょうけど......あるの?刀スキルなんて」

「うん」

それに対しては即答。

「わかったわ。じゃあ、また少しの間店番お願い」

少し困ったように言うリズベットさんだけど、その足取りはかなり軽く、スキップなどしている。

......まぁ、初めての仕事だろうからわくわくするのも当然か。

さてさて、どんな刀が仕上がるか楽しみだねぇ。うん。

―☆―☆―☆―

更に数分後~~~

「お待たせ~」

凄いスキップしてる。が、剣を持っていない......。まさか......

「うん。お疲れ、で、剣は? なんで持ってないの?」

「うん。ちょっと持ってくるのが面倒だったから、置きっぱ」

安心した......。

「じゃあ、そっち行こうか」

「うん」

そういいながらリズベットさんが露店で出していた剣を全てしまい、カーペットを折りたたんで、小屋に向かう。

それに着いていき、小屋の中に入ると、小屋の隅の方にある金床に目が行った。

性格には金床の上にある刀に。

鞘は無いが、その代わりに特徴のあるその刀身が出ている。

どこまでも黒。

1,2mくらいの太刀だ。

刃紋は少し黒が薄くなっていてちゃんと見えるが刀身自体は漆黒。
そして鍔も、柄も全てが真っ黒。

「《絶刀 闇黒》。かなりの業物だと思うわ。どうぞ。試してみて」

「うん。わかった」

生唾を飲みながら、目の前の刀を握り、っと結構重いな......。

そして左手でメインメニューを出し、装備フィギュアを操作して装備する。

数値的ポテンシャルはかなりいい。攻撃力だけじゃ無く、素早さもちょっと上がるところとか個人的にめっちゃうれしい。

そして持ったまま上から下まで眺める。

うん。凄いいい感じだ。

「うん。かなりいいと思う」

「あったりまえよ! いつか自分の店を買うっていう目的があるんだから」

それに苦笑しながら聞く。

「ちなみに料金は?」

「う~ん......大体10kってとこかしらね」

ニヤニヤしながら言う。

......まぁ、まだ結構序盤の方の今で10kはたいした金額だ。

まぁ、普通のプレイヤーならだけど。

ちなみに今の全財産は200kを軽く超えている。

なんでそんな富豪かって?

ドロップアイテムはほぼ売ってたり、倹約生活してたり、結晶系を買って無いからさ。

一応転移結晶はボスからのドロップ品で持ってるしね。回復系ポーションも同じく。

なので。

「わかった~」

と、いいながらトレード欄に200kを振り込む。

満足そうにトレード欄を見ていたリズベットさんが金額を見たのか、ブッと吹く。

「ちょ、に、にひゃっ、にひゃくって......」

「ん。自分の店買うんでしょ? それへの投資」

笑いながら答える。

「そ、それならありがたく受け取っておくけど......」

おろおろしながらそう言って、受け取るリズベットさん。

「じゃ、これからリズベット武具店をよろしく!!」

ニコリと笑いながら行ってくるリズベットさん。

「うん。じゃあ、この剣の研磨とかの時はよろしく頼むよ」

「任せなさい!  っとぉ、そういえば名前聞いてなかったわね」

そういえば、リズベットさんの名前は聞いたけど僕だけ名乗ってなかったな......。
「ああ、ごめん。僕の名前はソラ。これからよろしくリズベットさん」

「ソラ、かよろしく。あ、あとリズって呼んで」

「ん。わかった。じゃあ、これからもよろしくね、リズ」

そう言いながら駆け出す。

そして駆けだして気づく。

あ、鞘、貰ってないや。

そしてリズベット武具店に戻った僕の顔は恥ずかしさで赤く染まっていたのは言うまでもない。

 
 

 
後書き
ふふふ。あとが楽しみだなぁ♪ 
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