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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾

作者:遊佐
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黄巾の章
  第10話 「お、おの……れぇ!」

 
前書き
先日、腐ったキャベツを食べて一日検査入院の羽目になった遊佐でございます。
土曜の昼に帰ってきましたが……昨日は点滴だけでお腹すきました(涙)

そのためストックが完全に尽きる羽目に。
今日の分でストックないので急いで書き出さないと。
 

 




  ―― 孔明 side 洛陽近郊 山間部 ――




「夜間の間の松明は、常に一人で二つ持つようにしてください。篝火(かがりび)は通常より多く、炊き出しは通常の三倍でお願いします」

 今、私は黄巾の砦がある山の反対側の麓に陣を張らせています。
 本来は人員的には三千ほどしか連れてきてはいません。
 でも、それを即席で作った兵の案山子(かかし)や篝火、炊き出しの量などで、傍目にはその二倍から三倍にもいるように見せかける必要があるのです。
 さも、ここに一万もの兵が陣を張っている。
 朝までは、そう思わせねばいけない策なのですから。

「孔明様! 鳳統様から一度目の木材が着きました」
「わかりました。予定通り配置してください、雛里ちゃんはどうしてますか?」
「はっ……そのまま予定通り罠を仕掛けているようです。しかし、運ばれたのはほとんどが湿気った生木です。よろしいのですか?」
「はい。それだからこそ意味があるんです」

 私は、兵隊さんにそう告げながら配置図が描かれた紙の上に、駒を置きました。
 策の為に高価な紙を提供してくれた霞さんには、感謝しています。

「生木にはかならず火種となる薪を混ぜてください。なるべく広く、浅くに焚き木を組みます。あと、生木には薄く油を塗ってくださいね」

 私はそう言って自分の人差し指を口にくわえて唾液を含ませた後、空に突き立てました。
 風向きを調べるためです。

「……盾二様のおっしゃるとおりですね。山頂に向けての上り風。さすがです」

 盾二様はおっしゃいました。
 山岳部に作られた砦にはそこに作られる意味がある、と。
 それは山が攻められにくい場所であること、高所からの矢が遠方へ届きやすいこと。
 その為に風向きが直下への吹き降ろしであろうこと、など。
 つまり……反対側の斜面では風は上に登るのだということです。

「孔明様! 砦を見張っていた細作からの報告です。黄巾は予想通りこちら側の斜面の高台に移動する模様」
「わかりました。作業を急いでください! もうまもなく夜になります。それからが本当の勝負ですよ!」

 私はそう叫びつつ、赤焼けに沈もうとしている太陽を見る。
 あと数刻。
 それが本当の勝負です。




  ―― other side ――




 馬元義様が一万の兵と共に出発して半刻。
 すでに太陽は沈み、夜の帳が下りている。
 砦にはまだ一万の兵が、慌しく戦闘の準備をしていた。
 援軍にしろ、敵の伏兵にしろ、砦側の防備も怠ってはならないのだ。

「副官。篝火は通常より激しく炊くのですか?」
「ああ。反対斜面に出撃したとて、こちらが襲われる可能性がある。常に麓への警戒は怠るな」

 木々の中にあるとはいえ、火を炊けばさすがに場所がばれるのは自明の理。
 だが、それよりも奇襲を避けるほうが大事だ。
 こちらにはまだ一万もの兵がいる。
 いざとなれば数で圧倒すればよい。

「報告します! 官軍らしき軍隊が麓に現れたとの伝令が着ました。やはり夜襲を仕掛けるようです」
「ふん……浅はかだな。将軍も、私も予想済みだ。すぐに戦闘準備! 当直以外も出動させる! どうせ相手は風下だ。適当に矢を撃っても簡単に当たるぞ!」

 副官は、矢継ぎ早に指示をしていく。
 するとそこに一人の男が顔を出してきた。

「副官どの……? これは何の騒ぎですかな?」
「ああ、郷循どの。なに、貴方がたを追ってきた官軍がこちらを攻める気配を見せています。その迎撃の指示ですよ」
「なんと……私達のせいで」
「いや、貴方がたが来られなくともこの場所は、すでに官軍には見つかっていたでしょう。貴方がたは貴重な糧食を運んでこられたのです。これぐらいは私も予想していました。ご安心ください」
「……でしたら私にも手伝わせていただきたい。部下ともども、十分休ませていただきました。武器さえお貸しいただければ、立派に一役務めさせていただく」
「……」

 副官はふむ、と黙考した。
 副官としては、この男や輜重隊にはまだ完全には信用ならぬ部分がある。
 しかし、砦の中に居られて内応されるより、麓の官軍への先陣として出したほうが安全ともいえる。
 敵でなかったとしても、官軍に対しても有効な手だ。
 攻めているほうが攻める前にまさか奇襲をうけるとは、思いもしないだろう。
 それに……もしこの男が敵であるなら、ここで否というはずだ。

「わかりました。これから先手を打って奇襲をしようとしていたところです。その先鋒を任せてもよろしいでしょうか?」
「奇襲ですか、わかりました。我々だけで行いますか? それとも兵をお貸し願えるのですか?」
「……奇襲であればあまり多くはないほうがいいかもしれません。貴方がただけで大丈夫ですか?」
「敵が砦に登ってくるところに仕掛けるぐらいであれば、なんとか……」

 ふむ……兵をつけて裏切られると、こちらには痛手だ。
 だが、監視をつけずただ裏切らせるのも問題がある。

「では、こちらから千ほど兵を出しましょう。貴方はともかく、他の輜重隊の方々はまだ疲れもいえておらぬ様子ですし、兵はこちらの千人で奇襲を仕掛けていただけますか?」
「ふむ……そうですね。わかりました」

 郷循の即座の了承に、思わず眉を寄せる副官。
 先ほどからこちらの提案にまったく否と言わない。
 部下とも離し、一人でこちらの手勢を率いるとなると間者であるならば絶対に渋るはずである。

(……間者ではなかった、か)

 副官は安堵の吐息を漏らすと同時に、不意に罪悪感がもたげてくる。

「本当によろしいのですか? 千でなく二千ほどでも……」
「夜間とはいえ、あまり多すぎては身を隠すことはできません。千ほどで結構。それぐらいでないと一人では処理(かた)しきれませんので」
「そうですか……では、お願いいたします」

 自らの提案とはいえ、危険な指示だと理解している。
 それを何の気負いもなく、素直に信じて一人で事を起こそうと言うのだ。
 せっかく助かった命なのに……そう副官が思い至ると、激しく罪悪感が膨れ上がった。
 
「命がけで糧食を運んでいただいた貴方にこんなことをさせて申し訳ない。奇襲が成功したらすぐに引いて下さい。もし危なそうであれば、偵察だけでも結構です」

 そう口にしてしまってから、自分はなんと愚かな……と思ってしまう。
 最初は間者だと思って無茶な指示をだした。
 しかし、考えてみれば相手は命からがら糧食を届けてくれた仲間でもある。
 疑いすぎて、仲間を信じられなくなっていたのだろうか?

「(ぼそ)……残念だな」
「は?」
「いえ、なんでもありませんよ、副官殿。では、準備をしてきます。武器は……糧食を運び入れた場所と同じですかな?」
「あ、はい。何でも好きなものをお持ちください」
「どうも……あ、そうだ。二つほどお聞きしてもよろしいですか?」

 倉庫に向かおうとしていた郷循が、振り返りざまに尋ねてくる。

「は、はい。なんでしょう?」
「貴方は何故黄巾に?」
「……はは。お恥ずかしながら、食べるためです。私は食い詰めた農民だったので……」
「……なるほど。いや卑下するつもりではありませんよ。食べられないのはつらいことですしね。ですが……いえ、もう一つお聞きしても?」
「はい。なんでしょう?」
「貴方のお名前は?」
「ああ……」

 そういえば、将軍の下について以来、副官で通していたから自分の名前を相手に伝えるのは久しぶりだった。

「自分の名は――唐周(とうしゅう)と申します」




  ―― 盾二 side ――




 さて……仕込みはすんだ。
 伝達もした。
 あとは合図だけだな。
 朱里や雛里はうまくやるだろうか……




  ―― 鳳統 side ――




 月は天頂。
 予定通りならそろそろ頃合です。

「今の状態で何も指示はなし。合図なし。伝令もなし。では、壱の策のまま、開始します」
「了解しました」

 私の言葉に、兵隊さんが設置された薪に火をつけていく。
 それは三千の兵で山を覆うように作った焚き木の数々。

「数はよし。風もよし。どんどん燃やしてください。燃えはしないでしょうけど……」

 代わりにいっぱい出るものが重要なんです。
 さあ、山を覆う煙木(えんもく)の計。
 一重目(ひとつめ)の策が開始です!



  ―― other side ――




「しょ、将軍! 下を!」
「なんだ!?」

 馬元義が高台から下を見ると、麓のあちこちから白い煙が立ち昇っていた。

「火計……? ばかなことを」

 この山の木々は、全体的に湿っている。
 火をつけようとしても、せいぜいが煙を出す程度で火の手が上がることなどほとんどない。
 枯れ木が乾燥しようにも、土壌がしけって腐葉土となっており、すぐさま鎮火してしまう。

「放って置け。どうせ火がくることはない。油をまかれても燃え盛ることなどない。すぐにあきらめるだろう」
「はあ……」
「それより煙を吸い込まないように、高台の奥や木々の裏手に回って天幕などで防ぐように言え。朝になれば仕掛けるぞ」
「了解しました」

 傍にいた兵が、伝令の為に散っていく。
 ふん。ここで火計など、ただのバカのすることよ。
 やはり官軍など、所詮は烏合の衆。
 黄巾こそが世を統べ、民に安寧をもたらさねばならんのだ……




  ―― 盾二 side ――




「郷循様、いつ頃仕掛けるので?」
「そうですね……」

 俺は空を見る。
 月は天頂に差し掛かり、予定通りなら反対斜面では煙幕が焚かれている頃だろう。
 問題はそれがどのくらいで山を覆うかだが……同時にやるならそろそろか。
 こちらは、千の黄巾が眼下にある霞と翠の陣を見据えている。
 たぶん向こうも合図待ちだろう。

「次に月が雲に隠れたら仕掛けます。ばらばらに仕掛けたら個別で殺されますから、固まったままで仕掛けますよ」
「わかりました」

 俺の言葉に周辺の黄巾が身を寄せ合い、固まり始める
 うーん……すまないね。
 個人的には埋服・寝返りなどは大嫌いだし、桃香には教えられんけど……罠なんだわ。
 だから……君らに殺された民衆にあの世で謝ってくれ。
 俺が心の中で手を合わせると、空にはちょうどよい具合に月が翳りだした。
 雲……ではなく、煙のようなもので。

 うん。いい頃合だ。

「じゃあやるか……すまんな」
「はい……は?」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 突如発した俺の雄たけびに、周辺の黄巾の連中が唖然とする。

「せめて一思いにしてやる!」

 俺は、AMスーツの脚力を全開にして、その場から飛び上がる。
 AMスーツの人工筋肉が膨れ上がり、人間の三十倍を超える脚力による跳躍。
 それは生い茂る木々の木の葉を突き破り、その場から数十メートルほど俺を飛び上がらせた。
 空中で溜め込んだサイコウェーブを炎の塊として月下に掲げた。

「マグナ・フレアバースト!」

 膨れ上がった一千度を超える超高熱の炎熱波。
 その塊が、地上へ降りかかり……大爆発を起こす。
 地上にいた黄巾たち千人の悲鳴をあげる間もなく、爆音にかき消された。
 その爆発の余波は、山全体へと伝わったのである。




  ―― 馬元義 side ――




「何の音だ!?」
「わ、わかりません! 周囲が煙で、視界を遮られていて確認できません!」
「ええいっ! 無駄な火計などしおって! 一体なにをしたのだ!」




  ―― 孔明 side ――




「この音と揺れ――あ、あっちの空が赤い?」
「朱里ちゃん。たぶん、これが盾二様の合図だよ」
「う、うん。次の策です! 百名の騎馬は予定通りドラを鳴らしながら周辺を走り回ってください。敵が下山しそうならすぐに連絡を!」
「残りの人たちは私達と一緒に山を回りこんで、本隊と合流します。急いでください!」




  ―― 劉備 side ――




「な、なんや!?」
「お、おい、霞! あそこ……火柱があがっているぞ!」

 霞ちゃんと翠ちゃんが指差す所。
 あの炎は見たことがある。
 あれはあのときの炎……

「翠ちゃん、霞さん! ご主人様の合図だよ!」
「なに!? あれがか!?」
「場所が違うやないか! あそこに砦はないで!?」
「ご主人様が言ってたじゃない、場所は関係ないって。合図があったら砦を攻めるのは予定通りだよ!」
「しかし……」
「絶対大丈夫! ご主人様を信じて!」

 私は二人の眼を見て叫ぶ。

「……わかった。霞!」
「ああ! おまえら、いくで!」
「「「オオオオッ!!」」」

 翠ちゃんと霞さんの号令と共に、砦へと向かって突撃する兵隊さんたち。
 盾二さん、愛紗ちゃん、鈴々ちゃん……みんな、どうか無事でいてね。




  ―― 唐周 side ――




「い、いったいなんですか!?」
「副官! 奇襲部隊がいた辺りに火が!」
「なんですって!?」

 私は櫓に登り、斜面の方を見る。
 そこにはまるで火山が噴火したかのような穴が、木々をくりぬいて存在していた。
 周辺には生い茂っていたはずの森が焼かれ、湿気っているにもかかわらず火がチラチラと見える。
 おそらく木々の上の方の乾燥していた部分だろう。

「いったいなにが……」
「副官! あちらを! 官軍の部隊が登ってきます!」
「!!」

 そこには官軍の持っている松明の火が、ゆらゆらとこちらへ向かってきていた。

「くっ……すぐに応戦します! 矢にて牽制! 敵を近づけさせるな!」

 そう言いつつ、私は穴の開いた方角を見ている。
 郷循……あそこに彼がいたとしたら、おそらくはもう生きてはいまい。

(すまない……)

 悔恨の念に(さいな)まれながら、ぎりっと歯を鳴らす。
 
(仇はとります!)

 心に誓い、迫ってくるたいまつの火を憎々しげに睨む。

「奇襲部隊の仇をとれ! 官軍を一人も生かして返すな!」

 私が叫んだときだった。

「ふ、副官!」
「!?」
「は、反乱です!」
「な……!?」

 兵の言葉に後方の砦の内部を振り返る。
 砦の内部のあちこちから、火の手が上がり始めているのが見えた。

「どういう……」
「あの輜重隊です! あいつら、あの音がしたと思ったら周辺に火をつけだして……」
「……」

 まさか、郷順が死んだ報復?
 いや……それはない。知るのが早すぎる。
 なら……やはり間者だったと。

「お、おの……れぇ!」
「敵だあ!」
「!?」

 櫓の下から、別の兵の声がする。
 そこには――

「にゃーはっはっはっはっぁ! 鈴々、参上なのだ!」
「民を苦しめる黄巾の餓鬼ども! この関雲長が黄泉路への案内役をしてやる。おとなしく冥府へと還るがいい!」

 黒髪の女と茶髪のちんちくりんに率いられた九百ほどの兵が、砦内を荒らしまわっていた。

「ばかな……どこから入られたのだ……」
「わかりません! 突然砦の中から現れ……ギャッ!」

 その兵は、報告の途中で流れてきた矢に射殺(いころ)された。
 矢が流れてきたのは、外でなくやはり砦内……あれは、輜重隊のやつか!

「ぐ……お、応戦――」
「も、門が開けられています!」
「な――」

 砦の門が、輜重隊の数人により開かれていく。
 間髪いれずに入り込んでくる官軍の兵。
 だ、だめだ……もう。

「黄巾ども、観念せぇ! うちは董卓軍の張文遠や! 帝の勅命により、あんたらを討伐する! 死にたくなければおとなしゅう降参せぇ! せぇへんのやったら皆殺しや!」

 官軍の女が叫んでいる。
 董卓……董卓軍、そう言ったか。
 全部謀られていたということか……
 ……ぉのれ、おのれ、おのれ、おのれおのれおのれおのれおのれおのれ、オノレェェェェェェェッ!

「ふ、副官、どうしま……」
「俺は逃げる……お前らは好きにしろ」
「そ、そんな!」

 近くにいた兵のことなど放り出して、櫓から下りる。
 頭に巻いていた黄巾を剥ぎ取り、鎧も捨てて身軽になると、裏へと走り出した。
 
(俺は喰うためだけに黄巾に入ったんだ。後のことなど知ったことか)

 砦の裏手には、外部からの侵入を防ぐ柵が立ち並んでいる。
 だが、俺はいざと言うときの逃げ出す算段のため、内側からなら簡単に破れるように(かすがい)が打ち付けてある場所を、一箇所だけ用意していた。
 その鎹を剣で横叩きにすると、閂が外れるようにあっさり壊れる。
 そのまま柵の脆くなっている所に体当たりすると、柵は破れ、俺の身体は砦の外の地面に打ち付けられた。
 腐葉土になっている泥が、自身の身体を黒く染める。

(だけどな……俺を嵌めた奴は許せないんだよ!)

 口に入った泥をべっと吐き出す。
 すぐに泥の中から立ち上がると、俺は木々に隠れるように下へと下り出した。

(今の俺には力がない……将軍のところにいってもあれだけの策をしたやつらだ、あの将軍じゃ絶対に勝てんだろうな)

 しばらく下りて振り返ると、砦の火が燃え盛っているのが見えた。
 あれではもうあの砦は使えないだろう。
 
 頭を振って下りようとすると、不意に足元の感覚が無くなった。
 えぐれたような斜面に足を取られ、俺はその場から転げ落ちた。
 十丈(三十三m)は転げただろうか。
 腕や足が木の枝で切り裂かれて血が流れている。
 俺は痛みを堪え、ふらつきながら立ち上がった。

(とう、たく……董卓軍の張とか言ったな。そうか……董卓。必ず、必ず復讐してやるぞ! 必ずだ! そして……)

 俺は木々にもたれながらしばらく歩くと、その光景に眼を見開く。
 それは何かが爆発したような痕。
 そして炭化した焦げ臭い物体。
 周辺には焼け爛れて死んだであろう、黄巾の兵らしき死体(もの)が散乱していた。
 ここは……そうだ、さっきあの櫓から見えた場所。

(郷、循……貴様もだ! 必ず……必ず俺の手で殺してやる! 俺が……オレガ!)




  ―― other side ――




 男はしばらくその光景を目に収めた後、全身を泥と血で黒く染めた身体をゆっくりと木々の中に消していった。
 その眼だけはどす黒く、鈍い光を輝かせながら――
 
 

 
後書き
この策は作者がキャンプで山火事にあったときの実体験と、劇場版三国志の陸遜の劉備を嵌めた火計を元にしています。

木々が湿っていると意外に火は出ない代わりに煙がすごいのですよ。
避ける手段はキャンプ場の方に教えてもらいました。


さて、唐周はこれで敵キャラフラグが立ちました。
以後は盾二の生涯の敵となり動き出すでしょう。

とはいえまだレベル1状態。レベル50ぐらいの盾二には正面からかなうわけがありません。
ではどうするか……

察しの良い方なら先読みしてわかると思いますがね。

ちなみに盾二さん、結構非情ですよ?
子供の頃から何人も殺してますし……この作品の一刀も同じ立ち位置です。
スプリガンだしねぇ…… 
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