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ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?

作者:あさつき
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一部:超絶美少女幼年期
  五十一話:奴隷ライフに足りないもの

「お前は何を考えているんだ」
「すみません。なにも考えてませんでした。投げやりになってました」
「気を付けろって、言ったよな?結果が良ければいいわけじゃ無いくらい、わかるよな?」
「はい。他の人を巻き込むところでした。本当に、すみません」

 正座してヘンリーと向かい合い、お説教食らってます。

 人生初お説教が、まさかヘンリーからになるとは。
 結局、パパンにはされそうでされないまま終わってしまったからなあ。


 お姉様方や皆さんが、遠巻きに見守ってます。

 ……突然イケメン美女に覚醒してお姉様方を相手にブイブイ言わせたあと、奴隷の監督にぶち切れて従わせたのちに、同年代の少年に説教される少女、むしろ幼女。
 うん、私でも遠巻きにするわ。
 意味がわからない。

「おい、聞いてるのか」
「すみません、聞いてませんでした」
「……他人のことじゃ無いだろ。お前のことだよ。簡単には死なないからって、いちいち捨て身過ぎるんだよ。見てる側の身にもなれ」
「すみませんでした」
「謝っとけば済むとか思うな。あんな無茶を続けるなら、次からは俺がやる。死んでもやる」
「えっ。……いや、ダメでしょ、それは。死んだら、ダメでしょ」
「そう思うなら、本気で気を付けろ。お前だって、死なないわけじゃ無いんだ。俺だって、見てるだけで、平気なわけじゃ無い」
「……わかった。ごめん」
「わかったら、いい。実際、お前の力が無ければ、ああ上手くはいかなかったしな」

 お馬鹿な魔物しかいなかったのをいいことに、完全に従えて、無事に作業に取りかかることができました。
 当面の作業の進め方を皆さんにお伝えして、ヤツら(魔物)にはいかにも監督してる感じの振舞い方や、相手を傷付けずにそれらしくムチを振るう方法等々、演技指導を施して。
 いかにも苛酷な奴隷労働の現場を演出し、作業を進める環境を整えました!

 効率良く進めることを考えるなら、私は指揮に徹したほうがいいんだろうけど。
 なにもそこまでする必要は無いし私も体を鍛えたいので、作業には当然、参加します!

「……しかし、お前の力って。思ってたのと、違うな」
「……うん。違う、よね」
「もっと、なんていうか。慈愛とか、博愛とか。そんなのだと思ってた」
「私も」

 ほら、怖くない。
 とかそんなんできると思ってた時が、私にもありました。

「……でも、ほら!私まだ、モンスター使いじゃ無いし!本職になれば、違うかもしれないし!」
「……本気で、そう思うのか」
「……思わない」

 例のスライムの件も、あることだし。

 ……あ。でも。

「モモが!私には、モモがいた!あれはきっと、服従じゃない!」

 あんなに賢いのに、自分の意志で動いてたところ、あったし!

「キラーパンサーは、……別だろ」
「……ですよねー……」

 でも、まあ、いいや。
 いるには、違いないし。

 ……あー、モモに会いたい。
 モフモフしたい。

「……モフモフ……」
「は?」
「モフモフが、足りない!モモが、足りない!!」
「また訳のわからないことを」

 とりあえず、手近なところでヘンリーの頭をわしゃわしゃしてみます。

 お姉様方がなんかどよめいてますが、その前に。

「……モフモフじゃ、無い……」
「……お前は、何がしたいんだ」

 サラサラツヤツヤで手触りはいいんですが、違う!
 モフモフじゃ、無い!!

 次なる獲物を求めて、観客(ギャラリー)の皆さんに目をやります。

「ドーラ様とヘンリーくんか……うん!アリね!」
「どっちが攻めなの?リバよね?そうよね!」
「ドーラ様が、こっちをご覧になってるわ!」
「あ!こちらにいらっしゃるわよ!」
「早速、捨てられるヘンリーくん……萌え!」

 なんかキャーキャー言われてますが、今はそれよりも。

「……失礼」

 わしゃわしゃ。
 ……違う。

「キャー!ドーラ様ー!あたしも、あたしも!」
「ずるい!私もー!」
「ドーラ様ー!ナデナデしてー!」



 妙にノリノリだったお姉様方は勿論として、おばちゃんにおじちゃん、おばあちゃんにおじいちゃんときて、さらにお兄さんたちに手を伸ばそうとしたところで。

「いい加減にしろ」

 ヘンリーに止められました。

「だって。まだ、モフモフが」

 モコモコみたいな、惜しい感じの人はいたんだけど。

 あの、お兄さんたちの中に!
 もしかしたら、いるかもしれないじゃない、モフモフが!

「いねえから。無理だから。人間には」
「そんなの、わかんない!私は、諦めない!」
「わかるから。諦めろ、そこは」
「お兄さんたちだって期待して待つ感じの態勢に、入ってくれてるのに!」
「余計ダメだろ。やめろ」

 ヘンリーの言葉に、なぜかビクッとするお兄さんたち。

 別に、大丈夫なのに。
 ガチでロリコンでなければ。
 少々の、ロリッ気があるくらいならば!

「やめろ。犯罪を誘発するな」

 え?犯罪?
 うん、それはいかんね。
 ドーラちゃん可愛さのあまり、一時の気の迷いで道を踏み外させるようなことになっては、いかんね!
 未遂の段階で返り討ちとは言っても、遺恨は残るだろうからね!

 やだアイツ、ロリコンなんだってー。えー、きもーい。って、お姉様方にヒソヒソ言われ続けるとか、可哀想だよね!

「わかった、やめる。ありがとう、目が覚めた」
「わかったら、いいけどよ。なにでスイッチが入ったんだよ、今のは」
「えーと。モンスター使いで、モモで、……モフモフ……」
「わかったからやめろ」


 そんなやり取りの間もキャーキャー言ってるお姉様方のお言葉を、今度は冷静に聞いてたわけですが。

 ……うーん。腐ってる?
 腐女子が、いるの?この世界。
 そうか、イケメン枠であっても、ヘンリーとカップリングされる可能性が、あったわけか。

 ……でも、遠くから見守って、妄想を膨らませるだけみたいだし。
 ノーマルカップルとして積極的にくっつけようとされるより、かなりマシだね!

 お仕事の件もルート回避の件も、かなり体制が整ったということで、今日はよしとしよう! 
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