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ドラゴンクエストⅢ 勇者ではないアーベルの冒険

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第47話 そして、すごろく場へ・・・

俺達はイシスの宿屋で休息していた。
目的は、北にあるピラミッドである。
以前に探索の許可を取り付けていたが、念のため再度申し入れをした。

今回は王女に面会することなく許可をもらえている。
正直、助かっている。
一年間王様をやったことはあるが、謁見は正直疲れるからだ。

今回のピラミッド探索は、「すごろくけん」の入手が目的だ。
すごろく場の存在は、実際の世界(?)には存在しないと思っていた。
だが、俺の予想を裏切った形で存在していた。

まあ、あるのなら、利用すればいい。
俺は、あるアイテムを入手するため、すごろく場に参加するためのアイテム、「すごろくけん」をモンスターから、入手するつもりでいた。

どうでもいい話だが、子どもの頃、ゲームで遊んでいたとき「すごろくけん」を「すごろく剣」という武器と勘違いしていたのは内緒だ。


「と、いうわけで」
「・・・なにが、「と、いうわけで」なの?」
テルルが指摘する。
「早めに、宿に泊まれたので」
「じゃあ、話を続けて」
「キメラの翼についての考察発表会をします」

俺達は、部屋の中央にある氷を前にして集まっていた。
部屋は暑いので、宿屋の親父からたらいを借りると、水を張り、俺の余ったMPを使い、氷結呪文ヒャドで氷に変化させていた。

攻撃呪文の使用は原則禁止のため、事前に宿屋の了解をもらったが。
「宿代をタダにするので、他の部屋の分もお願いします」
と頼まれた。
面倒なので、タンタルにも手伝ってもらった。

「では、一番手のタンタルさん。どうぞ」
「ええとですね」
タンタルは少し緊張しているようだ。
たまに、セレンを見ながら話し始める。

「俺の考えは、アイテムを一から作ったと思います」
「理由は?」
「適当です」
「・・・」
「そうですか」
「いいの、そんな理由で?」
セレンは、黙ってタンタルを見つめ、テルルは俺に問題ないのか問いつめる。

「まあ、良いのではないですか?当たっていれば」
「正解なの」
「それは、キセノンに聞くまで待ちましょう」
「あら、そう」
「では、明日はセレンお願いします」
「はい」

とりあえず、今日の説明会は終了した。
タンタルにもう少し説明が欲しかったが、初日だし、こんなものだろう。
あまりプレッシャーを与えすぎると、翌日のセレンが困るだろう。

セレンの様子を見る限り、あまり良い考えが浮かんでいないようだ。
一方、テルルにはなんらかの考えがあるようだ。
ひょとしたら、正解を知っているかもしれない。
もし知っているのなら、回答編を早める必要がある。
あとで、こっそり確認しよう。
そう考えてから、就眠する。


宿を出ようとすると、ロマリア王国からの使者を名乗る男が、俺に話しかけてきた。
「前王様」
「名前で呼んで欲しいな」
周囲の視線が俺達に向けられたからだ。
「失礼しました、アーベル様」
「何があった?」
「王妃から、お手紙を預かっております」
「そうか」
俺は、使者から手紙を受け取ると内容を読んだ。

「しばらくしたら、顔を出すと伝えてくれ」
「かしこまりました。アーベル様」
使者はキメラの翼を取り出すと、どこかへ飛んでいった。

「大丈夫なの、アーベル?」
「テルル、大丈夫だ。急ぐ話ではない」
俺は、笑って答える。
手紙の内容であれば、すぐには問題ない。
だが、心のどこかで違和感を覚えていた。



「よし、これで8枚目」
「疲れましたね」
「そうだな。少し休むか」
俺達はピラミッドの入り口付近で、モンスターを倒していた。
今回の標的は、ミイラおとこにあった。

彼らが落とす、「すごろくけん」をある程度、あつめる必要があった。
目的はすごろく場のクリアではないため、何十枚も必要ないが、失敗して往復するのも面倒なので、とりあえず10枚を目標にしていた。
「まあ、後は俺の運の良さにかけてみるか」
俺達は、休憩を終えるとリレミト、ルーラを使って次の目的地に移動していた。

「モンスターは、なぜすごろくけんを持っているのか」
俺は新しい問題を考えていた。



「逃げることもできないのか」
俺は熊型のモンスターであるグリスリーの群れに囲まれていた。
パーティを組んでいれば、倒せない敵ではない。
だが、俺のそばには、誰もいない。
自分1人で全滅させなければならない。

「今は、俺しかいないのだ」
俺1人で倒さなければ、この先に進むことができない。
戦わなければならない。

グリスリーが俺にめがけて一斉に襲いかかる。
俺は、今俺が使える最強呪文「ベギラゴン」を唱える。
目の前の敵は崩れ落ちるが、左右の二匹はそのまま俺に爪で攻撃する。

通常ならまだ戦うことができたはずだが、先ほどの戦闘の傷も癒えていなかった。
どうやら、致命傷のようだ。
俺は、自分の体を支えることができず、前のめりに倒れ込む。

「・・・、済まない。セレン、テルル・・・」
俺の意識が遠のいていく。
「・・・、かあさん・・・」



「あらら・・・」
気がつくと、先ほどすごろく場の説明を聞いた男と再会した。
「やられちゃったみたいですね」
「・・・」
俺の傷は治っていた。
なぜか、MPも全快である。

「たとえすごろくといえども、油断は禁物です」
俺は黙って頷いた。
「このつぎはがんばってくださいね」
俺は仲間のもとに戻っていった。

「アーベル!」
「大丈夫?」
「ああ、なんとかね」
全快したはずなのに、体に違和感がある。
痛みも残っていないはずなのに、微妙な感覚が残っている。
これが、死ぬということ、いや、生き返るということか。

「タンタルさん。この微妙な違和感が、死ぬということですか」
「・・・。俺も、そんな感じだった」
タンタルは同情するように話しかける。
「アーベルさん。しばらく、休んだ方がいいですよ」
「ありがとう、タンタルさん」
俺は、経験者の意見に従うことにする。
「とりあえず、温泉で休むか」
俺はゆっくり立ち上がると、すごろく場を後にした。


俺達は、マイラにあるすごろく場に来ていた。
俺が目指していたのは、すごろく場にある商店の商品を手に入れるためである。
ここで手に入る武器や防具は、最高級のものだ。
であれば、挑戦したほうがいい。

とはいえ、これまで4回失敗した。
2回は落とし穴に落ち、1回は商店を通り過ぎてしまった。
そして、今回はモンスターに襲われ死んでしまったのだ。

すごろく場での死亡は、全滅扱いにはならないため、持ち金は減ることはないのだが、それでも死ぬことは嫌だった。
「ふう、ごくらくごくらく。生き返るねぇ」
俺は、温泉でひとりつぶやいていた。



「それでは、第2回キメラの翼会議です」
今日は、セレンの番だ。
「やはり、キメラの翼はあのモンスターが材料だと思います」
「どうして、そう思うの?」
俺は尋ねた。
「この二つのキメラの翼を見てください」
セレンは両手にそれぞれ1枚づつキメラの翼を手にしていた。
「これらの羽に見分けがつきますか」

俺達は、セレンの両手を眺める。
「うーむ」
「わからんな」
「本当に違うの?」
俺達には左右の違いがわからない。
「左が、キメラと呼ばれるモンスターが落としたもので、右が道具屋で購入したものです」
セレンは解説する。

「なぜ、私たちが暮らしていた世界で売られているのかわかりませんが」
セレンは水を飲むと話をまとめた。
「あの、モンスターが原料だと思います」
「すごいです、セレンさん」
「じゃあ、明日は私ね」
タンタルはセレンの説明に感心し、タンタルは闘志を燃やしていた。


「さあ、今度こそ店に止まるぞ」
翌日も俺は、すごろく場に挑戦していた。
8回目の挑戦で久しぶりのチャンスがまわってきた。
今朝は2回連続で最初のT字路の落とし穴に落ち、前回は俺の苦手な旅の扉で飛ばされてしまった。
転移酔いからようやく立ち直った俺は、4マス先にある店を見つめていた。
「いけ」
俺は軽くサイコロを振った。
サイコロは4の目を出した。
「やった」
俺は後ろを振り向いて、セレン達に喜びを表す。
離れているので表情まではわからないが、セレンやテルルが手を振ったりしているので喜んでいるだろう。
俺は、店にはいると魔法使い(男)の最強装備であるドラゴンローブを2着購入した。

「それにしても」
買い物が終わり、すごろくをリタイヤした俺は、すごろく場の経営がどうやって成り立っているのか考えていた。
「そもそも、この券は上のモンスターしか落とさないはずなのだが」
俺に理解できないことは、この世界にまだまだあるようだ。

戦いが終わって暇になったら、すごろく場の収益について調べるのも良いかもしれない。
文章にまとめて「すごろく場はなぜつぶれないのか」のタイトルで本を売るのもおもしろいかもしれない。
「いや、誰も読まないか」
俺はひとりで結論をだした。 
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