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天才少年と電脳少女

作者:ザクロ
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数年前のあの日・・・・

俺は、奈菜と出会った時のことを思い出していた
あれは、俺が中学生の時、まだ学校に行く気があった時の話だ

「何してるの?」
最初は、その言葉だった。俺は、見ればわかるだろ、と思いながら難しい本を読んでいた
「その本、気になるんだ・・・・どんな本?」
「・・・・・機械の配線についての本」
「難しそうなの読んでるんだね」
「・・・・お前にはわからないよ」
最初は、そういっていたんだ。でも、奈菜はずっと話かけてきた
そのうちに、俺もだんだん話すようになってきたんだ
「慎次君、パソコンが壊れちゃったんだけど・・・・」
ちなみに、慎次とは俺のことだ。
「貸してみろ」
そういって、奈菜のパソコンを直したりもした。俺はあの時が一番、人とのコミュニケーションが取れていた気がした
「わぁ!直った!すごい、慎次くん!」
「どうってことない」
俺は、相変わらずの無表情で、興味のなさそうな顔をしている。今思えば、もっといい顔してればよかったって思う
毎日奈菜と話していた。一日も話さなかった日はなかった
一緒に遊園地に遊びにいったりもした。俺がメリーゴーランドしか乗れないのを聞いて「イメージと違う!」って、笑われたっけ
一緒にジェットコースターに乗ったときは、怖くて死ぬかと思った
そんな時だった
奈菜が重病にかかっていると聞いた。
どんなに調べても、どんなに知ってる知識を並べても、奈菜の病気が治る方法がなかった
最後の日に、俺たちはこんな会話をした
「ねぇ、病気が治ったら、今度は私のゲーム機直してね!約束だよ!それに、また遊園地行こう!水族館も一緒に行こうよ。海外にも行きたいなぁ・・・・慎次くん、英語上手だから、通訳お願いね!」
「・・・・できたらな」
「やった!私イギリスがいいな!」
「天気悪いぞ」
「いいのよ!アハッ!」
俺はその時、初めて人に微笑んだ。奈菜は笑っていた
・・・・・その日が・・・・・最後だった・・・・・  
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