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ソードアート・オンラインーツインズー

作者:相宮心
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SAO編-白百合の刃-
  プロローグ

 
前書き
ツインズ開幕!いや、再開かな?

ともかくツインズが開幕します、これからよろしくお願いいたします。

なお、再開に心当たりある方には、前のツインズとは内容修正したり追加したりと変わってますのでご注意ください。 

 
 嘘みたいな話ではあるが、私はVRMMORPG、仮想大規模オンラインロールプレイゲーム。
 
 ――――ソードアート・オンラインと言う世界で24時間生活している。

 早い話、簡単に言えばゲームの世界へダイブして、違和感無しに自由自在に動ける。
 それを可能にしているのは、『ナーヴギア』と言う、頭から顔までをとスポッと覆うヘッドギア型のゲームハードの名前。
 おかげでバーチャルリアリティを自らの身で全てを堪能できる。
 ソードアート・オンラインは、『アインクラッド』と言う巨大な浮遊城が舞台。全百層からなる、石と鉄でできた城。内部には数多くの都市と小規模な街や村、森と草原、湖などがある。上下のフロアを繋ぐ階段が各層にひとつあるが、その全てが怪物のうろつく危険な迷宮区画に存在する。
 この世界のプレイヤー達は武器一本を頼りに駆け抜け、上層への通路を見出し、強力な守護モンスターを倒してひたすら城の頂上を目指す。
 ファンタジー系のRPGならば必須と思われていた魔法の要素は大胆に排除され、変わりに剣技(ソードスキル)と言う名の、奥義または必殺技が無限に近い数設定されている。
 なんでも、自分の体、自分で使う剣を実際に動かして戦うと言うフルダイブ環境を最大限に体感させるためだ。……だからこそ、私は魔法使いたかったけどね。
 スキルはモンスターとの戦闘以外にも、鍛冶や革細工に裁縫と言った製造系、釣りや料理、音楽などの日常系まで多岐にわたり、私達プレイヤーは広大なフィールドを冒険するだけでなく、現実世界と少しだけ変わるが生活することが出来るのだ。
 しかも望み努力すれば、自分専用の家を買い、畑を耕して、羊を飼って暮らすことだって出来るのだ。
 だから――テレビの中へと飛び込む感じが出来てしまう、MMO、ソードアート・オンラインは誰もが納得する。
 地上最高のゲーム。

 ――――…………だった。

 ――――二年前

 私達、数万人のユーザーと共にソードアート・オンライン にログインした。
 皆がそれぞれ好きなように操作して、仮想空間を堪能していたに違いない。
 すると、私達はあることに気がついた。いや、気づいてしまった。
 思えば、あれが絶望の幕開けだったわね……。
 新作、新感覚、手に入れた喜びの集中力は凄まじく、他の時間を削りたいくらいにハマる感覚は、ゲーム好きのあるあるネタ。
 これは、あくまでも私のあるある。
 しかし、誰もが一生なんて続くはずもないわけで、中断または休憩、ログアウトして別のことをする人達も定かではないだろうか?
 そうじゃなきゃ廃人レベルだ。いや、廃人だ。ずっとゲームの中にいられるわけがない。
 なのに、ソードアート・オンライン、オンラインゲームには……あるべきものがなかった。
 リアルダイブにとっては致命傷なもの。
 ――ログアウトが出来ないのだ。
 最初は戸惑いつつも、嘘だと思った。
 少しずつ冷静さを取り戻し、バグだと思って直るのを信じるしかなかった。
 でなければ、私達はゲームの中に閉じ込められたと言うことになってしまう。
 だが、これは悪い夢ではなかった……。
 いや、悪い夢であって欲しかった。
 ナーヴギアの基礎設計者にしてソードアート・オンラインの開発ディレクター。
 そして私達ゲーマーで知られている天才的ゲームデザイナーでもある『茅場晶彦』のチュートリアルにより、絶望の現実、恐怖のMMOの幕開けとなった。
 彼のチュートリアルはログアウトができなくなり、アインクラッドの最上部第百層のボスまたは“隠れボス”を倒してゲームをクリアすることだけがこの世界から脱出する唯一の方法。
 それ以外の方法なんてない。
 そして、このゲームで死亡したり、現実世界でナーヴギアを強制的に外したりすれば、ナーヴギアから高出力マイクロ波を発せられ、脳を破壊されることになる。
 最初は嘘だと言い張り、脅しだろと言う声が多数を示す。
 だけど、こんなバカ気たこと……全プレイヤーに嘘ついて、からかいたいのか?
 嘘だったら笑い話で済まされるでしょうね……。
 だからこそだ。
 これはゲームで遊びではない。
 茅場晶彦のチュートリアルは本当だと確信した。
 いつもの日常を取り戻すため、理不尽にもう一つの現実を与えられた私達プレイヤーは、この世界でどう生き、どう暮らしいくかはそれぞれ違う。
 茅場晶彦なんかに負けない。
 生き延びて、帰って、現実世界へ戻ってやるから!



 勢い良く急降下して襲いかかる、大型の(からす)のような全身真っ黒な、『ブラック・ホーク』の攻撃をしゃがんでよけつつ、『スキル』と言う必殺技みたいなものを使ってモンスターを倒した。

「すぅ……」

 とりあえず、他のモンスターが襲いかからないか回りを見て、息を整えて姿勢を正した。

「そろそろ限界かな………」

 誰が聞いているわけではないけど、ぽつりと呟いた。
デスゲームから二年が経過、現在の最前線は第七十四層。残り二十六層。生存者は六千人。
 半分は超えたとはいえ、危険度は格段に上がってきている。先ほどのモンスターは一体ながらも時間をかけてようやく倒したところだ。
 集団だったら、ちょっとヤバかったかもしれない。
 そろそろ、ソロプレイヤーとして限界が近づいているのを悟った私は、とりあえず一日分の攻略を終えたと共に、七十四層の主街区へと歩き出した。
 七十四層迷宮区は役八割が攻略されているから、もうすぐにボスの待つ大広間が発見されるだろう。
 できれば、それまでに誰かと組むかギルドに入らないと……。
 でないと正直キツイかも……。

――――それに。

「そろそろ、頑張らないといけないか……」

 この二年間、私はあらゆることを経験した。
 何からも向き合って進まなければならない。
 たとえ、一生癒えぬトラウマの傷痕が痛み出してもね……。



SAO編-白百合の刃-始- 
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