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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章

作者:あさつき
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四章 モンバーバラの兄弟
  4-03柄が悪く口も悪い

 部屋の中には、ひとりの娘がいた。

「ん。お前は、酒場の。」
「きゃっ!マーニャ様!」
「リンダってのはお前のことか」
「お願いです!見逃してください!お城になんか、行きたくありません!」
「む、()()()いは、許さぬぞ!」

 追いすがってきた神父が、肩を掴もうとするのをひょいとかわす。

「まあ落ち着け。何も連れ戻しに来たってわけじゃねえ」

 追ってきたミネアが取り成す。

「押し入っておいて落ち着けも無いだろう……。神父様、申し訳ありません。リンダさんではありませんが、探し人があるのです。告げ口などはしませんから、少しお話を聞かせてください。」
「う、うむ。そういうことであれば。やむをえまい。」
「で、なんで逃げたんだ?城になんか、あんのか」
「おい、兄さん」
「あ、あたし!聞いたんです!キングレオのお城に革命が起こり、王様は殺されたと。そして新しい王様は、錬金術の研究と称して、恐ろしい実験をしていると……。」


「錬金術か。当たりだな」
「決めつけるのは良くないけど、怪しいね」

 錬金術師だった父エドガンを殺した、(かたき)のバルザックは、父の弟子だった。
 関連を疑うには、十分ではある。

「なら、次はキングレオだな」
「キングレオなら、コーミズの村は通り道だ。村に寄って、父さんの墓に参ろう」
「しばらく帰ってねえからな。そうすっか」


 町を出て北に向かい、コーミズを目指す。
 途中、幾度か魔物に遭遇する。

 マーニャは舞で剣を使うが、戦士のような戦い向きの筋力は無いため、斬撃は軽い。
 身軽さを生かすため防御は薄く、短剣の投擲(とうてき)で牽制しつつ、炎の魔法で敵を倒す。

 マーニャのような身軽さは無いが、護身用に剣を修め、それなりに力があるミネアは、手頃な防具で身を固め、(どう)(つるぎ)で敵を倒す。
 神秘に通じる占い師であるため、回復魔法の心得もあり、受けた傷はミネアが癒す。


 日暮れ時、コーミズの村にたどり着いた。
 農作業などをしていた村人たちがふたりに気付き、口々に声をかけてくる。

「おや、確か、あんたたちは。エドガンさんの、息子さん!そうか、帰って来ただか。」
「お久しぶりです、おじさん」
「帰ったってか、寄っただけだな」
「おや、ミネアくんじゃない!やっぱり故郷は、いいもんでしょ。」
「ご無沙汰してます、おばさん。ええ、落ち着きますね」


「相変わらず、面白味のねえ村だな」
「相変わらず、口が悪いね」 
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