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友達はいますか

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第一章

                  友達はいますか
 俺はある時道を歩いているとアンケートの兄ちゃんにこう尋ねられた。
「友達はいますか?」
「神を信じますかじゃなくて?」
「お兄さん古いね」
 兄ちゃんは俺のジョークに笑って応えてくれた。
「さんまさんじゃないか」
「あっ、わかりました?」
「知ってますよ、地元の人ですから」
 つまり奈良県の人らしい、あの妖怪にしか思えないマスコットが永久就職してご愁傷様だと内心思った。
「ひょうきん族ですね」
「それですけれどね」
「神様は信じてますけれど私神道なんで」
「そっちの神様ですか」
「家が神社ですから」
 まずはこうした話からだった、兄ちゃんは俺にあらためて尋ねてきた。
「それで友達は」
「何人いるかですよね」
「はい、何人いますか?」
「そうですね、大学のサークルやら小学校や中学校からの付き合いで」
 そういうのとか色々と入れて考えるとだった。
「バイト先でもいますし」
「ざっとひっくるめて何人ですか?」
「三十人位ですね」
「多いですね」
「多いですか」
「はい、かなり」
 アンケート的にはそうらしい。
「アンケートで一番多いですよ」
「そうですか」
「三十人以上が一番多いですから」
 俺はそれに入るらしい、三十人で。
「じゃあそれで入れますね」
「はい、それじゃあ」
「それで付き合い方は」
「まあ一緒に何か食ったり飲んだり遊んだり」
 そうしたことをする仲だ、俺が思う友達は。
「そんなのです」
「普通ですね」
「そんなに深くないですね」 
 自分でもそう思っていた、親友とかそういう関係じゃないとだ。
「誰とも」
「そうなんですね、わかりました」
 兄ちゃんは俺の話をここまで聞いて頷いてくれた、そして持っているボードで支えているアンケート用紙に色々書いてから答えてくれた。
「これはアンケートに出しますので」
「それで御願いします」
「はい、じゃあ」
 こう話してだった、そうして。
 俺はアンケートを終えた、このことは何とも思わなかった。 
 その三十人いる友達連中とは付き合いは変わらない、やっぱり飲んで遊んで楽しく過ごしていた、その中には小学生からいつも一緒にいる奴もいる。
 気のいいしっかりした奴だ、小学校の頃から本当にいつも一緒に遊んでいる、俺はその時そいつと楽しく居酒屋で飲んでいた。
 その時は、俺はそいつからこんなことを言われた。
「俺今度合コン行くんだけれどさ」
「おお、それで彼女ゲットだな」
「そうしたいな、今度こそな」
「頑張れよ、俺はいないけれどな」
「御前飲む方専門だからな」
「女よりこっちだよ」
 俺はこう言いながら大ジョッキのビールをごくりとやった、目の前にはソーセージや焼きそばといったあてがある。  
 それを飲みながらだ、俺は言うのだった。
「飲んで遊ぶ方がな」
「いいんだな」
「女の子は二次元だよ」
 半分冗談でこうも言った。
「リアルはあ色々うざいだろ」
「夢がないな、けれど俺はな」
「その夢を手に入れるのかよ」
「ああ、頑張ってな」
 そいして彼女をゲットしてくるというのだ。 
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