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IX+V=....

作者:
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3rd 出会い

 
前書き
ナインとリュカの出会いです 

 
《サンタローズ》
リュカSide

...カ... ュカ ... リュカ...

「リュカ、起きろ!」
突然おおごえが耳元で聞こえ驚いて目を開けると、そこにはお父さんがいた。
ああ...そうだ。僕昨日は疲れ切って夜ご飯も食べずに寝ちゃったんだ。
「おはよう、お父さん。でもどうしてこんなに早く起こしたの?」
眠い目をこすりながらお父さんに聞く。窓をみると、まだ太陽も登っていない。
「実はな...、リュカ。お前の昨日の戦いぶりを見て思ったのだが、お前は伸びる。きっとこの父をも超えるだろう。だからいまからお前に剣術の修行をつけてやろうと思ったんだ。朝早い方が涼しいし、幼少の頃に習った方が記憶に残りやすいというし、どうだ?」
なんだ。そういうことだったのか。 それならもちろんやりたいな
「お父さん、僕剣術の修行したい!昨日みたいに恐怖を感じないよう自分に自信をつけたいんだ!」
「よし、いいへんじだ。 では早速始めるとしよう。」
「待って、待ってよ。」
武器構えるの待ってよぉ、お父さん。
「準備はいいな?じゃあ、好きなところに打ち込んできてみろ!」
「うん、わかった。」
僕、もっと強くなりたい!
.
.
.

ギィンッ!ガギン!ドガッ!

朝早く、まだ誰も起きていない村に棒と剣のぶつかる音が響き渡る。
やっぱりお父さんは強いなあ。
僕がどんなに打ち込んでも、お父さんは全ていなす。
時折後ろに飛び退き威力が上がってきた‘バギ’を唱えても、お父さんはそれを剣の一振りで相殺する!
も、もう疲れた...
僕の体力はもうゼロに近い。

ガキン! ヒュンヒュンヒュン.... ドス!

足がおぼつかなくなってきた頃、僕のひのきの棒が弾き飛ばされ、お父さんの剣の切っ先が僕に向けられた。
負けた...。武器を失った僕話す術もなく崩れ落ちる。するとお父さんが
「リュカ、強くなったな。もう手加減も必要ないかもしれないな。」と、親バカなことを言いながら僕の頭を撫でてくれた。
「そんなことないよ、お父さん。」
そうは言って見たものの、やっぱりお父さんに褒められるのは嬉しい。僕は笑顔を隠すことはできなかった。
空にはもう太陽が登り、村の人たちも起き出してきていた。

リュカSide end


パパスSide

私は今、息子のリュカと剣の修行を兼ねた手合せをしている。
リュカは強い。実力は並の戦士か、それ以上だろう。
時折はなってくる呪文の威力も前とは段違いだ。
そして何より、棒の一撃一撃、魔法の一発一発から強くなりたいという気持ちが痛いほどに感じられる。
だから私は息子の気持ちに答えるため本気で相手をすることにした。
疲れが見えてきた息子に向かい連撃を叩き込む。リュカは必死に受けとめるが、足がおぼつかなくなった。私はこの隙を見逃さず、会心の一撃で棒を弾き飛ばす!

ガキン! ヒュンヒュンヒュン.... ドス!

武器を失ったリュカはその場で崩れ落ちた!
私は慌てて駆け寄り起き上がらせると、言った。
「リュカ、強くなったな。もう手加減も必要ないかもしれないな。」
多少買いかぶりもあるかもしれないが、正しいと思う。
リュカは「そんなことないよ、お父さん。」言っているが、嬉しそうだ。
「では、そろそろ家に帰るか。サンチョが朝食を作って待っているはずだ。そうだ、ビアンカちゃんも呼んできたらどうだ?もしかしたら朝食が一緒に食べられるかもしれないぞ。」
リュカは顔を赤らめてうつむいてしまった。純情だな。
私とリュかが他愛のない会話をしながら歩いていると

「.....ぉうなったら、ギガブレイk

どっぱああああああああああん

突然声が空から聞こえ、川に巨大な水柱が上がった。
私達にも水がかかりずぶ濡れになる。騒ぎを聞きつけ村人が次々集まってきた。
やがて水飛沫がおさまると一人の男の子が浮いていた。年はリュカと同じくらいではないだろうか。まだ幼い。
「お父さん!」
リュカが叫ぶと同時に私は飛び込んでいた。
「パパスさん!その子を助けたらこちらに運んで来てください!」
教会のシスターが言う。
私は子供を助けるべく泳ぎだした。

パパスSide end

《サンタローズ 教会》
ナインSide

う... ここは...?
俺が目を開けるとそこは教会の一室のようだった。
俺はとんでもない高さから落ちて...それで...
清潔そうな白い天井と壁を眺めながら記憶を整理していると部屋の扉が開き1人のシスターが入ってきた。
「あら、目を覚ましたのね! よかった...。それはそうと、君は一体なぜ落ちていたの?見たところ保護者もいないようだし...。」
なぜって言われても... 別世界から来たって言っても信じてもらえないよなあ。てゆーか、落ちてたら保護者も何もないよね
いや待て。それより'保護者'って言った?
俺保護者必要そうに見えるのかなぁ...?
そう思い壁の鏡を見る。
「ッ!!?」
そこにはバトルマスターの戦闘服を着てモンスターを駆逐してきた俺の姿は無かった。
そこにあったのは人間の体でいうところの6歳程度の男の子の姿だった。着ているものも戦闘服ではなく普通の布の服だった。
「どうかした?」
シスターに呼びかけられ俺は現実に引き戻された。
あ。あの質問どうやって答えよう?
俺が考えていると一人の男と息子だろうか、俺と同い年くらいの男の子が部屋に入ってきた。
「こんにちは、シスター・ミラ!」
「御機嫌よう、シスター・ミラ。男の子の具合はどうだ?」
俺に話しかけてきたシスターはシスター・ミラというようだ。
「幸い、パパスさんの素早い救助のおかげで大事には至らなかったわ。でも、まだ安静にしていないと。」
俺を助けてくれたのはこのパパスという人のようだ。
すると、パパスさんの脇にいた男の子が話しかけてきた。
「僕はリュカっていうんだ。君の名前は?」
「あら、そういえばまだ名前も聞けてなかったわね。」
俺は少しためらったが、三人は悪人ではないことを確信したので、言うことにした。
「俺の名前はナイン。こんなことを言っても信じてもらえないだろうが俺はこの世界とは違う世界、いわゆる別世界から来た。いや、正確には飛ばされてきたんだ。」
三人とも驚き固まっている。
やはり信じてもらえなかったか...。
俺がこの村から立ち去る覚悟を決めた時、男の子、リュカが口を開いた。
「僕はナインの言うことを信じるよ!ナインの目は嘘をついている目じゃないよ!」
パパスさんとシスター・ミラはしばらく黙っていたが顔を見合わせ頷くと
「私もリュカの言うことを信じよう。信じて見なければ何も始まらない。何よりリュカはこういうことに関しては非常に当てになるんだ。」
「私も信じます。リュカ君が嘘をつくわけないもの!」
「本当に、信じてくれるのか?」
「「「もちろん(だ)(よ)!!!」」」
「ありがとう...。」
ここにはこんなにいい人達がいるのか...。
何の関係もない子供を助ける人。
何の関係もない子供を治療する人。
何の関係もない子供の言い分を信じる人。
俺は感激して、お礼をいうことしかできなかった。みんな俺が落ち着くのを待っていてくれた。
.
.
.

俺はみんなに事情を説明した。まず世界を旅しながら問題を解決してきたことに始まり、旅の仲間達、魔物の凶暴化の原因である帝国とその撃破劇、師の死、裏にいた黒幕、そして真の悪は神であったということ...
みんなはそれを黙って聞いてくれていた。
「そんな大変な目に...」
「ないんはもうそんなに戦ってきたんだね。すごいなあ。」
リュカとシスターが思い思いの感想を口にする中パパスさんだけは何か考え込んでいた。
「ふむ、そうなると君の仲間が心配だな。仲間も共に飛ばされたのであろう?君のいた世界に干渉する方法がない以上仲間を探す方が良いだろう。」
パパスさんが提案する。
それに反対するものは誰もいなかった。
しかし、今日はこの話はここまでのようで詳しいことは明日話し合うことになり、俺がどこで暮らせばいいかについて話し合うことになった。
「俺は別にこのまま旅立ってもいいんだけど...」
と、提案するが、
「「「そんなことできるわけない(だろう)(でしょ)!!!」」」
と三人に猛反対された。
結局、
「シスター、この子は私がうちで預かろう。」
というパパスさんの発言から
「僕、いいならナインと一緒に暮らしたい!もっと話したい!」
というリュカの意見につながり、俺はリュカの家で暮らすことになった。
「ナインの事情は私たちだけの秘密にしておいた方がいいな。他に知っておく必要があるのはサンチョくらいだろう。」
「下手に騒がれても困るものね。」
「村の人達には上手く説明しておこう。では、リュカ、ナイン、家に帰るか。」
「待って!!」
今まですっかり忘れていた。
「俺が落ちたところに剣がなかったか?長い洞窟探検の末やっと見つけた剣で、とても大切なものなんだ。」
あの剣だけは... ‘銀河の剣’だけは失いたくない!
「あれのことじゃないかしら?」
シスター・ミラが壁を指差す。
そこには見覚えのある鞘があった。
あれは... 銀河の剣!!
「これだ!どうもありがとう。」
「探し物は見つかったようだな。よし、帰るとするか。ではシスターいろいろとありがとう。」
「ばいばーい、シスター・ミラ!またあとでねー!」
「いろいろとどうもありがとうございました。」
始めて丁寧なお礼を言った気がする。
「またねー、リュカ君、パパスさんに、ナイン君!」
俺たちはシスターに別れを告げると家に向かって歩き出した。太陽はもう完全に登っていた。

ナインSide end 
 

 
後書き
新しい設定満載です。
わかりにくかったらごめんなさい。 
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