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IX+V=....

作者:
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2nd 帰還

 
前書き
ついにリュカの登場です 

 
2nd 帰還

リュカSide
《船、船室》

潮風の香りに包まれながら、僕は目を覚ました。
目を開けると、ベランダから海を眺める一人の男の姿が目に写った。
男の名はパパス。僕のお父さんだ。とても強くて、男らしい。世界最強の剣士と言っても過言ではないはずだ!僕たち親子はこの2年間世界中を回る旅をしていた。その度の間お父さんは僕のことをずっと守ってくれていた。

僕もお父さんみたいになりたいなぁ
そんなことを考えながらベットから起き上がると、お父さんが僕に気がついた。
「おお、リュカ 起きたか。さっき船長から聞いたのだが、もうビスタの港に着くらしい。」
ああ、もうつくのか。長い船旅だった分、船長さんたちと別れるのは寂しい。
「そこで、お世話になった人たちに、お礼を言ってきたらどうだ?」
うー...めんどくさい...。けどまあ、確かにお世話になったし、行ってくるかな。
「...うん、わかった。じゃあちょっと行ってくるね。」
「失礼にならないようになー」
「最低限の礼儀はわきまえてるよ!!!」
全く、お父さんも少しは僕のこと信用して欲しいよ...。僕は渋々眠い体を引きずって、挨拶回りに行くことにした。
.
.
.

「船長さぁん!!」
「おお、リュカ君かい。朝から元気だねぇ。」
船長さんは今は手が空いているらしく、僕が呼んだらすぐ気がついてくれた。
「元気だよぉ!」
「もうすぐ港に着くともうお父さんから聞いたかな?」
「聞いたよ。船長さん、今まで一日中朝から晩まで船を動かしてくれてありがとうございました!おかげで、家に帰れます。」
びっくりしたような顔をする船長。突然の僕のお礼に驚いているようだ。それから慌てて
「どういたしまして、リュカ君」
と言った。
「それじゃあ、船長さん。僕は他のお世話になった人たちに挨拶してくるね。ばいばーい。」
船長が何か言いたそうにしていたように見えないこともなかったが、僕はそれだけいうと一目散に調理場へとかけ出した。ごめんね、でもおなかすいたー!

《船、調理場》

調理場では今も人が忙しそうに働いている。あと、水夫さんが朝の仕事を終えて朝ごはんを食べている。
「ん?おう、リュカ君か。 朝から元気だな。朝ごはんならそこのテーブルに乗ってるぞ。」
そのうちの一人が僕に気づくと、朝ごはんの場所を教えてくれた。
あーやっとご飯だ(おきたばっかりだろ!)

ご飯を食べ始めてから目的を思い出した!
「コックさん、水夫さん。今までありがとうございました! コックさんの料理、すごく美味しかったです!それに水夫さん達がいてくれたから僕は家に帰れます!」
と、とってつけたように言う。
しかし、水夫さんやコックさんたちは本気だと思ったらしく
「へへ、ませたこというじゃねーか。だが、リューとパパスさんがいなくなると、寂しくなるなぁ。ほらこれは餞別だ、持ってけ。」
と言って、200Gをくれた。
「はした金だが、それはお前の金だ。大事に使ってくれよ、リュー!」
「こんなにいいの?」
「いいんだよ。俺たちがあげるって言ったんだ。受け取れ!」
と、別の水夫さんがいう。
「ありがとう、水夫さん達!」
僕は、そう言って水夫さんたちの前から立ち去った。
財布が膨らんで、ウキウキしながら調理場から出て行こうとすると、コックさんたちから呼び止められた。
「待ってよ、リュカ君。これは僕たちから。」
そう言って、パフェを僕の手に握らせた。さすがコックさん達。長旅の間に僕の好物をわかってくれていた!
「ありがとうコックさん達!」
そして調理場から出た。

お父さんのところに戻る途中船長さんから「リュカ君、もう着くからお父さんを呼んでおいで。」と言われた。
もうつくのかぁ。長かったなあ。

「お父さーん!」
「おお、リュカか。迷惑はかけなかったか?」
「かけてないよ!それよりもう港につくんだって。」
「そうか。リュカはもう準備はできているのか?」
「ちょっと待って〜。あとこれだけ。」
そう言って、膨らんだ財布を袋に押し込み、ひのきの棒を背負う。
うん、完璧!
「お父さん、早く行こうよ。」
「そうだな、もう出るか。」
僕が急かすと、お父さんも笑ってついてきてくれた。
そして、僕たちは甲板に出た。

《船 甲板》

甲板に出ると、もう船はついていた。船長さんとお金持ちそうなおじさんが話していた。僕たちが近づくと横からいきなり
「ちょっと、そこどきなさいよ!」
といって、黒髪の女の子が僕を突き飛ばして行った。痛いなあ。
おや?あとからきた青髪の女の子が船に乗れないでいる。
ぼくはお父さんが何か言う前にかけ出し、女の子に手を差し伸べた。
横にいたお金持ちそうなおじさんに
「坊や、どうもありがとう。ついでというのもなんだが、フローラを船室まで連れて行ってくれないかな?」
といわれた。
お父さんをみると、
「リュカ、連れて行ってあげなさい。私はこのおじさんと話があるんだ。」
って言われた。
女の子の手を引きながら、軽く自己紹介をする。
「ぼくはリュカ。君はフローラって言うの?」
女の子はこくんと頷くと
「はじめまして、リュカ」
とはずかしそうに言った。
船室は僕たちが乗っていたものとは違い、とても豪華だった。お金持ちは違うなあ。
「リュカー、そろそろいくぞ。」
父さんの声がした
「ごめん、もう行くね。じゃあね!またいつか。」
「...またね。きっと...」
僕は急いでお父さんの所へ向かった。そういえば、何でフローラあんなに顔真っ赤だったんだろう...?
「お父さーん」
「じゃあ、船から降りるぞ。リュカもこのおじさん、この船の所有者のルドマンさんにお礼を言いなさい。」
「船に乗せてくれて、ありがとうございました!」
出来るだけ笑顔でいう
「どういたしまして、坊や。フローラを助けてくれてありがとう。」
「本当にありがとうございました、ルドマンさん。では」
「またな、パパス。」
お父さんたちのの挨拶のあと、僕らは港へ降り立った。

《ビスタの港》

「パパスさん!?パパスさんじゃないかい!?いやぁー、久しぶりだねえ。あんなに小さかったリュカ君も今じゃこんなに大きくなって...。」
知らないおばさんが話しかけてきたので、急いでお父さんの後ろに隠れる。
「ああ、リュカは覚えていないか。この人は私が昔サンタクローズに来たばかりの頃お世話になったソフィーさんだ。」
「改めて始めまして、リュカ君。」
「お父さんは少し話をしてるから、その辺で遊んでなさい。外は魔物がでるからいくなよ。」
その辺っつったって遊ぶとこないのになあ。壺も全部割っちゃったし...
そうだ、ちょっと外に出ちゃえ!
しかし、外に出た瞬間、青いゼリーのような魔物3匹に襲われた!

《ビスタの港 周辺》

この魔物は... スライム!
最弱のはずだけど、倒せるかなあ。
僕はひのきの棒を抜くと、スライムの突進する!
僕の突然の行動にスライムが戸惑っている。チャンス!
まず目の前の一匹を殴り倒し、脇にいた二匹目に最近使いこなおせるようになった風の呪文 ‘バギ’を唱える!
二匹は攻撃が当たると動かなくなった。
だが、次の瞬間後ろに回っていた一匹が体当たりをしてきた!
僕はとっさにひのきの棒で身を守る。

ドガッ!!!

鈍い音がして、自分からぶつかってきたスライムは動かなくなり、塵になって消えた。スライムがいた場所には金貨が残されていた。
僕がそれを拾い集めていると、背後からお父さんが出てきた。
「もうスライムを無傷で倒せるのだな。強くなったな、リュカ。
お父さんの姿を見て安心したのかさっきの戦いの怖さがどっと出てきた。
「お父さぁん、怖かったよ。」
「大丈夫、お前は勝ったんだ。自信を持ちなさい。怖さになんて負けないはずだ。」
「う、うん... わかった...」
そうだ、僕は勝ったんだ。自信を持とう。
「ソフィーさんとの挨拶は?」
「もう済んだ。ではサンタローズへ向かうとするか。」
この後僕たちは数回魔物と戦い、サンタローズについたのは太陽がてっぺんを回ってからだった。

《サンタローズ》

「パパスさん!?パパスさんかい!?」
「ああ。ひさしぶりだな、ジョン。村で何かあったか?」
「いいや、特に何も。平和だったよ。おっと、こうしちゃいれねぇ、見んなにパパスさんが帰ってきたことを伝えないと。」
と言うと、一目散に走り去って行った。ちゃんと仕事してよぉ。
僕たちが村に入り、家に向かうと、たくさんの人が集まってきた!
「お帰り、パパスさん!」
「どうだった?」
「無事で何よりだ!」
「リュカくんも大きくなって...」
などなど、思い思いの言葉を口にする。
そうこうしているうちに家についた。
「ただいま、帰ったぞ。」
「ただいまー。」
「お帰りなさいませ、旦那様に坊ちゃん!」
そういいながら近づいてくるのはサンチョ。うちの家事全般、料理まで全部してくれる、なくてはならない存在だ!
「またせたな、サンチョ。」
すると、上の階から誰かおりてきて、僕の名前を呼ぶと抱きついてきた!
「リュカ!」
「ビアンカ!」
「嬉しい、覚えててくれたのね!」
当然!僕ビアンカのことが大好きだもん。
「はて...?その子は誰だったか...」
お父さんはまだわかんないみたい。
「私の娘だよ。久しぶりだねえ、パパス。私たちもいいタイミングでここへきたもんだ。」
「久しぶりだな、ミランダ。お前の娘ということは、この可愛い子はビアンカちゃんか。こんなに大きくなって。」
本気で気づいてなかったんだ...
「大人の話って退屈だから、二階へ行きましょ。」
「うん、そうだね。」
僕も退屈してきたところだったので、一緒に上で遊んだ。ビアンかにほんをよんでもらった。
.
.
.

「ビアンカ、もう帰るよ。」
「はぁい!またね、リュカ。」
それだけいうと、疾風のように帰ってしまった。もっと遊びたかったな。
そんなことを思いながらベットに横になると、どっと眠気が押し寄せてきた。
「坊ちゃーん。ご飯できましたよー。」
とサンチョが呼んでいるが、体が動かない。
そのまままぶたが閉じ、深い眠りへ落ちて行った。

リュカSide end 
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