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私立アインクラッド学園

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第二部 文化祭
  第31話 星空

 
前書き
wiiUの本体更新で、なんか打ちにくくなっちゃいました。

……慣れるしかないねw

と・こ・ろ・で
SAOホロウ欲しいんだけど、VITA持ってないよ?そこまでのお金ないよどうしよう?

あ、そういや来年からはバイト解禁なのか……よし、ソフト限定版先に買っといて、ハードは稼いだお金で後から買っちゃおう大作戦を決行しよう、そうしよう。

 

 
「お願いです、それだけは勘弁して下さい!」

 俺は情けなくも、アスナに懇願している。
 音楽追試の件はとりあえず片付いたのだが、新たな問題が発生したのだ。前に意味不明なノリで「ハゲルヤ」だの「どこかにエギルが隠れているから」だの言ってしまったので、それが災いした。

「アスナ! 頼むからアレを全校生徒に公開しようとするのはやめろ!」
「知らないわよ。君が小学生染みたことしたからじゃない。わたしの歌の譜面も、勝手にちょっとだけ読んじゃったし。……みんな聞いてー! かの«黒の剣士»様が」
「ちょっ……マジでやめろ! やめて下さいお願いします!」
「小学生以下レベルの替え歌して遊んでたのー! 内容はねー」

 焦り切った俺は、咄嗟にアスナの右手を掴んだ。

「早まるな! なんでも1つ言う事聞きますから!」
「ふーん……」

 アスナは得意気に微笑んだ。

「君がここまで焦るって珍しいねー。そんなに恥ずかしいんだ? ハゲル」
「って嫌だなー。冬寒そうだし!」
「……まあ、いいわ。そのかわり、お願いちゃんときいてよね」

 澄ました表情で言う。
 同じような笑みを浮かべる人物を、小さい頃からずっと見ていたような気がした。
 ──まあ、気のせいか。

「わたしと一緒に、イミテーション・タウンを歩いてほしいな」

 アスナの言うイミテーション・タウンとは、文字通り、アインクラッド模擬街のことだ。

「えっと……歩くだけ?」
「そうじゃなくて、ショッピングとか……そのくらい察しなさいよバカ!」

 今月何回目のバカでしょうか。
 これからは、バカって言われた回数を数えることにしよう。

「……上目遣いおねだりとか。ズルいわよ、君は」

 アスナの呟きはよく聞こえなかった。
 ──その晩。

「キリトー、アスナが呼んでるよ」

 ルームメイトのユージオが言った。
 ──え?
 まさか。

「キリトくーん!」

 男子寮を出た所で、私服姿のアスナがにこにこ手を振っている。

「……なんだよアスナ、今は夜8時だぞ。子供は家にいなきゃいけない時間だぞ」
「子供なのは君の精神年齢でしょ」
「………で? 大人なアスナさんは、夜遅く男子寮になにしに来たのでしょう」
「遅くって言うほど遅くないわよ! ……それに、言ったじゃない。一緒にイミテーション・タウン行こうって」

 アスナの顔は何故だか赤い。

「いや、そういうのってさ……もっとほら、外が明るい時間帯とかさ」
「あら、夜だって悪くないわよ。君も早く着替えてきてよ。その……パジャマ姿で出てきたりしないで」
「うあ、悪い。アスナが突然来たもんだから、なんか怒ってんのかなー、早く行かなきゃ刺されそうだなーと思ってさ」
「……キリト君?」
「なんでもないです。じゃあ俺、着替えてくるよ……」

 アスナが満足げに微笑んだ。
 数分後。

「待たせちゃったな。悪い」
「そんなに待ってないわよ。ていうか……私服ほんとにテキトーだね、きみ」
「む……」

 改めて自分の格好を見ると、黒シャツに同色のズボン、これまた同色のパーカーという簡素なものだった。

「……男が服にこだわっても仕方ないだろ。着れればいいんだよ、着れれば」
「もう……」

 同時に、腕組みするアスナの服装を一瞥する。
 白いセーターと赤チェックのスカートを着ていて、胸元にはプラチナのペンダントが光っている。
 ──なにか言うべきなのだろうか。
 俺はこほんと1つ、咳払いをした。

「どうしたのキリト君、風邪……?」
「いや、まったく。その、あの………に」
「に?」

 アスナが首を傾げる。
 元々美人なアスナだが、この仕草が更に可愛らしさを高めている。

「似合ってますね、服」

 俺がぼそぼそ言うと、何故だかアスナの顔は林檎のように真っ赤に染まった。

「……ちゃんと言えるようになったじゃない」
「えっ?」
「ちょっと前だったら、会ってから時間超経過してからしか言えなかったのに」
「そ、そうだっけ?」
「そうだよー。ふふ、キリト君可愛い」
「か、可愛いって」

 ふいに、アスナの指先が俺の鼻に触れた。アスナはその指をちろりと舐めながら言う。

「あんこついてたよ。いったいなに食べたらそんなところにつくの?」
「えっ!? あ、あの……あんまんです、はい」

 たどたどしい俺の言葉に、アスナは柔らかく微笑んだ。
 ──イミテーション・タウンにて。

「わ、わあー。わたし、夜には来たことなかったのよね。イルミネーションがすっごく綺麗だし、星まできらきら輝いてるし、なんだか年中クリスマス気分だね!」

 アスナがわあ、すごい、きゃーと歓声を上げている。
 ──変わったよなぁ。
 アスナは数年前まで、勉強にしか興味を示さず、他人にも自分にも厳しかった。あの頃のアスナなら、こんなに楽しそうにせず、「夜に模擬街へ来るだなんて、時間の浪費だわ」とか言っていたことだろう。
 あの頃のアスナも凛としていてすごく魅力的だったが、今のアスナはその何倍も輝いて見える。

「あ、キリト君見て!」
「え……?」

 アスナの右手が、俺の左腕を引っ張る。彼女の左手は夜空を指差している。夜の帳に包まれた空に、たくさんの星々が輝いていた。

「綺麗だね……」

 満天の星空の下、アスナが感嘆の声をもらす。
 確かにものすごく綺麗な星空だ。けど、更に一際まばゆく輝くものがある。俺の傍らにある、白い肌、栗色の髪。それらはこの世のどんなものよりも美しく輝く。

「……ああ、綺麗だ」

 俺が小さく言うと、アスナは微笑んだ。

 
 

 
後書き
和人「なんでも1つ言う事聞きますから!」
明日奈「ふ~ん……じゃあ、願いの」
和人「回数を無限に増やす、とかはナシだからな」
明日奈「チッ」
和人「今なんか聞こえたぞ」

ちなみにこの回、最初は«30.5話»のつもりだった。笑 
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