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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス

作者:海戦型
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役者は踊る
  第五一幕 「決着の閃光」

前回のあらすじ:決着と疑惑

矢継ぎ早に吐き出されるビーム砲を紙一重で避けながら佐藤さんは焦っていた。
あの銃・・・ドルヒ・カノーネだが、性能がシャレにならない。レーザーも粒子砲(ビーム)も弾速が圧倒的に速い代わりに、その構造上実弾ほど連射が効かないという特性がある。だが、あのビーム砲はどういう訳かガスガス連射してくる。そしてその一発一発が実弾と見紛わんばかりの貫通力・・・いったいどんな内部構造をしているのやら。流石ドイツの銃器は世界一、などと言うだけの事はある。

・・・だが、そろそろ反撃のタイミングがやってきたようだ。接近する熱源が一つ・・・一夏と白式改だ。見事に箒を打ち破ってきたのはさすが原作主人公と言ったところか。

「佐藤さん、無事か!?」
「おー、本当に倒してきたんだ?」
「いや倒せって言ったの佐藤さんだからね!?」
「さープランB発動だよ!」
「無視!?」

一夏をからかった後、佐藤さんは一夏と入れ替わるように後方へ飛び、逆に一夏は突っ込みをしながらもラウラの方へ向かう。プランBという一言さえ出れば後は何をしゃべろうが動きは変わらない。戦略を全て佐藤さんに任せているからこそその動きに淀みはなかった。

「2対1か・・・さて、どう攻める気かな?」
「無論、正面突破あるのみ!!」
「んでもって私がバックアップだよ~。教科書通りの戦法だね!」

2対1の戦いならば無理に二機同時に攻め込まずに前衛と後衛をはっきりさせた方が安定する。まさしくセオリー通りの戦いである。そんな私たちを試すような目でラウラは次の手を使用する。それはある意味、2人がずっと待っていたとも言える一手。

「ではそろそろ・・・お待ちかねの第3世代兵器のお披露目と行こうではないか?」
(来るか・・・!!)

既に何の力を使うかは知っている。そして今の自分一人ではそれを破ることが出来ないという事実も。だからこそ、これはわざと食らわなければならない。

「AIC・・・発動」

感情のこもらないただ一言。その一言とともに白式の全ての動作が完全停止する。文字通り指の一本も動かない完全な無防備状態にさらされた一夏はその力の恐ろしさに生唾を飲み込む。事前に情報は聞いていたが、こうして直に体験するとその恐ろしさがハッキリ分かる。

―――慣性停止能力(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)・・・略称AIC。
停止結界とも呼ばれるこの兵器は、ISの慣性制御を司るPICの力場を逆算し、一定範囲内の慣性を全て強制的に停止させるという恐るべき能力だ。動くものならば例え銃弾だろうと爆発だろうと強制的に停止させることが出来る最強の結界。ドイツの技術の粋を集めた次世代機の力・・・こと接近戦主体のISならばこのようにひとたまりもなく捕まってしまう。


・・・そしてそのAIC発動には操縦者の集中力が必要なため発動時に隙が出来ることも、佐藤さんによって調査済みだ。

「という訳で・・・稔ちゃん怒りのフルオート射撃!!ファイエルッ!」
「むっ!?」

どががががががががががががががががががががががががが!!!
停止の瞬間に別角度から回り込んでいた佐藤さんの銃弾がレーゲンを襲った。強烈なマズルフラッシュと共に空中を大量の空薬莢と煙が舞う。ラファールの手に握られているのは66口径アサルトライフル『ストーム・オブ・フライディ』、ISの携行するアサルトライフルの中でも最高の連射速度を誇り、毎分2400発放たれる合金弾の嵐はまさに「ストーム」の名を冠するに相応しい破壊力を持つ。

最も今の佐藤さんの射撃精度では少々振り回されてしまうが、弾幕を張ることや止まった的を狙う分には何の問題もありはしない。とめどなく吐き出される競技用合金弾に晒されたラウラはたまらず後退せざるを得なくなった。同時にAICが解除され、白式の躰に自由が舞い戻ってくる。
舌打ちと共に回避行動をするラウラは、その態度に反して口に笑みを浮かべる。それは戦いを生業(なりわい)とする人間特有の、スリルを楽しむ笑いだった。

「ちぃっ!!さては情報を仕入れていたな!?抜け目がない・・・ますますハーゼにスカウトしたくなって来た!!」
「おっと!?俺の事も忘れるなよ!?」
「ちっ!少し出し惜しみし過ぎたか・・・!」

一瞬プラズマ手刀で受け止める姿勢を見せたが、一夏が零落白夜を発動させていることを確認するやワイヤーブレードでの攻撃に切り替えた。よく見ると非固定浮遊部位のレールカノン装着アタッチメントにドルヒ・カノーネを装着しており、ブレードに交じってビーム砲による弾幕も捲いていた。白式に意識が映ったのを見計らって弾倉(マガジン)を手早く交換し、すぐさま援護射撃を行う。

(今のところはこっち優勢か・・・)

一夏の追撃の邪魔にならないようラウラを牽制する佐藤さんの顔に余裕らしいものは見当たらない。それは単にラウラがこのまま終わる可能性が低いという予想を抱いているからだ。

実のところ、佐藤さんはこの戦いで原作の「VTシステムによるラウラの暴走」イベントが起きる可能性は低いと考えている。原作とはラウラの人となりや性格が違いすぎるから「力が欲しいか!」「ちょっと何言ってるか分からない」みたいな感じで回避できるんじゃないかと思うのでそちらはあまり気にしていない。

問題はラウラがこの状況を突破する術を身に着けているのではないかということだ。彼女はドイツでクラース・千冬の二人の教官から師事を受けている。十中八九原作よりも強い。なればこそ、この状況を予想していなかったとは思えないのだ。

(あるいはもう一つの可能性もあるけど・・・今は考えてもしょうがないや)

・・・ちなみに今更だが、AICの具体的性能について佐藤さんは複数の会社を経由して情報を仕入れており、その代価として情報をくれた会社の生産するIS用武装を「このトーナメントで最低1回は使うこと」という条件のもと譲り受けている。会社としては「IS適正Sの将来有望なパイロットに唾をつけるついでに宣伝がてら自社の武器を使ってもらう」という感覚で、佐藤さんはその条件を除けば一方的に利益を受けている。既に対IS爆雷、アバレスタ、ストーム・オブ・フライディと3つの武装をお披露目しており、残すはあと2つの武器を使うのみでこの一時的契約は完了する。
そしてその残り2つの武装のうち一つ、対ISロケット弾発射器『ジャベリン』を引き抜く。

「そーればっきゅーん!!」
「いやそれどう見てもばきゅんって火力じゃおぅわぁぁぁぁぁ!?」

奇声を上げて射線上から逃れた一夏の真横をバズーカの弾が通り抜ける。狙いはもちろんシュヴァルツェア・レーゲンだが、流石にこんなフレンドリーファイア一歩手前の技は予想外だったのかラウラは驚愕の声を上げながら弾頭をAICで受け止める。

「何と!・・・その手があったか!!これは帰ってから新しい戦術を練らねば・・・」
「良い子は真似しちゃダメダメよ?」
「あいにく私は真面目に不真面目をする人間だ!」
「隙ありぃ!!」

一瞬のスキをついて、反対方向に回り込んだ白式がその刃を煌めかせる。最近ようやく三次元跳躍旋回(クロスグリッドターン)がきっちりこなせるようになった恩恵がこの回り込みだ。だが―――

「ほれ、パス」
「え?うわ、あぶな!!」

何とラウラはバズーカの弾頭をひょいと摘まんで一夏に投げつけたのだ。これにはさすがの佐藤さんも苦笑い。しかし咄嗟に剣で切り払ったことによって何とか体勢を崩すことなく接近できている。・・・こんなトリッキーな戦法に対応できるようになったのはジョウと佐藤さんのイタズラを浴びまくったおかげだと考えると一夏としては複雑な心境だが。

レールカノンと粒子砲の弾幕を装甲に掠らせつつ紙一重で回避しながら迫る一夏は先ほどとは一転、反撃開始だと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべる。その手に握られているのは・・・日光が反射して眩く光る――対IS爆雷。

「最近脅かされてばっかだな・・・ここは一丁、逆にこっちが脅かす番かな!!」
「そいつは・・・!?馬鹿な、この距離で使う気か!?」
「俺は作戦とか立てられないからさ!佐藤さんに任せた作戦で「やれ」って言ったら、俺はやるのさ!!」

――本気だ。ラウラはハイパーセンサー越しに一夏の顔を見て確信した。
ある程度まで接近したら使うように言われていた対IS爆雷。試合開始前にこっそり佐藤さんから受け取り、本来は雪片を固定するためについていた武装固定ラックにずっと装着しっ放しだったそれを、一夏は躊躇なく引き抜きラウラに向けてぶん投げた。

(やられた!あの爆雷は効果範囲が広すぎてAICでは止め切れない・・・!)

試合開始直後に放たれた爆雷をAICで止めなかったのは出し惜しみではなく単純に止め切れなかったからだ。それをこれほどの至近距離で放てば、確かにラウラは防ぎようがない。
だが思い出してほしい。IS爆雷はその効果範囲が広すぎる事から使用時は常に自滅の可能性を孕んだ武器なのだ。この至近距離で放てば間違いなく白式も墜ちる。

読み間違えた。佐藤さんは最初からレーゲンを確実に仕留めるために一夏を特攻させる気だったのだ。そうすれば自分は生き残れ、結果として試合に勝てる。平和ボケした日本で育った学生が、一人を切り捨てもう一人が生き残る”戦争の戦い方”をまさかこうも容易く行うとは・・・!!


白式と爆雷の動きを停止結界で止めても、爆雷は遠隔操作で強制爆発させることが出来る。この状況で生き残るにはAIC発動状態で後退しながらガードを固めるしか選択肢が残っていなかった。




そう”思わされた”のだ―――佐藤さんによって。

対IS爆雷は、爆発しなかった。試合開始前に信管が引き抜かれていたのだ―――佐藤さんの手によって。

「後は任せたぜ、佐藤さん!!」
「オネーサンに任せなさいな!・・・やっと隙を見せたね、ラウラさん?」
「・・・あぁ、成程。完全にしてやられた訳か、この私が」

わずかな時間であろうとも、それによって行動を掌握されたという事は致命の一撃を受ける隙を相手に与えたという事。ラウラの背後には―――4メートルはあろうかという巨大な砲身が待ち構えていた。巨大な冷却装置、嫌に巨大な銃口、武骨で頭が悪そうなサイズをしたそれはどこかの企業が悪ふざけで造ったとしか思えない・・・そして、見かけにそぐわぬ大火力であろうことには疑いをはさむ余地もない。ISが悲鳴を上げるように鳴らすロックオンと高エネルギー反応の警告も既に何の役にも立たない状況になり、ラウラは静かに自分の敗北を察した。


「エネルギー充填120%!!真っ赤なお花をぉ・・・咲かせましょ~~!!」

その瞬間、九十九式収束荷電粒子砲『曼珠沙華(まんじゅしゃげ)』は内部に溜め込んだ莫大なエネルギーをマグマのように噴出させた。莫大な破壊力を生み出す代償に粒子砲の冷却装置が悲鳴を上げる。
血のように真紅(あか)い破滅の光はその弾道に存在するもの全てを破壊し尽くすかのように邁進(まいしん)し、シュヴァルツェア・レーゲンの黒い装甲ごとラウラを撃ち貫いた。アリーナ内を照らしあげた爆炎の形は、まるで死者を鎮める彼岸の花を表しているかのように美しい形に輝く。
直後にアナウンスがこの戦いの結末を告げた。


≪シュヴァルツェア・レーゲン、戦闘不能!よってこの試合、織斑、佐藤・・・さんペアの勝利!!≫

「え?先生もですか?私学園ぐるみでイジメ受けてんですか?」
「なぁ佐藤さん。120%中の20%ってどこにあるんだ?」
「あれは充填率が100%越えちゃった時に壊れないようにチャージに余分を持たせて・・・じゃなくて!落下したラウラさんを回収するよ?」
「おう。あいつに言いたいこともあるし、とっとと回収するか」
『・・・人を粗大ゴミのように扱わないでもらいたいのだが』


かくしてこの試合は幕を下ろすが、それが引き起こした目に見えない波紋・・・佐藤さん出陣が与えた衝撃が収まるには少し時間を要することとなる。
 
 

 
後書き
競技用合金弾・・・冷静に考えてみたら訓練にいちいちタングステン合金弾みたいな弾頭使ってたら金掛かりすぎるよね、と思って軍用と競技用では弾が違うという設定作ってみた。きっと軍用より安価で貫通性は低い・・・のか?軍用は軍用で多分従来の弾頭よりコストパフォーマンスのいい弾頭がきっとあるはず。

九十九式収束荷電粒子砲『曼珠沙華(まんじゅしゃげ)
66口径アサルトライフル『ストーム・オブ・フライディ』
対ISロケット弾発射器『ジャベリン』

折角だから考えてみたオリジナル武器。気に入ったやつを持っていけ。SOFはレインオブサタディと同じ会社の作成、曼珠沙華はそろそろ出番が回ってくる最上重工のロマン武器です。ジャベリンは本来ミサイルなんですがこまけぇこたぁいいんです。名前の響きが気に入ったから。フルメタにもAS用装備として出てきたし。偉い人も「問題ない」って言ってました

それとちょっと。最近考えてたんですが・・・今の話は第二劇場で、過去編が第一劇場って書いてたんですが、この区切りを止めようかと思います。このサイトで小説書いたことある人ならわかると思うんですが、このサイトのページ並べ替えが結構面倒なんです。という訳で「第二劇場」の表記はそのうち消滅します。過去編は過去編と銘打って普通に投稿します。 
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