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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章

作者:あさつき
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二章 やんちゃ王子の観光
  2-14エルフも遊ぶ楽園、神秘の塔

「サランはほとんど素通りだったが。マローニの歌とやらは、聴いていかなくて良いのか」
「いつ行っても、得意気に歌っておりますからな。もう十分ですわい」
「散歩のお供には、悪くないのですけどね」


 サランの町に向かい、マローニに話を聞く。
 マローニは、砂漠のバザーで手に入れたエルフの薬『さえずりの蜜』を飲み、声を取り戻した上に美声となったと言う。

「ご自慢の美声は、薬の効果によるものであったとは。よくもまあ、ああも得意気になれるものじゃ」
「できれば知りたくありませんでしたわ」
「美声の親父か。まあ、出ればなんでも良いが」


 ブライの移動魔法で砂漠のバザーに取って返す。

 行商人は、今はさえずりの蜜は扱っておらず、エルフが訪れるという西の塔へ行けばあるのではないかと言う。

「塔といえば魔物だな!」
「うまく手に入れば良いのですがな」
「エルフとは、警戒心の強い生き物だと聞いたことがあります。人が行ける場所にある塔などに、来るものでしょうか」


 向かった塔の中扉は鍵をかけて封印してあったが、偽王子メイにもらった盗賊(とうぞく)(カギ)が役に立った。
 本当にただの旅芸人であったのか疑わしいが、いまさらどうしようも無い。

 急ぐ旅路であるからと、今回ばかりはブライとクリフトも積極的に戦いに加わる。
 魔物の集団はブライの対集団氷結魔法で一網打尽にし、単体の魔物はアリーナが瞬時に打ち倒す。クリフトは補助と回復の魔法で、守り癒す。
 途中、うっかりと塔の窓から下を覗き込んだクリフトが真っ青になりながらも、さして時間もかけずに最上階に到達した。


 塔の屋上には花園があり、緑の髪と瞳、白い肌に細長く先の尖った耳を持つ、風変わりな娘がふたり、遊んでいた。
 娘たちがこちらに気付き、叫び声を上げる。

「きゃ!あなたたち人間ね!リース!帰るわよ!」
「はい、お姉さま!」

 娘たちの身体が浮き上がる。

「あっ、いけない!薬を落としちゃった!」
「いいわよ、そんなの。さっ、早く!」

 娘たちはさらに高く舞い上がり、姿を消した。


「あの姿!まさに話に聞くエルフそのものですわ!本当にいるとは驚きです!」
「変わった魔法であったの。興味深いことじゃ」
「なにか落としたな。あれが例の薬か」

 薬を拾う。

「吟遊詩人めの言うておった通りの品ですな。穀潰(ごくつぶ)しもたまには役に立つものです。急ぎ城に戻り、試しましょうぞ」


 ブライの移動魔法で、再びサントハイム城へ戻る。

「親父!戻ったぞ!」

 ぱくぱくぱく。
 ――だから父上と呼ばぬかと……。――

「そんなことより。これを飲めば、声が戻るらしい。飲んでくれ」

 ぱくぱく。
 ――なに。まことか。――

「待ちなされ。お毒見を」 
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