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万華鏡

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第十四話 成果その九


「気をつけてね」
「そうなのね」
「お母さんは幸いそうした先生に会ってはこなかったわ」
 微笑んで娘に話す。
「本当にいいことにね」
「私もそういえば」
「先生には気をつけなさい」
 ここでは具体的には顧問の先生のことだ。
「いい先生と悪い先生がいるからね」
「軽音楽部でも」
「どう?里香ちゃんの今いる軽音楽部の先生は」
「特に悪い人じゃないみたいね」
 里香はこう母に答えた。
「まだ少ししかお話してないけれど」
「そうなの」
「うん、いい人みたいよ」
「よく見極めるのよ。最初見ていい人でもね」
「違ったりするね」
「他の人がいい人だって言っててもね」
 違う場合がある。その人の本質というものは自分でじっくりと見極めるしかないものの一つなのだ。母はそれを娘に言うのだ。
「よく見極めてね」
「うん、わかったわ」
「里香ちゃんも人と付き合っていけばわかるから」
「人と」
「どんな人にもいい面と悪い面があって」
 そしてだった。
「悪い面が凄く多い人もいるのよ」
「凄くなの」
「そう、凄くよ」
 負の一面が多い人物もいるというのだ。そしてそれが悪人だというのだ。
「邪悪って言ってもいい人間もいるわ」
「邪悪なの」
「そう、本当にそんな人もいるから」
「それでそうした人とは絶対に付き合ってはいけないのね」
「何があってもね。若し付き合えば」 
「大変なことになるのね」
「何をされてもおかしくないわ」 
 そうした人間にはというのだ。
「だから気をつけてね」
「うん、そういう人を見極めて」
「そのうえで」
「付き合わないの」
 それは絶対にだというのだ。
「わかったわね」
「世の中って難しいのね」
「その中でも人間が一番難しいから」
 善人と悪人の違い、それが特にだった。
 里香は母にそのことを教えて貰った。そしてその後で。
 笑顔の母にこう言われたのだった。
「今晩はボルシチよ」
「えっ、ボルシチなの」
「そう。里香ちゃんの好きなね」
「有り難う、じゃあ」
「後お魚もムニエルにしてるから」
 それもあるというのだ。
「サラダもあるわよ」
「どんなサラダなの?」
「シーフードサラダよ」
 サラダはそれだというのだ。
「御飯もあるから」
「そういえばうちっておかずが洋食でも絶対に主食は御飯よね」
「それがどうかしたの?」
「どうしてかなって思って」
「決まってるじゃない。それは」
「決まってるって?」
「御飯が一番いいからよ」
 それでだというのだ。
「栄養的にね」
「けれどうちの御飯って」
「白米ね」
「白い御飯って確かに美味しいけれど」
 玄米と比べてだ。玄米は硬く食べにくいものだ。 
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