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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾

作者:遊佐
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拠点フェイズ 3
  拠点フェイズ 馬正 関羽 張飛 趙雲

 
前書き
やっぱり濡れ場はあったほうがいいですか?
つぶやきでも感想でもいいので、意見ください。 

 




  ―― 馬正 side ――




「と、いうわけなんだ」
「いや……『と、いうわけなんだ』と、いきなり言われても。ちゃんと説明してください」

 私が交番での警官らの巡視中に、いきなり現れて話があると言われてみれば。
 いきなり『わかってるね』みたいに言われても、私は妖術使いではないのですよ?

「いや、すまん。端折り過ぎた。実は、馬正の仕事が増えることになった」
「はあ……それはかまいませぬが」
「え? いいの?」

 自らおっしゃられたことでしょう、なにを驚いておいでか、我が主。

「いいならいいけど……まず、警官に割り振っている防災の仕事、現状人が足りてないよな?」
「はい。正直申しまして、漢中を拡張なさるのでしたら人員増加しなければ、現状の治安の効果は望めません」
「うん。その一環で、警官の仕事の内、防災についての下部組織を作ろうと思うんだ」
「下部組織……ですか。どのような?」
「うん。名称は仮なんだけどね。町火消しを作ろうと思う」
「町火消し?」

 町火消し……ふむ、火消しの名前からして、火事に対する組織ですか。

「この組織は、基本的に兵や警官を使わない。民の手による防災組織にするつもりだ」
「民に!? 民に組織を任せると!?」
「実際には『委託』という手を取る。火消しの棟梁を太守の名の元に任命して、その棟梁に民の中から火消しを養成してもらう。いざ、火事が起こった場合は、その棟梁の指示により周辺の家屋の破壊、火の鎮火作業を行うんだ」
「……そうしますと、警官は」
「基本的には現場検証などの事後調査や、火消しの監督となるな。現状よりは人手のいらない作業になるだろう」

 なるほど……警官の権限が高い分、様々なことに当たらねばならない。
 そのため、最近では過労により倒れ始めているものもいる。
 増員は必須なのだが、その負担がいくばくかでも減らせるのであれば……

「なるほど、賛成です。警官たちにとっては、過剰に責任を負わせすぎていると感じていました故」
「まあ、詳しいことは朱里や雛里と相談してからになる。棟梁の選抜もあるしな。ただ、その管理の関係上、馬正にはそちらの面倒も見てもらわなきゃならなくなる」
「……確かに警官が事後検証などに立ち会うとなれば、私の管理になるでしょうな」
「とはいえ、だ。馬正にはもう一つの仕事もしなきゃならん」
「もう一つ……警邏隊ですか」

 主から主命として、私に任されたことは二つあった。
 一つは街の内部を守る警官隊の設立。
 もう一つは、街の外を守る警邏隊の設立だ。

 警官の方は、なんとか主が戻られる前に設立させることが出来た。
 だが、警邏隊については予算の目処が立たず、準備すらできていないのが現状だ。

「そういうこと。本来は警官たちの中から、新たに警視を選抜して、馬正には警邏隊の方をしばらく専念……と思ってたんだけどな」
「資金の方は、なんとか目処が付きましたが……拡張における警官の増員、そして火消し……町火消しですか。そちらを監督するとなると……」

 三つの組織を、私一人で統括することになる。
 それはつまり……権力の集中。
 さすがにまずいと思うし、何より私の体がもたない。

「だな。だから警邏隊については、別の者に担当を任せようと思う」
「別の者……雲長殿ですか?」
「いや……星にしようと思っている」

 なんと……
 確かに、子龍殿でしたら警邏隊を任せても良いとは思いますが……

「本人が、うんといいますかどうか……」
「……うーむ。それついては俺が説得と教育するしかないなあ。どのみち、砦や見張り台のこともあるし」
「となると、主ご自身で監督なさるのですか?」
「せざるを得ないな。現状、将軍クラスの人材が足りない」

 確かに……武官として様々にこなせるのは、雲長殿を始め、翼徳殿、子龍殿を除けば、我が主ぐらいになりますが。

「私はてっきり、主は内務外務の総指揮を取られるかと思っておりました」
「そのつもりだったんだけどね……まあ、そっちもやるさ。そうか、そうなると……どうしても現在の第一軍の武官候補たちから人選する必要があるな」
「最終的に、そちらから長をつけると?」
「当面は星になるだろうけどね。うーむ……これは朱里と雛里と煮詰めないとダメだな。ともあれ、現状は今の線でいく。頼むぞ」
「御意……しかし、本当に主は湯水のように案が浮かびますな」

 その知識と智謀には、尊敬を通り越して畏敬の念すらある。
 この方に仕える我が身が、なんと誇らしいことか。

「俺には数千年の人類の歴史がついている。俺自身の功じゃないさ。礼を言うなら時代劇に言ってくれ」
「じだいげき?」
「あ~……まあ、気にするな。じゃあ、そろそろいかないとな」

 そう言って席をたつ主。

「お忙しいようですな……どちらへ?」
「愛紗と鈴々に、調練の様子を見てくれと言われているんだ。ちょっと行ってくる」




  ―― 関羽 side 漢中近郊 ――




「次! 右翼方向に仮想敵! すみやかに魚鱗編成!」

 私の声に、一糸乱れぬ行動で槍を構える兵たち。
 うむ……良い動きだ。

「丘の上まで駆け足! 進めえぇ!」

 騎乗した私を先頭に、さながら戦場(いくさば)と同じように掛け声をあげて行動する。
 丘の頂上で槍を振り、その周囲に駆け寄ってきた兵たちを見る。

 どの兵も息は荒いものの、その顔つきは真剣そのものだった。

「よし! しばし休憩とする! 休め!」
「ハッ!」

 私の言葉に直立不動で答えたのち、それぞれがその場で休みはじめる。
 私も馬を降りて、布で汗を拭った。

「将軍……御遣い様が参られました」
「ん。報告ご苦労……ご主人様、わざわざお越しいただきまして、ありがとうございます」

 歩いてくるご主人様の前に、私が跪く。
 その様子に、それぞれ休んでいた兵士たちも、同じように頭を垂れた。

「ああ、気にしなくていい。皆も休んでくれ」

 ご主人様は、馬にも乗らずに丘の上まで来たにも拘らず、息一つ乱れていない。
 やはり、ご主人様の体力は鈴々並ということだろう。

「調練は進んでいるようだな……先ほどの行軍を見ていたけど、隊列に乱れがなかった。さすがだよ、愛紗」
「もったいなきお言葉です」

 頭を垂れつつ、内心では……ぐっ、と拳を握る。

(ご主人様に褒められた……よくやったぞ、貴様達)

 私は、ちらっと兵たちを見て、そう思う。 

「愛紗が今率いている第一軍は、武官候補でもある……調練は兵としてだけでなく、隊長としての認識も教えてやってくれ」
「はい。その辺りは座学を開いております。私一人でなく、朱里や雛里と分担して行っております」
「そうか……近々、増員も考えている。先達として新人への教育も視野にいれるようにしてくれよ」
「御意」

 そうか……ここからさらに人員が増えるのだな。
 以前から雛里が言っていた百人隊長をまとめる千人隊長の件。

 ご主人様ならご存知であろうから、そちらも視野にいれろ、ということですね?

「よし……ところで、鈴々はどうしたんだ? 一緒に調練しているものと思ったが……」
「ああ、鈴々でしたら間もなく……ご主人様、あちらです」
「ん……あの丈八蛇矛は鈴々だろうけど、なんかに乗ってないか?」

 ご主人様が、丘の下から土煙を上げる鈴々の姿を見る。
 その土煙の先端にいる鈴々は、確かに何かに乗っている。

「ご主人様……あれは、鈴々が最近飼いだした豚です」
「豚ぁ!? 豚ってあんなに早く走れるのか!?」

 ご主人様が驚いている。
 私も最初は驚いたものだが……それを手足のごとく操る鈴々を見て、なにも言えなかった。

「お兄ちゃ~ん!」

 ブンブンと手を振る鈴々。
 その後ろには……

「うわっ……すごいな。あの速さに着いてこられるのか」

 ご主人様が、鈴々の後方から全速力で走り続ける兵の一団を見て、うめき声を上げる。
 どの兵の形相も必死で、汗を滝のように流しながら走っていた。

「よーし! 皆、休憩するのだ! 足はよく揉んで痙攣には気をつけるのだ!」

 鈴々の言葉に、到着したものからバタバタと地面に倒れていく。
 その様子を見たご主人様は……

「……まるでフルマラソンみたいだな。鈴々、どれだけ走ってきたんだ?」
「にゃ? この先にある三つ目の邑まで行って、そこからまた戻ってきたのだ」
「………………片道二十kmはある道を、この短時間で往復だって?」

 信じられないような目で、倒れた兵たちを見るご主人様。
 兵たちは呼吸を整えると、それぞれが自身の足を揉んでいる。
 相当に慣れているようだ。

「今日はまだ二往復しかしてないのだ」
「におう……まて、鈴々。いつもは一体どれだけやっているって?」
「調子が良い時は四往復させるのだ。でも、そうすると鈴々以外は倒れちゃうから、いつもは三往復でやめているのだ」
「………………ちなみに、鈴々はいつもその豚に乗ってやっているのか?」
「今日は、鈴々の豚をお兄ちゃんに見せたいから乗っているのだ。でも、いつもは一番で走っているよ?」
「………………ソウデスカ」

 ご主人様が引きつったように笑っている。
 はて……ご主人様なら、それぐらい楽にできるでしょうに。

「……すでに精鋭になっているのか。こりゃ相当期待できるな……」

 ご主人様が呟き、笑みを浮かべる。  
 ふむ……よかったな、鈴々。
 ご主人様は、いたく御機嫌のようだ。

「皆、休みながら聞いてくれ……今後、第一軍、第二軍ともに増員を検討している。その場合、皆が先達となって彼らを指導して欲しい。それが漢中を……桃香を護ることになる。よろしく頼む」

 ご主人様はそう言って……ぺこりと頭を下げました。
 その様子に、義勇軍だった者はにっこりと笑い……それ以外の兵は、驚いたように目を丸くしている。

 ご主人様の数ある長所のうち、私が最も好きなところ。
 それは……たとえ相手が誰であろうとも、平然と頭を下げることが出来る度量の広さ。

 それは桃香様と同様にある、ご主人様の資質だった。

「御遣い様、いまさらですよ。義勇軍時代にも言いましたけど、俺達はできることをやっているんです。だからお顔をあげてください」
「そうです……俺達、元義勇兵はともかく、御遣い様を知らない奴も多いんですから」
「もうちょっと威厳を……は、無理か。突撃軍師様ですしねぇ」
「ちょっと待て! 誰が突撃軍師だ!」

 ご主人様の言葉に、元義勇兵たちが笑い、それにつられて外の兵も笑っていく。
 いつしか誰の顔にも笑顔があった。

(さすがです……ご主人様)

 私は鈴々と顔をみあわせ……互いに笑顔で笑いあった。




  ―― 盾二 side 漢中 ――




「というわけで、仕事が増えるよ、星」
「…………主。いきなり来て仕事を押し付けるとは、一体どういう了見です?」

 軍の視察から城へと戻ろうとする途中、大通りの居酒屋のようなところで昼間から飲んだくれている不良武将を見つけたので、ちょっとお灸を据えようと思います。

「……み~んな仕事をしているのに、君はなにをしているのかな?」
「酒をかっくらっておりますが、何か?」
「仕事は?」
「…………………………おお、もうこんな時間でしたか。いやはや、移動には時間がかかるものですなぁ」

 意訳すると……仕事の合間に、一杯飲んでいました。
 まったく……

「どこの公園でサボるサラリーマンのおっちゃんだよ……この後の予定は?」
「兵の調練の報告と、見廻りの報告だけですな」
「だから、一服ついでに飲んでいたと……やはり仕事増やそうかな」
「……主。私に何か恨みがあるというのですか?」

 恨み……?
 ああ、思い出した。

「……そうだな。とりあえずどこかの人に、桃香や愛紗や鈴々まで手篭めにしているとか吹聴されたな。あと、朱里と雛里は俺の下僕で、何でも言うことを聞くように躾けたとか……」
「……アー、オサケガオイシイデスナ」
「仕事を愛人たちに任せて、自分は諸国漫遊して新しい女探しをしていたとか、別の領地にまだ見ぬ女性を囲っている……そんな噂で、俺の服は卵と泥で汚れているんだが?」
「なんという不埒な噂でしょう! 主、私めがその不埒な噂を根絶するように周辺を回って――」
「噂の出処は、白い服を着て赤い穂先の槍を持つ、美人の武将様だそうだ。ちなみに最近武将になったばかりの人だという報告もあったな」
「いやあ……私の知らぬ美人の武将がおるとは。是非、名前を知らねばなりません。お教えくだされ」

 ……コイツめ。

「はあ……もういいよ。ともかく、仕事が増えるのは本当だ。一緒に城に来てくれ」
「……仕方ありませぬな。店主、お代は城にツケで――」
「趙子龍の名前でツケといてくれ。今後もな」
「あるじぃぃ……」
「情けない声出すな。不正を取り締まる側が今、不正をしてどうするんだ。風評被害って言葉を知らんのか」
「全く知りません」
「……………………」

 絶賛、俺がその被害を被りまくっているところだよ、こんちくしょうめ!

「……そういや星って、メンマが好きだって白蓮の処で聞いていたけど、実はメンマの旨い喰い方が――」
「なんですかそれははやく教えてくだされというか何をしておいでか主急いで城に戻りませぬか主」
「……息継ぎしろよ」

 嘆息しつつ、城へと戻るため歩き出す。
 星は、口笛を吹いて俺の横に着いてきた。
 やれやれ……

「ところで主、ちと真面目な話なのですが……」
「ん?」
「先日来、この梁州は武官が派遣されてきておりません。ですがその……桃香様が兵を率いてよろしいのでしょうか?」
「ああ……そのことについては、朱里から洛陽に報告されているそうだぞ。不正の資料をこれでもかと一緒に送りつけたので、桃香が現在都尉を兼任しているらしい」
「ほう……ということは、もはや州牧と変わりませぬな」
「実際、そろそろ州牧の認可が降りるんじゃないか? 雛里の話じゃ霞……董卓軍の張遼という武将の仲介で、洛陽に土産物と一緒に奏上したらしいからな」
「董卓……名にし負う董仲穎(とうちゅうえい)殿に、神速の名を持つ張文遠殿ですか。いやはや、随分と人脈が豊富なようで」
「ああ。中央につながりがあると、こういう時助かるよ」

 とはいえ、今後を考えるとあまりつながりを強化しすぎるわけにはいかないんだよな。
 今までのつながりを考えれば、董卓側につくのは当然になるのだが……于吉の約束もあるし。
 さてはて……どうするか。

「……そっか、その問題もあったか」
「主?」
「むう……星のおかげで新しい問題が増えたじゃないか。どうしてくれる」
「は? いきなり人聞きの悪い事を言わんでくだされ、私が何をしたというのですか」

 うん、ただの八つ当たりです。
 あああ……また厄介な問題が増えたなぁ。

「悪りぃ……考えることが多すぎて、ちょっと八つ当たりしてみた。やれやれ……」
「……まあ、主の愚痴を受け止めるのも臣下の務めであれば、当たられてもやぶさかではありませんな。ですがそういうのは、できれば閨で……」
「アーナヤムナ、ナヤムヨ、ウン」

 先日みたいなカオスは、御免被りたい。
 あの日の夜から馬正が、警官を派遣してくれたのだが……報告では、毎晩誰かしらが俺の部屋の前を通っては、警官の姿を見て戻っていくらしい。
 まあ、誰か……なんて決まっているのだが。

「ちなみに強硬手段にでたら、屋根から吊るすから」
「……主は衆道家ですか?」
「ちがう! 誰かと寝たら、冗談抜きで全員と関係しそうだから嫌なの! 俺は一刀みたいになりたくないの!」
「ほー……主の兄君は、好色漢なのですか」

 ………………俺は違うと言いたいけど、仙人二人にアレだけ恨まれているのを見るとな。
 一刀が起きたら、女性関係にはくれぐれも気をつけるようにさせないと。

「主ほどの年齢でしたら、もっと盛っていてもおかしくはないのですが……主には性欲がないのですか?」
「せ~い~! 俺は不能じゃないと何度言えば! 朝鍛錬、昼政務、夜も政務で寝る暇もない状況で、この上体力も削れと?」
「主の無尽蔵にある体力でしたら、全く問題ないでしょうに」

 だから嫌なんだよ……一刀のコピーだぜ、俺。
 于吉はああ言ったけど……俺だって誰かと寝たら、どうなるかわかったもんじゃない。
 正直に言おう。自分が怖いのです。
 一度目覚めたら、マジで好色漢になりかねない……

「ともかく、梁州の状態が落ち着くまでは誰とも寝る気はない。わかったな」
「……ふむ。それでは私の忠誠が示せませぬな……」
「忠誠を示すなら仕事で示してくれ。俺は星を武将して招いたのであって、愛人として招いたんじゃないぞ」
「愛人………………ふむ」

 俺の言葉にちょっと驚いた星が、何やら思案気になる。
 ん?
 何か俺、変なこと言ったか?

「分かりました。今まで以上に仕事に精を出しましょう。さあ、主。急いで城に行きませぬと」
「へ? あ、ああ……」

 なんだろう。
 急に星が勤勉になりはじめた。

 ……なんとなく、地雷を踏んだ気がするのは、気のせいだと思いたい。




  ―― 趙雲 side 夜 ――




「というわけで……主の奥手をどうにかするために、皆にも力を貸してもらいたい」
「やります!」
「……ぜひ」
「わわ、私もやるよー!」
「はにゃ? 奥手って?」
「せ、せせせせせせ星っ! 鈴々までいるのに、貴様は何を言うか!」

 はっはっは!
 愛紗よ、何をそんなに慌てておるのだ。
 鈴々とて、すでに年頃。
 こういうことの一つも覚えていかねばならん。

「愛紗……考えてもみよ。これだけの見目麗しい女性に囲まれているにもかかわらず、主は全く手を出そうとしない。内心、お主も感じているのではないか? 自分は、それほど魅力がないのだろうか、と」
「な、ななななななななななななななななななななななななななな」

 顔が釜茹でになった猿のようになっているぞ、愛紗。
 口をパクパクと開けて、そんなに興奮するな。

「誰のせいだ! じゃない。そ、そんなこと、主に限って……」
「わかる。わかるぞ、愛紗……女として、惚れた男子(おのこ)に触れてほしい、抱いてほしい。でも、恥ずかしいから口に出せない、その乙女心……愛紗ちゃん、かーわーい-いー♪(アニメ声)」
「○☓▲■@*|&%$……」
「あ、翠ちゃん語だ」

 桃香様、その方は誰ですかな?

「こほん。それに、私がこうも誘惑しても一向になびこうとしないのは……もしや、主の趣向にあわぬのではないかと思うてな」
「しゅこう?」
「好みです。つまり……主は、特殊な性癖を持っているのではないかと」
「特殊な……は、はわ!」
「そ、それはもしかして、やお……あわわ」

 おや?
 幼女二人が、急に興奮し始めた。
 何を考えているかはわからぬが……若干、腐ったような眼をしておるのは気のせいであろうか?

「星ー? 特殊なせいへきって、なんなのだ?」
「うむ。例えば胸が小さいほうが好きだとか」
「はわ!? 小さい胸、大勝利!?」
「あわわ……やったっ」
「ぺちゃんこの方が、お兄ちゃん喜ぶのか?」

 幼女三人……こほん、胸が小さめのお三方が、自身の胸をペタペタと触りながら悩んでおる。
 くっくっく……なかなか妖艶な光景でもありますな。

「がーん……ご、ご主人様って、胸が大きい子は嫌いなのかな……」
「と、桃香様! お気を確かに」

 おおう。
 桃香様が、ご自身の胸を小さくさせようと手で押さえつけようとしておられる。
 愛紗も、桃香様を気遣いながらも、自身の胸をチラ見している。

「こほん……あくまで例えだ。その他にも年齢が上でなければ食指が動かない、足が長くなければダメだとか、おしりが小さくなければ好みじゃない、筋肉質は嫌だ……などのことが挙げられる。で……どうしたのだ、お主たち」

 私が皆を見ると……

「胸もお尻も……ううう、私もしかして太ってるぅ?」
「き、筋肉は……じょ、女性らしさがないと……」
「背が低いから……私はだめなのでしょうか」
「あーうー……いろいろちっちゃいとダメなのでしょうか……ぐすっ」
「お兄ちゃんは、おばちゃん趣味だったのかー」

 一人だけなにやら意味深に頷いている鈴々は、放っておくとして……

「皆、落胆するのは早いぞ。何が好みかを見定めるために、お主らの力を借りたいと言っておるのだ。主に抱かれたくはないのか?」
「「「「抱かれたい!」」」」
「抱くってなんなのだ?」

 うんうん。
 まあ、鈴々はとりあえず置いといて……あのお固い愛紗まで落ちてくれたか。
 僥倖僥倖。

「ふっふっふ……では、お主ら。協力してくれるか?」
「「「「もちろん!」」」」

 よしよし。
 これで主の性癖が分かれば、一気にそこをついて私が……おっと。
 これは話せん、話せんわい。

 くっくっく……主よ、今に見ているがいい。
 必ず貴方を落としてみせますぞ!
 
 

 
後書き
以前メールもらいましたが、桃香は刺史で軍事権ないのに兵いるの、という質問がありました。
本文でも言っていますが、その軍事権を持つ都尉などは、不正突きつけて追放しています。
とはいえ、華琳なんかは刺史というだけで、本来はない軍事権持って動いているんですがね。おまけに軍事権のある州牧になったのは黄巾の前という……参考までに史実では、黄巾が184年、州牧設置は188年です。もうむちゃくちゃですねw
ともあれ、このことからすでに後漢中央の影響力はすでにないと思って、諸侯は勝手に兵を集めていた、という解釈でやっています。

次回も拠点フェイズです。
実は、濡れ場ありとなしでそれぞれ用意しているんですが……どっちがいいですかね?
金曜の夜に決定しようと思っていますので、できれば意見ください。
まあ、濡れ場といっても18禁小説じゃないので、それほど過激にはなりませんが…… 
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