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ドラゴンクエストⅢ 勇者ではないアーベルの冒険

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第16話 そして、修行へ・・・

「よし、北に行こう」
俺は、セレンとテルルに提案した。

俺たちは、ロマリアの北にあるカザーブの村にある酒場にいた。
俺が、移動魔法であるルーラを覚えた事で、テルルはせっかくだから使ってみようということになった。
テルルはアッサラームの宿屋にはあまり泊まりたくはないようだった。
宿屋としては快適だと俺は思うのだが。

俺は、次の目的地を考えて、カザーブの村に飛んでいた。

「ノアニールの村ね」
「まあ、村に行くというよりは、修行のためなのだが」
俺は、テルルの質問に答える。
「修行?」
「そう、北には修行に最適な場所がある」
「どんなところ?」
セレンが興味深そうに尋ねる。
「まあ、いってみてのおたのしみということで」
「いじわる~」

テルルは頬を膨らませた。
テルルの表情は、かなり、かわいかったが、テルルの期待には応えない。
「話すと長くなるのでね。明日は長旅だ。ゆっくり休もう」
「はーい」
「わかったわよ」
セレンとテルルは返事をして宿に帰ることにした。
酒場には、酔いつぶれた男の魔法使いと、それをたたき起こそうとする女の武闘家がいた。


俺たちは、カザーブを北上して、しばらくするとノアニールと呼ばれる村に到着した。
全体攻撃魔法イオを覚えた俺は問題なく到着できた。

村はルーラを登録できる場所があったが、周囲に人はいなかった。
「ルーラの登録は各自で行うこと」との掲示板の説明に従い、俺たちは登録をすませた。
登録をすませると、俺は言った。
「よし、西にいこう」
「え、街に入らないの?」
驚いたテルルは、思わず問いただす。
「なぜ?」
「アーベル。情報収集はしないの?」
「なぜ?」
「「なぜ?」じゃないでしょう!冒険の基本よ」
テルルは、怒りながら問いただす。

「情報収集をせずに、どうやって旅をつづけるの!」
「あれを見て、どうやって情報収集をするというのだ」
俺は、街の入り口に立つ若者を指し示す。

「普通にはなしかければ・・・、えっ」
反論しかけたテルルは違和感に気がついて驚きの声をあげる。

俺が指さした若者は、立ったまま動かない。
そして、耳を澄ますと、いびきが聞こえる。

「どういうこと、アーベル」
セレンは俺に質問する。
「わからないが」
俺は村人達が寝ている理由は知っているが、どのような魔法を使ったのかはわからない。
俺は嘘は言ってないが、確実に誤解をされる説明をする。
「下手にかかわって、同じようになるのは嫌だね」
「たしかに」
「そうね」
セレンとテルルは頷く。
「そういうことだ、目的地に行こう」
俺は西を目指し、あるきはじめた。


俺は、どうして村人が寝ているのか知っている。
解決方法もわかっている。
しかし、解決するためには洞窟で宝箱を開ける必要がある。
勇者や盗賊でない俺たちでも、宝箱を開けることができるかもしれないが、自分がする必要もない。
村が戻れば、店での買い物が出来るが、必ず必要なものでもない。
俺は、時間の無駄と判断して、旅を続けることにした。



「ようやくみつけた」
俺は、喜びの声をあげる。
俺たちはノアニールの西にある洞窟の地下2階にいた。

目の前にある床は、洞窟の中の状況として、明らかに異質であった。
4本の柱の中央に、円形の魔法陣が描かれている。
円の外周から真上に光の柱が天井まで伸びていた。

「これはなに?」
「入ってみてのおたのしみ」
俺は、テルルの質問に答えると、魔法陣の中に進入する。
すると俺は光に包まれた。
「!」

俺は、一瞬違和感を覚えたが、何も感覚はなくいつの間にか体の状態が回復した。
「大丈夫、アーベル?」
セレンは心配そうに見つめる。
「大丈夫さ。やっぱり全快したな」
俺は、ステータスシートを眺めながらセレンの質問に答える。

「本当だ」
「すごい」
テルルとセレンはこわごわと、魔法陣に入ったが全快した体をみて納得した。
「さあ、修行の開始だ」
「うん」
「わかったわ」

俺たちは、回復魔法ホイミの上位魔法ベホイミと炎の魔法ギラの上位魔法ベギラマを覚えるまで、魔法陣の周辺を拠点として、修行を開始した。


「ねえ、起きて。アーベル」
「起きてよ、アーベル」
夜更かしのしすぎでうたた寝でもしたのか。
俺はそう思って、目を覚ます。
「!」
体全体に激痛が走る。
「ベホイミ」
セレンが呪文を唱えると、みるみる体の痛みが取れた。
「大丈夫?」
「ああ、なんとかな」
俺は起きあがり、セレンに礼を言う。
「ありがとう、セレン」
「いいのよ、私の仕事だから」
セレンは照れながら答える。
照れるところか、と俺は疑問に思ったが答えは得られないだろう。

テルルがセレンに苦言をいう。
「セレン。すぐ近くに、全快出来る場所があるのに、アーベルに呪文を使わなくてもいいじゃないの?」
「でも、瀕死だったし」
「それに、アーベルはHPが低いからホイミで十分でしょホイミで」
「いや、HPが50超えたので、ホイミじゃ無理だろ」
俺は、セレンをかばうように答える。
「それに、敵に眠らされて怪我をした俺が悪い」
俺は、眠らされた相手である、きのこ型のモンスターを思い出した。

「いいわねぇ、セレン。アーベルがやさしくて」
セレンは顔を赤くする。
「ぼやくな、テルル」
「ぼやいてないわよ!」
「前衛として、俺をいつも守っているテルルにも感謝しているよ」
「なによ、急に」
急にテルルの顔も赤くなる。
「回復するわよ、セレン、アーベル」
テルルは、近くにある魔法陣へと向かいだした。 
 

 
後書き
ノアニールの村は飛ばします。

ノアニールが復興すると、「はがねの剣」「魔道士の杖」「みかわしの服」が購入できますが、
「はがねの剣」は3人とも持てませんし、
「魔道士の杖」を装備したアーベルの攻撃力は期待できませんし、
「みかわしの服」はすでに装備しています。

展開を急いだ訳ではありません。 
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