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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス

作者:海戦型
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役者は踊る
  第十九幕 「非日常的日常」

 
前書き
定期的に挟みたくなる日常編。
本筋書いてるだけじゃ登場人物が普段どんなノリで何をしてるか書くタイミングがないもの。 

 
前回のあらすじ:変わるもの、変わらないもの


クラス対抗戦が迫ったある日のこと。校舎内で非常に珍しい光景が目撃された。

「・・・・・・ッ」

廊下を走る小柄なシルエット。透き通るような美しい肌に銀髪の彼は普段は別室か保健室にこもりっきりの少年、ベルーナだ。

「ねぇ・・・あれって」
「1組のベルーナきゅん!?」
「え!?ウソウソ本当に!?あーん見逃しちゃったー!!」
「何だか慌てて走っていったけど・・・」

本人は知る由もないが「病弱」「無口」「ショタ(?)」「僕っ子(認知度低し)」などの属性を持つベルーナはそういう属性好きの間では凄まじい人気がある。本人の知らない間にブロマイドが作成されていたり、一夏とのほほんさんが設立した「ベルーナ君と友達になる会」(略してベルとも会)は既に会員が100人を超えていたりする。反面ISに実質乗れない彼に陰口をたたく者もいないではないのだが、もはや学園内でベルーナは一種のマスコット扱いのため正面切って悪口を言える雰囲気ではなくなっている。
姿や顔は知れ渡っているが彼を直接見たものは多くない。何せ彼は病弱な上に(軽度の)対人恐怖症だから大人数のいる空間自体に近づこうとしないのだ。食堂には顔を出していたが、新聞部の黛薫子(まゆみずかおるこ)という2年生が空気を読まずに付きまとって以来全く来ない。
(後に黛先輩が「てめぇの所為でベルーナ君が来なくなっちまったじゃねえかオラァ!」ってな感じに一部の生徒にリンチにされたのは言うまでもない)

こういった事情のため、ベルーナが他の生徒達もいる空間に姿を現すのは稀・・・というか学園が始まって以来初めての事である。細い体で時々もつれながら走る姿は正直危なっかしい。
やがてベルーナが見えなくなったかと思うと、入れ替わるように2人の人影が猛ダッシュで現れた。

「今ここにベルーナが来なかったか!?」
「お、織斑君?来たけどそれがどうかしたの?」

やってきたのはベルとも会の元締めである一夏、本音のコンビ。本音は手に服のようなものを抱いている。

「のほほんさんそれなーに?」
「んふふ~今日こそべるるんを捕獲してこの特製着ぐるみパジャマを着せちゃうのだ~!」
「作戦ナンバー26、プレゼント作戦だ!この世界的有名電気ネズミ着ぐるみならばベルーナも喜ぶはず・・・!」
「「「何・・・だと・・・」」」

自信満々に言い放った一夏の言葉をガン無視して、その場の女子全員が本音の言葉から悶々と想像する。
ベルーナが、あの無表情で、余りまくりの袖をプラプラさせながら、着ぐるみパジャマを着る、と申したか。
それはつまり、協力すればそれが生で見れる可能性があるという事でよろしいか。よろしいな?

「何それ超萌えるんですけど?何?私たちを萌え殺させたいの?」
「ぶふぅっ!?は、鼻血が・・・妄想だけで何という破壊力!!」
「ガタッ」
「話は聞かせてもらった」
「写真部な私が通りますよ。さぁ、フィルムの貯蔵は十分だ!」
「きぐるみベルきゅん・・・ドゥフフ♥」
(最後の奴きめぇ・・・)

「という訳で皆!ベルーナを捕獲するためにみんなの力を分けてくれ!」

「「「「応!勝利の鐘も高らかにぃぃ!!!」」」」

人の心が一つになってゆく。ただ一つの目的のために、主義も主張も国籍も違う者たちがたった一つの目的のために動く。―――ただ一人の少年にあられもない(?)姿にさせるために。
今日もIS学園は平和です。







「で、一夏はそのベルとも会の活動で忙しそうだったから俺の所に来たと?」
「そーなのよ・・・もういっそ私も会員になろうかと思ったんだけど、何か馬鹿馬鹿しくてね?」

屋上から見上げる空は珍しく曇っており、心地よい風が吹き抜けている。そんな天気と自分の心境を重ねるように鈴は思い溜息を吐く。

「ユウは格納庫にこもってなんかやってるし・・・そういえばアンタの友達はどうしたのよ?」
「シャルか?アイツもその格納庫に用事があるみたいでな。そういう訳で今日の俺は独りだぞ?さぁ、思いのたけを言葉にしてお兄ちゃんにぶつけなさい!」
「誰がお兄ちゃんよ誰が。兄貴分だったのは否定しないけど・・・」
「だがユウは渡さんッ!」
「誰もそんなこと言ってないわ!!」

地元の中学では二人の漫才は名物のようなものであり、当時は散々「仲良いね」とからかわれたものである。何だかんだで鈴はかなりジョウに心を許している。恋愛感情こそないが、本音や弱みを吐露する程度には仲が良くて時には恋愛相談も持ちかけられたほどだ。

「そういや鈴、お前親父さんとはどうなったんだ?」
「へ?父さんがどうかしたの?」

藪から棒な質問に鈴は頭の上に疑問符を浮かべる。ジョウは少し口ごもり、質問の内容をはっきりさせる。

「いや・・・あれだ。料理店またやってんのかなって」
「ああ、なるほど。地元で母さんと一緒にやってるよ!あたしが代表候補生になってからは客足が増えて大忙しなんだって」
「ふーん・・・そのうち機会があったらみんなで顔出すかな?」
「その時はあたしも腕を振るっちゃうわよ?酢豚でもなんでも!」
「ほぉ、そいつは楽しみだ。ははは・・・」

料理の腕にも自信がついたのか張り切る鈴を横に、表情には出さずジョウは思考する。

―――どういうことだ?

鈴が母国に帰るきっかけになったのは両親の離婚だったはず。一夏やユウは知らずとも自分は鈴の母から直接聞き出したのだから間違いはない。ところが鈴の話では両親は何事もなかったかのように共に働いているという。
あの人が嘘をついた?それは無い。俺が他人の嘘を見逃すことなどあり得ない。ならば再婚?それも鈴の反応から察するに少し変だ。
鈴はかなり察しの良い子である。人との距離感を取ったり空気を読むのは人並み以上に出来る。そんな鈴が俺の言葉の意図を完全に測りかねていたことから、鈴は両親が離婚したことすら気付いていない可能性が高い。だが、いくらなんでもそんなことがあるだろうか?それとも海の向こうで離婚手続きを中止した・・・?
そう考えれば一応の納得はいく。それなら鈴も精々大きな夫婦喧嘩だったくらいで済ませるだろう。後でそれとなくカマをかけてみるか。

「そういえばお前・・・向こうに帰る前に一夏と何やら約束事をしたらしいなぁ?」

話を変えてにやり、といたずらっぽい笑みで鈴に訊ねる。一夏から内容は聞いているので全部わかったうえでの確信犯。鈴をからかうのが自分の仕事、等とのたまったことのあるジョウとしてはその辺を突っ込む必要があるという謎の義務感を持っていた。果たして反応や如何に!?

「約束・・・?なんかしたっけ?」
「・・・」
「いや、向こうに帰るのって突然だったから別れの言葉も言う暇なかったし・・・熱でボーっとしてたせいで忘れちゃったのかなぁ?」
「・・・熱ぅ?年中元気いっぱいリンリンちゃんが?」
「リンリン言うな!!帰ることになった当日に風邪こじらせたのよ!・・・向こうに着いてから何日かは寝込んだし、結構高熱だったみたいね」
「なんとかはひかないって言うのにねぇ・・・」
「ぶん殴られたいのかしらあんたは?」
「どうどう、ちょっとしたジョークだって。だからその握り拳をほどきなさい」

割と本気で遠慮願いたいジョウは額に冷や汗を浮かべる。教室で披露したあのビーストモードを使われてはさしものジョウも手を焼いてしまう。まぁ鈴も本気ではなかったのか素直に拳を引っ込めた。

「・・・?なんか下が騒がしいわね」
「一夏たちが暴れてるんだろ。様子見に行ってみたらどうだ?」
「そうねぇ・・・面白そうだったらあたしも参加しちゃおっかな?」
「おいおい・・・今度は自重しろよ?」

何だかんだで騒ぎに参加する気満々の鈴に釘を刺しておく。流石にないとは思うが昨日と同レベルの惨劇を起こされると教師陣が気の毒だ。忠告された鈴は恥ずかしそうに顔を赤らめながら腕をぶんぶん振り回す。

「さ、流石にもうしないわよっ!・・・で、アンタはどうするの?」
「俺は此処からテレパシーを使ってユウが何してるか探ってみる」
「・・・アンタもそろそろ真剣に弟離れを考えるべきよ」
「出来ぬぅ!」
「ですよねー。それじゃ後でね!」

屋上から出て行く寸前の言葉に律儀に返事を返し・・・ジョウは再び思考する。


先ほどは思わず一瞬絶句してしまった。幸い不審がられてはいなかったようだが・・・まだまだ俺も甘いという事か、と息を吐く。

「一夏との約束を覚えていない」「別れの言葉も言う暇はなかった」。ハッキリ言って両方出鱈目だ。鈴は帰国前に一夏に一世一代の告白をする旨を俺に伝えており、実際に告白したという報告を帰国寸前に俺に送ってきている。少なくともあの時の鈴は本気で一夏の事を好きだったはずだ。そんな大事なことを忘れられるだろうか?
別れの言葉とて、帰国する理由はともかくサヨナラの言葉くらいは皆に伝えていたはずだ。
どういうことなんだ?この話の食い違いは何だ?鈴には嘘をついているそぶりは一切ない。真実をありのまま話している、と言った風に見えた。

・・・「帰国する当日に熱を出した」と言っていたが、その話は初耳だ。高熱による軽度の記憶障害というのは起きる可能性も無くはない。ないのだが、こうも熱を出す前後がすっぽり綺麗に抜けるものだろうか?それに記憶障害なら「覚えていない」と答えるはず。・・・どうにも引っかかる。
おかしいのは鈴か、それとも俺の記憶か?

「・・・あいつに調べてもらうか」

個人的な繋がりのある親友に電話を掛ける。もう10年近い付き合いになる、自分の“旧友”に。あいつなら調べ事など片手間で済ませるだろう。

「・・・もしもし?・・・・・・ああ、ちょっとな。鈴の事で・・・・・・そうだ。察しが良くて助かる。頼んだぜ、水津花(みずか)?」
 
 

 
後書き
佐藤さんの頭痛の種、原作との相違点がアップを始めました

ジョウの友達「水津花」とはいったい誰なのかって?こまけぇこたぁいいんだよ! 
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